CFM「空中分解」 #1259の修正
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八章 黄昏の中で…… だんだん眠りが浅くなってきて、体に感覚が戻ってくる。 何となく優し気な雰囲気に包まれていて、とっても気持ちがいい。 まどろみの中で、胸に抱き締めていたものを、さらにしっかりと抱き締め る。 このまま、ずっと眠っていたいな……。 そう思ったのに、眠りの方はさらに浅くなり、とうとう目覚めてしまう。 と、健司の姿が目の前にあった。 「お早う。よく眠れたか?」 健司が目の前にいることを特に不思議とも思わずに、コクンとうなずいて、 欠伸をすると、 「ところでさ、俺は別にこのままでもいいんだけど、お前としては、そろそ ろ俺の腕、離した方がいいんじゃないか?」 「へ?」 そういえば、僕が抱いてるの、健司の腕だ。 「ま、俺としては、こういうの嫌いじゃないからいいんだけどな。」 健司の手は、ちょうど僕の胸の上にあった。しかも、健司がちょっと手を 動かしたりすると非常にやばいことになりそうな体勢で。 慌てて健司の腕を離す。と、そこで気付く事実。浴衣の胸ははだけて今に も見えそうだし、裾の方も広がってしまっていて、実に危ない状態。急いで 立ち上がり、後ろを向いて帯を解き、浴衣を着直す。 そこで、再び、気付く事実。この部屋、健司達の部屋じゃないか。 何で僕がこの部屋で寝てたんだ? 健司に聞こうとして、布団の上に座り直すと、 「いやあ、それにしても、実に素晴らしい一夜だったぜ。博美って抱き心地 がいいんだな。」 「え?」 健司の奴、いきなり、そう言うものだから、急に心配になってきた。 まさか、自分でも知らないうちに……なんてことは、ないよね。 健司のおどけたような口調を聞いてると、普段、おどけるような奴じゃな いだけに、余計に心配になる。 「初めての体験だっただけに、余計、素晴らしく感じたぞ。」 「あの……。」 「どうした? まさか、覚えてない、なんてことはないよな。」 言葉もなくコクンとうなずく。だって、まったく覚えてないんだもん。 「なに、あんなに素晴らしいことを覚えてないとは。ううむ、それは残念。」 いつの間にか、康司と茂も起きてきていて、健司のそばでニヤニヤしなが ら、このやり取りを聞いている。 「ねえ……、本当に?」 やっと、これだけの言葉を絞り出す。 それでも健司と康司と茂はニヤニヤしている。 恥ずかしさで、いてもたってもいられなくなった僕は、顔から火の出るよ うな思いをしながら急いで部屋を飛び出して、本来、僕が泊まるべき隣の部 屋に戻った。 「あら、博美、お早う。よく眠れた?」 「……判んない。さっきまでは、そう思ってたんだけど。」 「あら、そういえば、顔が赤いみたいだけど、どうしたの?」 「うん、ちょっと。」 そこで、一美のそばに寄って、耳元で聶く。 「ねえ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」 「なによ。どうしたの?」 「女の子ってさ、自分で気付かないうちに初体験しちゃうことって有り得る のかな。」 「まっさかあ。そんなことあるわけないでしょ。」 「だって、健司の奴、素晴らしい一夜だった、なんて言うんだもん。」 「あら、博美、とうとう健司にあげちゃったの?」 「だから、そんなこと、全然、覚えてないんだってば。」 「覚えてないんだったら、何もなかったんでしょ。最も、記憶喪失にでもな りゃ別だけどね。」 「だって、健司の奴……。」 「からかわれたのよ。だいたい、あの部屋でできるわけないでしょ。皆がい るってのに。それにね、自分でも気付かないうちに体験しちゃうなんてこと も絶対にないの。あんなことされて、それでも気付かない女の子なんて、も しいるなら、一度、会ってみたいもんだわね。」 言われてみれば、確かにそうだ。あの部屋って康司とか真琴、茂もいたん だっけ。 と、そこで、突然、思いだしたことが一つ。 「ねえ、なんで僕、あの部屋に寝てたの?」 「あんた、夕べのこと、覚えてる?」 「うん、なんとなく。」 確か、健司と抱き合って、その……キスしたんだっけ。 うわあ、そういえば、初めて本気でキスしちゃったんだ。うわ! 今更になって、急に恥ずかしさがこみ上げてくる。 「あんた、健司に抱きついたまま眠っちゃったでしょ。だから知らないと思 うけど、あの後、大変だったのよ。麻里が大騒ぎしちゃって。」 「へ?」 「麻里って、健司のことが好きだったんでしょ? なのに、自分の好きな人 にさ、目の前で別の娘とキスしてるとこなんか見せつけられてごらんなさい よ。誰だって、冷静じゃいられないと思うわ。ほんと、寝かしつけるだけで 大変だったんだから。」 「ごめん。そんなことあったなんて全然知らなかった。」 「ま、それはいいんだけどね。だけど、あんたは健司に抱きついたまま眠っ ちゃって離れないし、麻里は麻里で半狂乱になって泣いてるし、仕方ないか ら、そのまま向こうの部屋へ健司に連れてってもらったってわけ。本人達が いなけりゃ、麻里も少しは落ち着くだろうと思ってね。」 こっちは、そんなこと全然知らずに、ただひたすら眠りをむさぼってたっ てわけか。 「でも、これからが大変よ。これで麻里が起きたりしたら、どうなるか。大 騒ぎしなけりゃいいんだけどね。」 夕べは麻里ちゃんのことなんか全然頭になかったから、あんなことになっ ちゃったけど、本当に一美の言うとおり、これからが大変そうだ。 「ま、とりあえず、着替えてさ、顔、洗っちゃお。せっかく海に来てるんだ からさ、うだうだしてないで、早く泳ぎに行こうよ。」 さて、案の定、それからが大変だった。 麻里ちゃんは目を覚ました後、大騒ぎこそしなかったものの、僕とは全然 口をきいてくれない。 −−− まだあるよ −−−
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