CFM「空中分解」 #1328の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
☆二つつなげて書いていたら、切れなくなってしまいました……☆ 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 夕方、秋穂は浮かない顔で戻ってきた。丁度いい、仲間がいなかったらしい。 「がっかりね。みんな、腹立たしくないのかしら。人間の厚顔さとか」 だけど、秋穂。僕も人間なんだ。君が憎んでいる、君が一番嫌いな類の。 「あら、今日は珍しく夕日が見えるわ。見てごらんなさい」 秋穂の白い指が示す方向に、大きな夕日が見えた。空は、異様なほどの灰色。 そぐわないのに。 「無口ね、誠。どうしたのよ?」 「別に……」 会話が途切れた。 「まあ、いいわ。帰るわね」 秋穂は立ち上がる。 僕は、何も知らない。秋穂が何処に住んでいるのか。 憑かれたように人を滅ぼそうとする所以は? 本当は、何一つ知らない。 秋穂、君は誰なのか。 「ばいばい。また、来るわね」 なのに、どうして信じてしまうのだろう。 どうしてこんなに、惹かれるのだろう。 僕も、憑かれたように。君に。焦がれてる…… 秋穂が帰ってしまった後、居眠りをしてしまったので、目が覚めたら既に6時 を回っていた。布団から這い出て、お湯を沸かしに行く。NASA特製の非常食 を食べながら、秋穂の事、もう一度考えていた。 本当は知っている。秋穂の事を、決着を付けねばならない。でないと、秋穂は 永遠にさまようだろう。何処にも行けずに。永久に。 それは、とても辛い。秋穂の事、僕は大好きだから。だけど、会えなくなるの はもっと辛い。それでも僕は、嫌なのだ。会えなくなるより何よりも、彼女が人 を憎むということを。 寂しい秋穂。 君は、飢えていたから、そんなに人を憎むんだね。 けれど、僕にはどうすることもできない。手を差し伸べることも、何も。こん なに大好きなのに。僕は、まだ子供で、秋穂を支えることなんか出来ないのだ。 僕は、卑怯だから秋穂を救うことなんてできないんだ。秋穂を失うことが怖くて。 それで、おびえてて。本当は、秋穂の魂は浄化されて、楽園に行ける筈なのに。 たった一つの事を、教えてあげるだけで。 本当は解っていた。 一番醜い、いつでも私利私欲に走る人間が、どこにいるのか。 嫌われるのが、恐ろしくて。 ☆☆ トゥルルルルル…… 不意に、電話がなる。食べかけの食事を口に押し込んで、慌てて受話器を取っ た。僕の家は、父親が嫌うので、TV−PHONEは使っていない。 「はい、李下ですけど……」 「あ、李下?俺だよ、柘斗だけど」 「何の用?」 平静を装った口調で、僕は尋ねた。柘斗は、心なし、暗い声だ。 「ん……。秋穂の事なんだけど」 秋穂。名前を聞く度に、胸が震える。言葉に出す度、胸が痛む。 「秋穂の事、忘れろって言ったら、怒る?」 意外な言葉を、柘斗は僕にぶつけてきた。 「また、冗談ばっか……」 「冗談なんかじゃない。秋穂の存在は、おまえに悪影響を及ぼすだけだ。違うか?」 違う。そう言いたかったのに、発声器官が凍り付いてしまったようだ。 「母さんとも、相談したんだ。妹がいたことは忘れようって。もう、駄目だよ。 秋穂は、過去の産物なんだ。優しかった秋穂は、もうここにはいない。妄執の 塊となった、悲しい子なんだ……」 だから、僕は忘れない。 超能力者として生まれ、そのせいで人に疎まれ、憎まれ、愛されなかった少女。 人間の未来に、さがに、絶望し、自らの命を絶ち、それでも憎しみの精神だけが 地上に残った寂しい、柘斗の妹。 優しくて、全てを慈しむことの出来た少女は、自分が超能力を発揮し、それを 他人に知られ、虐げられ、厭われたせいで変わってしまった。 君は、魂だけ生き残ってもいいから、人間に復讐すると誓ったね。君を自害に 追い込んだのは、人間のせいだからと言って、それを人間の業としてしまった。 「「ごめんね、秋穂。 好きだと言ってくれたのに。 僕は、ガキのくせに、世間体を重んじて、君を拒んでしまった。 「妹は、秋穂は、人間を滅ぼそうとかなんとか言ってたみたいだけど。逆恨みな んだよ。「「李下。人間は弱く、脆い。何もかもひとつの型にはめなければ、 気が済まない。でも、それを拒むことなんてできないんだ。いくら気が付かな くても、それを拒んでも、俺らはそんな人間の業から逃れることなんか、出来 ないんだ。所詮俺らも、欲望に弱い一介の人間なんだから」 「「知っているさ、それくらい。 それでも僕は耐えられなかったよ。 「僕に、何を諭すつもりだ?一番仲良くしてたくせに、秋穂を化物扱いして、突 き放したのはおまえじゃないか」 本当は、解っているよ。柘斗、いちばん君が悩んでいたって。秋穂の自殺と、 精神のみの復活に、いちばん罪の意識に苛まされたのはおまえだって。 それでも僕は、柘斗、おまえを苦しめたかったんだ。 秋穂が好きだと僕に言ってくれた理由は、おまえに突き放され、見放されたか ら。僕は所詮、いつだって秋穂にとっては、おまえの代わりだったんだ…… そう、今でも。 (つづく) アンゴラ
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