CFM「空中分解」 #1354の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
黒い髪、黒い瞳、生まれは地球。地球人。誰が何と言おうとも、あたし、れっきと した地球人。地球人の両親持って、地球で生まれたんだから。 名はカセイ。ユミアウラの炎の一族、カセイ。これが呼び名。性別は女。炎の一族 唯一。どうしてかはよく判らないが、それでも炎の一族。 だけど、女だからってあたしは、誰にも負けやしない。炎の一族である以上は。 炎の一族なんだから、ね がさり わりと大きな茂みを掻き分ける。 今オリンポスからちょっと離れた山の中にいる。広葉樹が生い茂る山。 この山の中に、ふもとの村を襲った巨大な猪がいると言う。 村を襲った猪、巨大な。 あたしの、敵。 このあたしが『敵』と位置づけたもの。 ほんとに、悔しい。 悔しい。悔しくて−−。たまらなく、悔しくて、憎い。 ふもとの村の人達は、ほんとに気持ちの良い人達で、何て言うか−−心が温まる雰囲 気。明るい、笑いが絶えない、祝福された村。 ちょうど、春を迎えた祭りの時だったから余計に、だろうけど。でも、ついつい長く とどまりたいって思ってた。二日、楽しい期間。祭りに誘われて、楽しい日々を過ごし た。ああいう雰囲気はいいね。地上に降りてほんとに良かった、て思う。 思う、けど。 すっとよぎる、仲間。炎の一族の皆。何、してんだろ。 楽しい日々、過ごすのはいいけど、でも。でも、いつかはこんな楽しい日々じゃなく なる。 いつかは、また、闘い日々が来る。 そんな事が余計強く考られて、今が、ずっと、ずっと長く続けばいい。 ずうっと、ずうっと……。 甘いささやき。 ずっと地上にいたら……。 けれど、いつかは宇宙に戻らなきゃ、いけない。ユミアウラである以上。 だから、せめて、楽しい『今』が、長く続けばいいって、思ってた。その思い決して 消えることない。 せめて、楽しい日々。後一日だけでもこの村に。もうすぐ戻らなきゃいけないけど、 でも、まだいい。神なぞ。 だから、せめて、もう一日。祭りの間だけ、でも。そう、思ってた、のに。 なのに。 はかない、夢だったんろうか。 傷を療した期間も含めて四日間。ありがとう。黙って出て来てごめんなさい。 幸せな気分。復讐するから。破った『敵』。 甘い、優しい匂いに、うたた寝始めた時。まだまだ、楽しい祭りの宴の最中に。 **************ΑΠΟΛΛΩΝ****************** うわぁー! ぎゃぁーっ!! 甲高い悲鳴がカセイを呼び覚ました。 掛け布をはねのけ、飛びおきた勢いのまま外に飛び出る。右手に、炎の一族の武器た る『聖なる石』の細い帯状の鞭を持っていた。 鋭く激しい感覚が一瞬にして状況を悟る。 そしてがく然とした。 それほど凄まじいばかりの気配だった。そして、それに気付かなかった自らのうかつ さを、呪った。 舌打ちとともに声を張り上げた。 「家へ入れっ!!」 その音は全ての村人に届いた。 例え理解はできなくとも、行動させる程の強い音。 激しい混乱に陥っていた村人達は、一目散に手近の家へと避難した。 そして、人間がいなくなった広場にそれはいた。 カセイを震憾させる程の気を放っているモノ。 炎に照らされる侵入者。 闇夜よりさらに黒く、凶暴な気の巨大な猪。体長は二メートルを超える。 その瞳がまっすぐカセイを捕らえた。全身から殺気を放つ。 カセイは右手を大きく振り上げた。指先から鞭が放たれ、弧を描き、そして猪に伸び た。 が。それより早く、黒い塊が突進した。鞭は牙にからまり、わずか首の一振りで、カ セイの手からもぎとった。 間一髪、猪をよけるが、もう、武器はない。 服がただの地球の服なのだ。カセイの衣服は赤い故にあまりに目立つから、普段は着 ない。それが災いした。 あの服は炎の一族の服だから、そのために、あの服は服にして武器だったから。 もとより、カセイは力の面では、他の一族より劣り気味といえる。故にこういう力の 敵に対して、圧倒的に不利だった。全くの素手では勝算などありようはずもない。 それでも、カセイは決して諦めなかった。 諦めれば敗北。敗北は死。 それはユミアウラの闘いにおける間違うことなき事実だ。故に諦めない。 猪はまだカセイを狙っていた。鞭は遠く跳ね飛ばされたのか陰も形もない。 地響きか鳴る。 走る凶器はその先端の牙をカセイヘと突く。 紙一重だった。 −−こいつ、ただの猪じゃないな。 猪の動きがさっきより早くなっていた。休む間も無く攻撃を仕掛けてくる。もはやカ セイの防御本能のみがカセイを守護していた。 攻撃の回数は既に二桁を越えていた。 服は寸前で交わしている牙のためぼろぼろになっている。決して無傷ではない。しか も間髪を入れぬ攻撃はカセイの肉体に激しい疲労を与えていた。 それが防御本能をして狂わした。 「ぐっ!」 左腕が嫌な音を立ててねじれた。鮮血が吹き出す。血は雨となって広場中央で燃えて いる炎に降り注いだ。 衝撃で地面に転がったカセイの瞳に、その様が移った。 きれいだった。 −−? カセイの目が何かを捕らえようと細くなった。 炎の中で何かが光っていた。 炎の赤よりはるかに赤く。 <続く>
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