CFM「空中分解」 #1369の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「わあ、カレーライスみたいなお月様!」 「あらー、あれは月じゃなくて人工衛星よ」 「うっそー、大きいわねー! イルミネーションがきれいだわあ」 肉視窓からの景色に女の子たちが群がって、かしましい声を立てている。窓の 外の空気は極めて薄い。ゼロに限りなく近いといってよかった。 広い部屋だが、見当たるのは女ばかりで・・・おっと、野郎もいる。わずかに 三人だが、部屋の中央の机に額を寄せて、パンフレットを眺めながら、何か話を している。 「おい、おうざきは最初どの店に入るんだ?」 「いやあ、これほどたくさんあると迷っちまって。KARDYはどうすんだ?」 「おいおいお前ら、そんな事ぁ、降りてからだって決められるだろ。どうせ死 ぬほど食う事になるしな」 「そういえば、えるえるはこの星を題材に卒研をまとめるんだよな」 ここは宇宙高校「ホトル」。その実体は、いやになるほど巨大な宇宙船である。 「かわいい子には旅をさせろ」という言葉がある。それは時空を越えて実行さ れ、宇宙暦時代の親たちは、高校生になった息子や娘を、次々と宇宙船に乗せて 星の世界へと送り出していた。 不思議な事に、「ホトル」への入学性、もとい入学生は年々女子が増え男子は 減り、ついに今では男子生徒は三人しかいなくなってしまっていた。残りの九九 七人はすべて女子高生なのだ。うひひ。 今「ホトル」は、惑星カレーライスの周回軌道上にいる。 「こちら宇宙高校ホトル。着陸許可を願う。カレーライス応答せよ。こちら宇 宙高校ホトル」 「確認した。着陸を許可する。ようこそわが星へ。こちら惑星カレーライス」 「了解。五分後に大気圏に突入する。こちらホトル。以上」 惑星カレーライス。冗談でつけられた名前ではない。ここは昔、とても美味な スパイスを大量に生産する星だった。そのため、各星のカレー屋、料理人、味引 き師、流通業者、卸屋、問屋、ビジネスマン、百姓、主婦、犯罪者、変態、小説 書きが続々と集まり、一大カレーライス文明を築いた。そして、カレーライスに 関する事では、この惑星に不可能はないと言われるほどになった。宇宙に名だた るカレーライスの最先端、カレーライスの最前線であった。 教師の山下が、部屋に入って来て言う。 「さあみんな、五分後に大気圏に突入だそうだ。ベルトをしてくれよ。夜の部 分に着陸するという事だ」 ベルトをした後、人工重力が切られた。山下は、生徒たちに「失礼」と断って、 煙草に火をつける。遠くを見る表情で、ふうっと煙をはいた。 着陸。 カレーライス・スターシティ・ターミナルのロビーで、山下は女生徒たちに何 かを配っていた。なぜ男子生徒に配らなかったかというと、すでに彼らはロビー を飛び出て、街へその姿を消しさっていたからだ。 「さて、行き渡ったかな。これこれ、今あけちゃだめだよ。いざという時のた めに・・・おいおい、まだ話は終わってないんだ。おい、一人では行動しないで 集団で・・・おーい! 秋本君! 待ちたまえ、九恵洲君! ・・・ああ、みん な行ってしまったよ。困ったもんだな」 ひとつ首を振ると、山下は二本目の煙草を取り出した。 惑星カレーライスには、宇宙高校「ホトル」とは逆に、女が少なかった。いや になるほど女が少なかった。惑星カレーライスの男たちはわりと真面目な方では あったが、性格的にねばりに欠ける。舌にはカレーによる刺激が毎日のようにあ るが、精神的な刺激には乏しい日々を送っていた。 そんなところに、ムンムンピチピチの女子高生が集団でなだれ込んできた日に は、どうなるか。山下はいやな予感がして、なぐさめにしかならないとは知りつ つ、彼女らに避妊具を配ったのであった。 いやな予感は、山下が二本目の煙草を吸い終わらないうちに現実となってしま った。 何せ、何百人ものムンムンピチピチの女子高生(避妊具つき)である。ねえち ゃんええちちしとるやんかケツサワッタロカたまらんわいヤラセテヤやらせてや ウヒウヒきゃあイヤンなにすんのよハナシテさわらんといてダレカたびのはじは かきすてやろがアアダメソンナトコはあはあアアアンあっあっあっあっあっオオ ッコリャエエうふーんイヤアイヤイヤイヤそうかこうなっていたのかオカアサー ンこりゃすげえタスケテーきもちいいハアッハアッハアッもっとやってえイター イいまいれたるさかいなカンジチャウワうっううっアーーーーッくださいはやく ムフフあうっウググほれほれどうじゃ・・・てなもんやであるねん。 今や男どものモラルは地におちた。悲しきかな、惑星カレーライスの秩序が崩 壊を始めたのは、まさにこの時であった。これが遠因となって、惑星カレーライ スは精神的砂漠となって滅亡しはてたのである。 この話には後日談がある。 散々やられ放題だった彼女らも立ち直り、再び「ホトル」に乗り込んで旅を続 けた。後に卒業した彼女たちは全宇宙に散らばり、あの夜に男たちから寝物語に 聞かされた、数々のカレーライスに関する味付けの技術、カレーライスにまつわ る裏話、秘伝のスパイスの調合法などの類の貴重な情報をひろめてまわった。 惑星カレーライスは、滅亡した後にも、彼女らによって、その名を宇宙にとど ろかせたのである。 <おわり>
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