CFM「空中分解」 #1231の修正
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三章 高原の別荘 「はーい。ここ、ここ。遅いわよおー。」 待ち合わせ場所に決めた上野駅8番線ホームの先端で、由香ちゃんが手を 振る。 麻里ちゃんも茂も真琴も既に来ている。 「いやー、ごめんごめん。一美の奴がさ、化粧すんのに、えらい時間、かけ ちまってさ。」 まったく、出かける間際になって、化粧がどうの、なんて言い始めるんだ もんな。 「あら、そう言う博美も、ちゃんとお化粧してるじゃない。」 「一美の陰謀でね。しかも化粧だけじゃ満足できなかったらしくてさ、コロ ンまで付けてんだぜ。まったくもう、何で女って、こんなに時間のかかるこ とばっかするんだろ。理解できないね。」 「やーね。博美だって女の子でしょうが。まったく双子のくせしてさ、なん でこんなに性格が違うのか、あたしには、そっちの方が理解できないわ。」 「ところでさ、そろそろ列車に乗らんでいいのか?」 ほっとくと、いつまでたっても麻里ちゃんと僕の会話が終わりそうにない と思ったのか、真琴が割り込んでくる。と、その言葉を裏付けるかのように 発車のベルが鳴る。 「あわわ。やば……。」 何の因果か、また、この前と同様、発車ぎりぎりの列車に飛び乗る。 これからミコちゃんちの別荘に行くんだ。この前、海に行ったのと同じメ ンバーでね。 ミコちゃんからの連絡では、別荘が空いてるのは八月上旬くらいまでだっ ていうことだったんで、本日、七月二十八日から八月六日まで十日間の予定 で行くことになった。 で、この前は用事があって海に行けなかった香川由紀ちゃんを、また誘っ てみたんだけど、今回も用事が入ってて、やっぱりパスだって。 従って、今日、集まったのは前回のメンバーと全く同じで全部で八人。な ぜ九人じゃないかっていうと、実は、ミコちゃんが一足先に行ってるからな んだ。もちろん、ミコちゃんちの車でね。 でもって、僕達が軽井沢の駅に着く頃を見計らって、迎えに来てくれるこ とになっている。 あとね、今回の旅行が、この前と違うのは、女の子達の親全員が、誰と一 緒に行くのか知っているってこと。なにしろ、行き先はミコちゃんちの別荘 だし、お手伝いさんも来ることになってるから安心だっていうことで、皆、 許可してくれたんだ。 「しかし、楽しみだなあ。軽井沢だろ。」 列車が発車して間もなく、茂が口を開く。と、由香ちゃんが、 「確かに軽井沢だけど、何が楽しみなのよ。」 「だってさ、軽井沢っていったら、テニスギャルが一杯いそうじゃん。ナン パのしがいがあるってものさ。」 「残念でした。そういうのが目的なら、ミコんちの別荘は、ちょっと離れ過 ぎてるわよ。軽井沢の駅が一番近いっていうだけで、軽井沢にあるわけじゃ ないんですからね。ついでに言うとね、軽井沢でナンパなんて、一万年くら い古いのよね。今からなら、清里あたりへ行った方がいいんじゃない? 今 から中央線にでも乗り換えてさ。」 「ここから一人で行けっての?」 「そりゃ、あんたの自由よ。あたし達は止めるつもりないもん。」 「冗談じゃないよ。俺だって今更清里なんかに行こうなんて思わないぜ。」 「なんだ、結局、来るの。残念ねえ。今日こそ、くされ縁が切れると思った のになあ。」 由香ちゃんが、心底、残念そうな顔をする。 「おい、そりゃねえべ。」 茂は、心底、情けなさそうな顔をする。そして独り言のような感じで、 「まあいいや、清里は帰りにでも回ってくるか。」 ってつぶやいた。そこで健司が、 「おい、茂。お前、いったいどういう精神構造してんだ?」 なんて言うと、いきなり由香ちゃんが吹き出して、それにつられて、皆も 笑いだした。 茂は一人で、むくれていたけど、結局最後には、皆と一緒に笑いだしてし まった。 あとは、いろいろと話が弾み、気が付くと碓井峠をとっくに過ぎていて、 そろそろ到着するというアナウンスが車内に流れ、慌てて荷物を降ろすと、 それと同時に列車は軽井沢駅のホームに滑り込んでいた。 列車から降りて改札を抜けると、もうミコちゃんが車で迎えに来てくれて いた。 「はーい、いらっしゃい。」 ミコちゃんが手を振ってくれる。その隣で、ちょっと上品そうな女性が挨 拶をしてくれる。 「ようこそ、いらっしゃいました。何もない所ですけど楽しんでいって下さ いね。」 「あ、お世話になります。よろしくお願いします。」 慌てて、挨拶を返す。 「あん、もう、そんなに形式張らないで。ほらあ、吉野さんが形式張るから いけないのよ。」 ミコちゃんが、少しふくれて見せる。 「あら、そうですわね。ごめんなさい。わたくしとしたことが、つい、いつ もの調子で。」 その人は、そう言って軽く笑う。 へえ、この人、吉野さんっていうのか。割りと陽気で気さくな感じのする 人だなあ。 「それじゃあ、これから別荘の方に御案内します。そちらの二台のタクシー に分乗して下さいね。さ、お嬢様も。」 吉野さんは、すぐそこに止めてあった真っ赤なスポーツカーの助手席にミ コちゃんを乗せると、自分は運転席に収まった。へえ、この人、車の運転ま でやるのか。 僕達は、それぞれ二台のタクシーに分乗する。 タクシーの運転手とは既に話がついているらしく、僕達が乗り込んだ二台 のタクシーは何も言わずにミコちゃん達の乗ったスポーツカーの後を、つい ていった。 「ふうん、さすが高原だ。都内みたいに暑くなくていいね。」 車の中で、茂が感心したように言う。 窓の外の景色が、すごく涼しげで、いい感じ。車は坂を登って高原へと向 かって行く。 −−− まだあるよ −−−
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