CFM「空中分解」 #1206の修正
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★内容(1行全角40字未満、500行まで)
一章 恋敵? いいえ違います 「たっだいまあ。」 一美と一緒に学校から帰ってきた僕は、家の玄関を勢いよく開けた。 「あら、お帰り。二人とも葉書が来てるわよ。」 お袋が玄関先に出てきて、その葉書を渡してくれる。 「へえ、同窓会の通知じゃない。そっか、卒業してもう一年経つもんね。」 一美が靴を脱ぎながら葉書を読んで、はしゃぎ始める。一方、僕は気が重 くなる。 「あら、博美ったら、どうしたのよ。一人で暗くなっちゃってさ。」 二階への階段を上りながら、一美が弾んだ口調で聞いてくる。 「どうしようかな。同窓会なんて、あんまり行きたくないんだけどな。」 なるべくなら連中とは顔を合わせたくない、というより、はっきり言って 会いたくない。 「なんでよ。一緒に行こうよ。」 「だってさ、一美は中学の友達が懐かしいだろうけど、僕はあまり懐かしく ないんだよね。いじめられた記憶がまだ生々しくてさ、まだ皆とは会いたく ない。」 「でも、一年前と状況が違ってるんだし、それに博美のことも、皆に知らせ たいじゃない。」 それも、行きたくない理由の一つなんだけどね。 「だから余計に嫌なんじゃないか。」 「大丈夫よ。健司くんや康司くんも一緒に来てくれるだろうから。ね? 一 緒に行こうよ。」 そうか、あの二人も一緒なんだっけ。こりゃいかん。一美と共謀して人を 無理やり引っ張って行くくらいのことは、あの二人ならワケないからな。勝 ち目がないや。 「折角だから、めいっぱいオシャレしてこうね。」 「冗談じゃねえ。」 「あら、女の子がオシャレしないでどうするのよ。」 一美の奴、人の事だと思って完全に遊ぶつもりだな。 あ、初めての人には何の事か判らないだろうから、ちょっと説明するね。 まず、僕、中沢博美は中学校までずっと男だと思って育ってきたんだけど、 一年前の高校入試の合格発表の日に起こした腹痛らしきものによって、実は 女であることが判明し、本人も周りも大慌てをしたって寸法だ。 ついでに、一美は二卵生ではなく一卵生双生児の姉であることも判ったっ てわけ。 ただ、時期が時期だったので、中学時代のクラスメートにはこのことは告 げず、担任の先生と高校の先生方だけが、その事実を知っていた。大騒ぎさ れるのが嫌だったからね。 で、半年前の夏休みの終わり頃、しばらく下宿してた僕は、一美と一緒に、 中学時代の同級生、山口健司・康司兄弟(こちらも一卵生双生児)と久しぶ りに再会したんだけど、そのとき不思議なことが起こったってわけ。 話は、そこから帰ってきたとこで終わってたから、その後の事について整 理すると……。 えっとね、あの不思議な世界から帰ってきて気が付いたときなんだけど、 向こうの世界じゃ何日も過ごしたはずなのに、こっちに帰ってきたら、向こ うの世界に行く前に起こった地震から数分しか経ってなかったんだ。 で、わけが判らないまま、その日はとりあえず健司と康司を家に帰して、 また次の日に集まって、変だの不思議だのと騒いでみたんだけど、結局、何 も判らずじまいだったので、それ以上の追求は諦めた。 それから二、三日後、たまたま家に寄ったとき、お袋から、最初はどう接 したらいいのか判らなかったから、つい下宿なんて許したけど、今となって は寂しいし、それに下宿代もバカにならないから家に帰ってきて欲しい、な んていわれてしまった。 全面的に経済を親に頼ってる身としては、こう言われたら従わざるを得な くて、結局、夏休みが終わる寸前になって家に戻ることになって、そこでお 引っ越し。 でもまあ、あの下宿よりは自宅の方が学校に近いし、それに食事の心配も しなくて済むから、楽にはなったんだけどね。 そして、夏休みも終わって二学期に入り、康司と一美は、まあ良い仲にな って、二学期中もデートを重ね、その二学期も無事平穏に過ごして、冬休み。 冬休みがあれば、その半ばで正月を迎えるのは、当り前と言えば当り前。 どうやら親父とお袋は前から考えてたらしいんだけど、いつの間にか振袖 の着物を用意してたんだ。それも一美と僕とお揃いで。そりゃ、普段、女の 子としての普通の格好をするのには慣れたけど、でもまだこういった特殊な 格好をするのには慣れてない。はっきり言って恥ずかしい。 恥ずかしいから嫌だっつったのに、無理やり着せられて、その晴れ着姿で 家族で初詣。 でもって、悪いときには悪いことが重なるもんで、人がまだ晴れ着姿でい た初詣の帰り、健司達の一家と、道でバッタリ出会ってしまったんだ。親た ちが新年の挨拶だので時間をつぶしてる間に康司と一美はその場を離れ、今 年の初デートと相成った。で、それに健司と僕も共に付き合わされることに なって、お邪魔虫的存在のまま二人の後についてった 喫茶店に入って、お茶しながら康司と一美ははしゃいでる。その間、健司 は何も言わず、ただ僕の方を見ていた。僕は恥ずかしさが先に立っていて、 ずっとうつ向きっぱなしだった。 で、まあ、そのあとバレンタインデーなんかも無事に過ぎて、三学期も終 わり近く。 もうすぐ春休みって頃になって、突然、一美と僕にそれぞれ葉書が舞い込 んできた。 どうやら三月三十日に中学の教室を借りて同窓会を行なうってことらしい。 ちょうど、卒業してから一年目ってことで、集まることになったんだろう。 ただねえ、僕としては中学時代、あまり楽しい思い出がないから、同窓会 なんか行きたくないんだけど、一美は一緒に行こうって言ってるんだ。なに しろ、皆とは一年ぶりに会うことになる訳だからね。 でもって、なんやかややってるうちに終業式も終わって春休みに突入。 そして、あっという間の三月三十日、同窓会当日になってしまった。 僕は最後まで抵抗したんだけど、結局、健司と康司と一美の三人に引っ張 られて行く羽目に陥ってしまった。だけど、やっぱり皆にはあまり会いたく ない。 なるべく皆とは顔を会わせないつもりで、とりあえず中学校の校舎に入っ た。 「ちょっと、山下先生に会ってくる。」 中三の時、お世話になった先生だから挨拶したいし、それに、皆とは顔を 会わせたくないしね。 −−− まだあるよ −−−
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