CFM「空中分解」 #1302の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
月も出ていない真冬の公園はやはり不気味だ。 そう思いながら恭一はブルゾンの襟を立てて足早に歩く。 駅から自分のワンルームまでの近道なのだ。 るり子とのデートの帰り。 食事をして、街をぶらつき、映画を見て、公園へ行った。寒さに震えながらキスをし てお互いの体をまさぐり合う。 「畜生め、金があればホテルに行けたのに...」 恭一はルリ子とのことを思い出しながらほぞを噛んだ。 昨日、手持ちの金の大部分をパチンコで使い果たし、余裕がなくなってしまったのだ。 「くそ!554とか323とかかすってばかりか!」 股間から鈍い痛みが恭一の脳に送られてくる。中途半端に終わってしまったペッティ ングのせいだ。これなら話だけしてるり子と別れた方が余程ましだった。 折角入った大学の講義にもろくに出ないで、恭一は無頼な生活に溺れていた。 ハンサムな顔立ち、スリムな体型のせいで、女の子にはよく持てはしているが、かとい って生活の目的らしきものは見当たらず、若く可能性に満ちた日々を楽しみだけを追い 求めて浪費していたのだ。 女がいた。真冬の公園に一人でそういう存在がいること自体、怪しい事であったのだ が、恭一はそう思う前に女の魅力に引きつけられてしまった。 長めのコートを粋に羽織り、豊満な胸元、そしていかにも男好きのしそうな顔立ちで 女は大人びた笑みを浮かべていた。 「こいつ、金持ちの有閑マダムか?それとも商売女か?」 恭一は訝りながらもついふらふらと女に近づいて行った。 女は恭一に微笑みながら言った。 「車が故障したみたいなの。ちょっと見てくださらない?」 「あ、いいっすよ」反射的に軽く答える恭一であった。 「ゲゲーーー、こりゃ最新型の外車だ」 女について暫く歩くと、異様なまでにのっぺりとしたデザインの車が闇に紛れるよう に停まっていた。 「BMでもアウディーでもないな、イタリア製かな?」 恭一はしげしげとその奇妙な車を見つめた。よく考えればそこはまだ公園の中で、車 は到底入ってこれないはずなのだが。 女は恭一に車に入るように言い、言われるままに恭一が助手席に腰を下ろすと、イグ ニッションが掛かったのか、エンジンがヒューンという普通とはちょっと違う唸りを上 げた。 「あら、直っちゃった。変ねー、さっきまで動かなかったのに。ラッキーだわ。ねえ、 あなたよかったら私と少しドライブしない?」 「あ、いいっすよ」女の言いなりの恭一であった。 都会で生活する間に、テレクラなどで行きずりの関係にはすぐさま慣れ親しんでしま った恭一なので、これから起こる事に期待こそすれ、余り不安は抱いていない。 ドライブ、亭主のいない女の家もしくはシティーホテル、そして充実の一時と、プロ グラミングが頭の中で自動的に組み上がっていく。 「へへ、こりゃるり子との不完全燃焼も解消できるかな」 音も無く車は動き出した。夜の風景が緩やかに流れ始める。やがて街灯の明かりや漆 黒の木々が遠ざかり、それは遥か下の素晴らしい夜景の中に埋もれ... 「えーーーーーーーー、そっ空を飛んでるぞーーーーー」 流石の恭一も衝撃を受けた。視線をあたりに飛ばしながら女に食ってかかる。 「あ、貴方、一体なんなんですか!」 「ほほほ、この方が早いでしょ。心配しないで。ほんの少しのお散歩だから」 女は落ち着き払って、恭一に向かって妖艶な笑みを浮かべた。 つづく
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