CFM「空中分解」 #1338の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
(7)サイコ・ブラスター アーミー・ホスピタルはシティ・アーミーが運営する病院である。リンドン湾から 十キロほど上ったマリソン河沿いの閑静な所に位置している。 敷地は広々としており、見晴らしの良いグリーンの丘があり、側には全天候型のグ ラウンド、テニスコート、室内プールやリハビリ施設も完備されている。 敷地内には、外来病棟,救急病棟などの他に、各種の研究棟がある。 グレン博士の事務所は、五階建てのスペース・メディカル・センターにあった。 ノバァとカズは、ピーク氏からグレン博士に面会依頼を入れて貰っていた。 だが、グレン博士の女性秘書は、博士は十五分しか面会できないと告げた。 通された部屋で待っていると、ほどなく背の低い小太りの男が入って来た。 身長百六十センチ、真っ白な髪が見事に禿げ上がった頭の後頭部にほんの申し訳程 度、しがみついていた。鼻はテカテカと油っぽく、赤ら顔だった。 「いらっしゃい。モリスさんとコザックさんですな」 グレン博士は、以外に甲高い声で、ノバァとカズに握手を求めた。 「ほっほっほっ、こりゃー美人ですな。おっと失礼、私がグレンです。よろしく」 「ノバァ・モリスです」 ノバァはにっこりと微笑んで、優雅に握手した。 「おー、こっちは中々若々しい男性ですな。よろしく」 「カズ・コサックです」 妙に人懐っこい笑顔は作り物とは思えない。 「ピークさんから伺いました。まっ、お掛け下さい」 「博士、シェン・ピークについて伺いたいのですが」 しかし、待ち兼ねたように口を開いたノバァを博士は制した。 「ノバァさんでしたな。先にお断りしておきますが、患者の秘密を守るのは医師の義 務です。患者の個人的な問題の追求はプライバシーの侵害になりますぞ」 「じゃあ、イエスかノーだけで結構です。シェン・ピークは超能力者ですか?」 「そういう質問をするということは、『あれ』を体験されたんですかな?」 博士の『あれ』という言葉にノバァとカズはぞっとした。 「ええ、昨夜、白い光球に包まれたバイクが、一瞬後には黒い残骸になりました。勿 論、ライダーの肉体も炭になっていました。そして、今日の午前中には、あるビルの 室内でも遭遇しましたわ」 「そんなに頻繁にですか。まずいな・・・」 眉を顰めた博士はポツリと呟いた。 「えっ、まずいとは?」とノバァ。 「いえ、あの子に聞いたことがあるんですが、白い球体が現れると、酷く疲れると言 ってました。今まで、白い球体は数カ月に一回の割合でしか現れなかったんですよ。 それが連日現れるとすると、あの子の体力は夥しく消耗することになりますね」 「博士としては、シェンと白い球体の関係をどう考えられているんですか?」 「白い球体はシェンの身に何か危険が迫るとか、酷く気にいらないことがある時によ く現れるようです。そして、白い球体が現れるとシェンの体力が消耗する。それしか 言えません」 「でも、シェンの父親のアントン・ピーク氏は、白い球体はシェンが呼ぶのだとおっ しゃてましたけれど」 「過去の現象から、シェンがいる時にあの白い球体が現れるということだけしか分か りません。あの子が、白い球体を呼ぶ力を持っている、という証拠はありません」 アントン・ピークのオフィスに白い火の球が現れた時には、シェンはいなかったな とカズは思った。 「博士、あの白い球体はシェンが生まれた時から現れてたんですか?」 「生まれた時はそんな現象は無かったらしいですね。母親は彼を生むとすぐに死んだ らしい。シェンが二才の時、後妻のスーザン夫人が来て、妹のルルを生んだ。そして 三年前、庭の芝生の上で遊ぶ妹が、近所のドーベルマンに襲われそうになった。その 犬は一瞬で『ホットドッグ』になったそうです。それが始まりらしいですね」 嫌な表現をするとカズは思った。 「もう一度伺います。シェン・ピークは超能力者ではないんですの?」 「私が調べた結果では、彼は弱いテレパシーの素養があります。しかし、決して抜き ん出ているというものではありません。超能力者という称号を与えるよりは凡人に近 いですね。ましてや、『サイコ・ブラスター』とは言えない」 「なんとおっしゃいました?」 ノバァがソファから身を乗り出した。 「サイコ・ブラスター。精神の力で自分の廻りの物質を爆破できる超能力者のことで す。しかし、空想の産物であり、今もって確認された者はありません」 「あの白い球体が、そのサイコ・ブラストという訳ですの?」 「もし、シェンがサイコ・ブラスターなら、そう呼ぶべきなのでしょう」 ノバァとカズは唸った。 カズが思い出したように博士に質問した。 「そうだ、博士はシェンのことだけではなく、あの白い球体についても何かご存じで すか? あの光球が消えた後、廻りのネオンや照明が消えました。僕のCBの表示器 も壊れてしまいました。それに、オゾンの臭いがして、頭がガンガンしました」 「白い光球は、強烈な電磁波を出すんでしょうな。その影響で電気製品が影響を受け るんでしょう。LSIの内部素子が強烈なエネルギーで破壊されて動かなくなった。 それから、高エネルギーのために空気中の酸素がオゾンになったんでしょう。また、 頭がガンガンしたのは、イオンが身体に食い込んでるからです。恐らく身体もだるか ったのではないですか? 高電圧の放電実験をしている研究者が、よく頭が痛くなる とか、身体がだるいとか言うのと同じです。私としては、球体に遭遇していないので 断定できないが、その球体の内部は高温のプラズマではないかと思いますね」 「何をプラズマにしてるんですの?」とノバァ。 「空気ですよ」 その時、スペース・メディカル・センターの建物が揺れた。 ズンッ! という腹に堪える音が聞こえてきた。 「何だ? 地震か?」 ジャァーンンンン・・・・。 非常ベルがセンター内に響きわたった。 「センター内に火災発生。センター内に火災発生。場所は通路14のB。爆発物によ るものと思われる。現在、消火中。所員は直ちに建物の外へ非難せよ。エレベータは 使用しないこと。繰り返す、センター内に火災・・・」 天井のスピーカーからの声はコンピュータ合成で落ち着いた口調だった。 「どうしたということだ!」 グレン博士はソファから立ち上がると、部屋のドアを開けた。 もうもうと黒い煙が立ち込めた通路をドタドタと数人の男が、駆け抜けて行く。 再び、ズンッという音と共に建物が揺れた。壁がビリビリと震動し、壁面に割れ目 が幾条も走る。割れ目は天井まで辿り着くと、今度は天井を張っていった。割れ目が 這うに従って、壁材や天井材が剥がれ落ちてきた。 「危ない!」ノバァはドアの側に立つ博士に飛びつくと、窓の方に投げ飛ばした。 その後に天井ががっさりと崩れ、壁がドーンと倒れてきた。室内はたちまち埃や煙 が立ち込め、視界が効かなくなった。その煙の中に非常灯の赤い光が見える。 その赤い光をバックに小さな人影が現れた。次第に現れたその顔はまだまだ幼い少 年のそれだった。 「シェン」博士の声を、床に伏せたままのカズとノバァは聞いていた。 −−−−−−−−−−−(TO BE CONTINUED)−−−−−−−−−−
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