CFM「空中分解」 #1246の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「お嬢さんのせいじゃないんだから責任なんか感じる必要はないさ。それよ り、お嬢さんの方が心配だぜ。一体、どうしちまったんだ?」 「ええ。何か、ちょっと変なことになってしまって。でも、これも運命ね。」 「お嬢さん! 変なこと言うなよな。」 「ねえ、皆さんに言いたいことがあるの。いいかしら。」 「なに?」 「じゃあ、最初は一美と康司くんから。」 「なあに? ミコ。」 「本当に楽しかったわ。二人と知り合えて良かったって思ってるの。二人と も、ずっと仲良くね。」 「やだ、ちょっと。これが最後みたいな変な言い方しないでよ。」 ミコちゃんは、そこでクスッと笑って、 「健司くん。」 「なんだい?」 「健司くんのこと困らせちゃってごめんね。」 「別に困りはしなかったぜ。あんなにモテたことなかったからさ、ちょっと 戸惑っただけだ。」 「ふふ、でも本当に博美と仲良くしてね。喧嘩なんかしちゃイヤよ。」 「お嬢さん、本当にどうしたんだよ。」 「約束よ。絶対に博美と仲良くね。」 「ああ、判ってるって。」 ミコちゃんは微笑むと、 「茂くん。」 「ああ。」 「この前の海、楽しかったわ。これからも由香と仲良くしてね。」 「やだ、ミコったら。そんなんじゃないって言ってるのに。」 そう言う由香ちゃんは半ば泣きそうな声になっている。 「ふふ。だって、喧嘩しながら仲がいいんですもの。」 「俺だって、由香なんかと一緒にされちゃ、たまんねえぜ。」 ミコちゃんは、それを聞いて、いかにも楽しげに、しかし力なく笑う。 「ねえ、由香。本当にありがとうね。今まで、あたくしの一番の親友でいて くれて。」 「やだ、変なこと言わないでよ。これからもずっと親友だかんね。」 「ありがと。それとね、健司くんのことなんだけど、博美と結託して、あた くしと健司くんの仲を取り持とうとしてたでしょ。もう、あんなことしない でね。健司くんは博美のことが好きなんだから、これからは博美に協力して あげてね。」 「ミコ……。」 「お願いね。」 そして、ミコちゃんはため息をついて、 「博美にも言いたいことがあるんだけど、いないんじゃしょうがないわね。」 「じゃあ、俺が代わりに聞いておこうか?」 ミコちゃんは、ちょっと考えたあと、他の皆には聞こえないように声を落 として、 「健司くんに伝えてもらうのも変な感じだけど、まあいいわ。じゃあ、こう 伝えて。『博美、健司くんと仲良くね。そして、早く自分の本当の気持ちに 気付いて。』って。お願いね。」 「判った。ちゃんと伝えるよ。」 「ありがとう。それじゃ、悪いんだけど、ちょっと部屋を出ててくれる? ちょっと家族とお話をしたいの。」 「判った。」 そして、由香ちゃん、一美、健司、康司の四人は部屋を出て廊下で待って いた。一美は家に電話をかけて、僕が異常なしということで病院から戻って は来たものの、全然目を覚まさないということを聞き出していた。 しばらくして、 「美子! 美子!」 という声が聞こえ、健司達四人が慌てて部屋に入ると、ミコちゃんはすで に意識を失い、酸素マスクを付けられていた。そして、ミコちゃんのお母さ んが泣きながら、しきりにミコちゃんの名前を叫んでいた。 ミコちゃんは苦しそうに息をしていて、医師や看護婦が慌ただしそうに動 き回っていた。 「ミコ……。何でミコが、こんな目に遭わなきゃいけないのよ……。」 由香ちゃんは、苦しそうなミコちゃんの様子を見ていられなくなって、顔 を伏せると泣きだしてしまった。 一美もミコちゃんの様子を見ているのが辛くて、康司の胸に顔を押しつけ て泣いていた。 健司と康司も同じクラスの友人が、こんな目に遭っているのを見るのは初 めてで辛かった。 医師達の動きは相変わらず激しく、休むことを知らなかった。 そして……そんな医師達の努力も空しく、ミコちゃんの胸の動きが静かに 停止した。 慌てて人工呼吸に切り替える医師達。 心拍計もすでに取り付けられており、ミコちゃんの心臓の鼓動を計ってい た。 そして、心拍計の音の変化が止まる……。 「美子!」 御両親の叫び。医師の一人がミコちゃんの瞳孔の動きを確認して、首を横 に振りながら時計で時間を確認する。 「よしこぉーー!」 ミコちゃんのお母さんがミコちゃんを揺さぶって、そのまま突っ伏して泣 き叫ぶ。 「お嬢さん!」 「ミコ!」 健司達も駆け寄る。 さっきまで動いていた、そして今はもう開かれることのない口元を、健司 は見つめていた。 落ち着いた雰囲気を持っていた魅力的な瞳も、永遠に閉じられた瞼の下で、 二度と見ることができない。 いつ、果てるとも知れぬ悲しみの中で、健司達は気が付くと廊下にいた。 ミコちゃんのお父さんも一緒にいて、淡々とした、それでいて娘を失った 悲しみを秘めた口調で、 「皆さん、ありがとう。娘も最後に皆さんに会えて幸せだったと思います。」 「お嬢さん、何の病気だったんですか?」 「悪性腫瘍でした。それも急性のね。本人の自覚症状が出てから半月も持た なかったんですから、相当な早さで進んだんでしょうね。」 ミコちゃんのお父さんは、そこで鼻をすすった。 そんな言葉を健司達は半ば虚ろに聞いていた。 いつ、どうやって家に帰ってきたのかすら覚えていないそうだ。 −−− まだあるよ −−−
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