CFM「空中分解」 #1287の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
好評のうちにいよいよ大詰めに近づいた「秋本ヨナの復活」であるが、今回 は、この作品を書こうとした作者の意図や秋本文学の魅力などについて女性記 者白石加代子が山椒魚にインタビューした模様を実況中継する。白石加代子は、 秋本氏の作品「暗闇と酒と女の独り言」では、失恋してやけ酒を飲んでいる大 井町のデパートの店員として登場しているが、その後、女性記者にトラバーユ して、「秋本骨つぎ堂の逆襲」では秋本氏にインタビューした実績がある。 「はじめてお目にかかりますが、よろしくお願いします、先生」。 「いや、その先生はやめて貰えますか」。 「秋本さんと同じことをおっしゃいますね。先生と呼ばれて嬉しいくせに」。 「(ギクリ)うっ」。 「まず、山椒魚さんがAWCに入られたきっかけについてお伺いしたいと思い ます」。 「よくぞ聞いて下さいました。私は、もともと平均年齢41歳のおじさんクラ ブに所属しており、平均年齢21歳のAWCは時々ROMをする程度だったの ですが、SIG−OPのCOTTENさんにだまされまして・・・」。 「だまされたと申しますと」。 「AWCは、<空中分解>の3月号をプリントアウトしたものを無償で配布し ようとしたことがあるのです。ところが、よほど人気がないとみえて、タダで も申し込んでくる人がいなかった。それで、COTTENさんが、「もしやこ のSIGにはROMさえいないのか」と嘆いたのです。可愛そうにと思って、 私が一部貰ってやったのですが、いや、おかげでヒドイ目にあいました。タダ ほど高いものはない、とはよく言ったものです」。 「でもその程度のことでだまされたというのは大袈裟ですね。もしかして、 COTTENさんを女子高校生だと思い違いをされたのでは」。 「うーん、スルドイ。実はそうなんです。メッセージの書き出しが「今日は、 COTTENの方です」となっていたので、ひょっとしたらこの人は、昼間は 女学校に通い、夜は祇園で舞子さんをやっているのではいかと想像したのです。 ところが、実体はドラえもんのような顔をした男の子だったという訳で、歯歯歯 馬鹿馬鹿しい」。 「ROMだけの頃から秋本さんの存在はご存じだった訳ですね」。 「もちろんです」。 「秋本さんのどういう点に注目されたのですか」。 「文体と発想が私の好みの作家に似ているのです。外国人では、不条理の作家 と言われているゴーゴリ、カフカ、カミユ、ヘンリー・ミラー、ヴォネガット、 ジョセフ・ヘラーなど、日本人では破滅型私小説作家ですが、最近はこの種の すぐれた作家が絶滅してしまい、辛うじてつげ義春のような漫画家にその痕跡 が認められる程度なので、秋本さんを発見した時は、嬉しかったですね」。 「たしか山椒魚さんは、AWCに入られた時、破滅型私小説作家と自己紹介さ れてましたが、あれは秋本さんを意識されていたのですか」。 「その通りです。私も若い頃はそういう傾向があったのです。しかし、現実に は、平凡なサラリーマンの道を踏みはずさないようにして、そういう傾向は抑 圧してきました。秋本さんの作品やメッセージを読んで、その抑圧された部分 がうずいてきたという訳です」。 「秋本さんとのおつきあいは比較的短いですね」。 「ええ、私がAWCに入って2カ月後にはお亡くなりになりました」。 「COTTENさんが「秋本さんを偲んで」という追悼文を書かれましたね」。 「あれはCOTTENさんが留学されたため、残念ながら中途半端で終わりま した」。 「すると、「秋本ヨナの復活」は・・・」。 「そうです。COTTENさんの仕事の尻ぬぐいをしているようなものです」。 「そろそろ完結すると伺っておりますが」。 「おかげさまで、これまでの連載で秋本さんの作品は、ほとんど何らかの形で 紹介することが出来たと思っております」。 「でも「ウンコの話でよろしいでしょうか」という作品がまだ残っています」。 「その話はもうよろしいのではないでしょうか」。 「「世にも不思議な物語」という一人リレー小説もあります」。 「おっと、その作品を無視してはいけませんでしたね。一人リレー小説という のは、同じストーリーをいくつかの違った文体でつなげる小説ですから、難し いんです。天才か精神分裂症の方でないと書けません」。 「秋本さんは天才ですから」。 「そうですね」。 「天才の条件というのはどういうことでしょうか」。 「それは、何よりもまず自分が天才であるということを臆面もなく言えるとい うことです。自分を暗示にかけなければ、人を暗示にかけることは出来ません からね。実は私も秋本さんのマネをして、天才を自称しょうとしているのです が、まだ自己暗示がたらなくて、なかなか言えません。その点、秋本さんは、 ごく自然に自分は天才だと言っているから御立派です」。 「山椒魚さんが描写しておられる秋本さんには精彩がない、と感想鬼コスモパ ンダさんが批評しておられるますが」。 「いやぁ、それを言われると弱いですね。蟹はおのれの甲羅に合わせて穴を掘 る、私が描く秋本さんはどうしても私に似て素直でおとなしい秋本さんになっ てしまう傾向があります。突如として意表をついた無関係なことを口走る歯歯 歯男が影を潜めてしまうのです。「あなたにも書ける秋本文」というアンチョ コでかなり勉強したのですが、まだまだ修業が足りないようです」。 「それでは、この辺で山椒魚さんが「秋本ヨナの復活」を書こうとされた意図 を聞かせて下さい。ヨナというのは、旧約聖書では鯨に呑込まれた人だそうで すが」。 「ええ、鯨の腹の中で悔いあらため、神への信仰をとり戻したために、この世 に復活出来たヘブライ人です」。 「秋本さんの死後にそういう人の名前を勝手につけられたということは、秋本 さんにキリスト教への信仰をおすすめになっておられるのでしょうか」。 「そういう訳ではありません。一日も早く胃潰瘍を直して、パソコン通信文学 の世界に復活して頂きたい、という単純な理由からです」。 「以前のようにAWCで活躍されることを期待しておられれる訳ですね」。 「以前とは別の形でもいいのです。同じようなペースでやって、胃潰瘍をこじ らせたら何にもなりませんから」。 「30年後の秋本さんは、どうなっておられると思われますか」。 「梶井基次郎のように秋本さんの珠玉の短編が高校の教科書に載るんじゃない ですか。文化勲章も授賞されるかもしれませんね。柴又の寅さんでも紫綬褒賞 だから、川崎の酔っぱらいの作者なら文化勲章でもおかしくありません」。 「素敵だわ。私、秋本さんと結婚しょうかしら」。 「それはいい考えです。胃の調子もよくなって、そろそろ退院される筈ですか ら、来週は、秋本作品の登場人物全員が例の閑古鳥に集まり、全快祝いをかね て忘年会をやる予定です。白石さんも是非出席して、その場で秋本さんを悩殺 したらいかがですか」。 「でも私の他にも女性の方が多勢おられます」。 「大丈夫です。出席者の中でまともなのはあなただけですから」。 (続)
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