CFM「空中分解」 #1401の修正
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(14)コンピューター・カー 大型エアロダインは、胴体の下から着陸用の足を出すと、静かに着陸した。エアロ ダインの操縦席は高く、中の様子は分からなかった。 着陸して、一分近く経ったが中からは、誰も出てこなかった。 「ノバァ・・・」 「うん・・・」 カズとノバァは、そのエアロダインから十メートル程離れて立っていた。 「どうしよう・・・」カズの声が微かに震えていたようだ。 「行こう」ノバァの声も少し掠れているようだった。 二人はおっかなびっくりの足取りで、エアロダインの昇降口に近づいた。 「カズ、中を覗いてみな」 「えっ? ぼ、僕が・・、覗くのかい?」 「当然だろ。あんたは男、あたしはか弱い女。女を護るのが男の仕事だろ」 ノバァを守れる男ってのは、ヘラクレスのような筋肉もりもりの男か、小山のよう な大男しかいない、とカズは心の中で呟いた。 カズがエアロダインのドアのノブを握った時だった。 「すみません。中には入らないでください」 「わっ!」驚いたカズは側のノバァに抱きついた。 「痛い! 何すんだよ!」 カズに背中の傷を触られて、思わず怒鳴ったものの、ノバァもカズをしっかりと抱 き締めていた。 「失礼しました。脅かすつもりはなかったのです」 その声はどこからともなく、聞こえてきた。 ノバァはキョロキョロと辺りを見回した。しかし、カズとノバァ以外は、遠くで横 になって寝息を立てている呑気な兵士しか見当たらなかった。 「誰よ? どこにいるの?」 「はい、ここです」 声は以外に近くから聞こえてきた。 「あのー、私、エアロダインに吊られているんです」 カズとノバァは、エアロダインの下を見た。機体の腹から出た六本のクレーンハン ドには、蜘蛛の手足に捕らえられた獲物のように、ブルーのキャデラックが抱えられ ていた。 「車の中だ!」 カズは、ノバァに抱きついていた手を放し、彼を抱いていたノバァの手も振りほど くと、ブルーの車に近づき、中を覗いた。 「あれっ? 誰も乗ってない」 ノバァも車の中を覗いていた。 「あのー、私、この車の車載コンピューターなんです」 「なんだって! それじゃ、あんたが、ブルーなの」 「はい、あの、それをどうして? 初めてお会いしたのではないかと、思いますが」 「お前は有名なんだよ、ブルー」 「そうよ。シェン・ピークを連れ出した、いかれたコンピューター・カーだってね」 「それは、随分と失礼なお話ですね。私はシェンおぼっちゃまの御言いつけ通りに行 動しているつもりです。それに、私の自己診断機能は、二十一万五千項目のチェック リストを実行しても、異常のないことを確認しています。私は完璧です。命令には忠 実で、九十九・九九九九パーセントの確率で任務を遂行できます」 「そりゃ良かった。いかれたコンピューターだと話ができないからな」 「あのー、失礼ですが、あなた方はどなたですか? シェンおぼっちゃまのお知り合 いでしょうか?」 「あたしはノバァ。ノバァ・モリス探偵事務所の所長よ。よろしくね。こっちは、カ ズ・コサック、うちの従業員よ」 「よろしく、ブルー」 「はい、よろしくお願いします」 カズはノバァの耳に口を近づけると囁いた。 「ノバァ、このコンピューターの疑似人格は比較的素直だよ。お子様相手に調整され てるに違いない。シェンの居所を聞いたら、答えるかもしれないよ」 ノバァはコクリと頷いた。 「ところで、あんたのご主人のシェンおぼっちゃまは、どこにいるの?」 「残念ながら、それは、私も知らないのです」 「じゃ、どうして、こんな病院の屋上に来たのさ」 「シェンおぼっちゃまの御言いつけで、ここで待てと言われました」 ブルーのその言葉に、カズとノバァは、顔を見合わせた。 「仕舞った!」「ルルの部屋!」 同時に叫んだ二人は、非常階段に向かって走り出した。 走るカズとノバァの目の前の屋上を、突然、激しい振動が襲った。 「キャッ!」「ワーッ!」 カズとノバァは足を取られ、屋上の上に転がった。 グラグラと揺れる屋上のコンクリートには、大きな亀裂が走っていく。 その亀裂は見る間に屋上全体を覆っていった。その亀裂が一か所、集中している部 分があった。そこが、次第に溶岩が吹き出るように盛り上がってきた。 「畜生!」「なによ、これっ!」 波間に揺れる小舟のように、ノバァとカズは屋上をコロコロと転がっていた。 二メートル位盛り上がったその部分が、一気に膨れ上がると、細かいコンクリート の破片と煙を撒き散らしながら、中から白い光の球体が空に向かって飛び出した。 後に開いた大きな穴からコンクリートの破片に混じって、配線材やパイプ、助材な どが、まるで火山の噴火のように噴き出した。 それらの破片が屋上に降り注ぐ。ノバァとカズが転がっている側に、ガンッ、ガン ッと人間の胴体程の大きさの破片が次々に落ちてくる。 ころころ転がりながら、カズはエアロダインの側に立っている小さな人影を見た。 その人影が更に小さなもう一つの人影を抱いているようだった。 「キャーーーーーーーッ!」 ノバァが大きな亀裂に落ち込んでいた。しかも、その亀裂は屋上の揺れが収まるに つれて次第に間隙が小さくなっていた。ノバァの腰から下が亀裂の中だった。 「カズーーーー! 助けてーーーーーっ!」 ノバァの悲鳴にカズは大揺れの屋上を四つん這いになり、懸命に彼女に近づいて行 った。そしてカズがどうにかノバァに近づき、彼女を亀裂から引きずり上げた途端、 屋上が崩壊し始めた。ガラガラと屋上の端が崩れ、破片が落下していく。 抱き合ったまま座り込んでいる、カズとノバァの周りは、大きく亀裂が入り、階下 が見通せた。その亀裂は屋上だけではなく、一階下も、その下もずっと続き、二十階 建ての別館の一階まで続いているようだった。 二人の周りは見る間に崩れ、抱き合ったカズとノバァは一歩も動けなかった。 「これでお終いかな・・・」カズが呟く。 「何言ってんの。男が簡単に諦めるんじゃないよ!」 ノバァの活が入ったカズが空を見上げた時、二人の頭上にエアロダインが浮かんで いた。 −−−−−−−−−−−(TO BE CONTINUED)−−−−−−−−−−
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