CFM「空中分解」 #1146の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「それなら、一度その某有力者という人物に会わせて貰おうかな」 浅野雪子が絡んでいると聞いて、急にこの話に深入りしたくなった... 「その人物なら先輩がよく御存知ですよ...先輩の同窓生で一番の大物って言えば 分かるでしょ?それもあって相談しているんです」 「飯野か!」 冬野所長の同級生で、高校時代に東京から転校してきた色白で小太りの飯野豊を思い だした。 現在は30代で父親の会社を継ぎ、国会議員も3期連続して勤めるなど、仲間内でも 評判の実力者であり、将来は大臣の椅子も望める政界の若手としてマスコミにも時々 取り上げられていた。 高校時代は、勉強もできたが女にも手が早くて、ちょいちょい問題を起こした男であっ たのに実社会と言うものは学校とは違うものである。 「あいつは今、東京に居るんじゃないか?」 「いいえ、国会が終わって今は岡崎に帰っている筈ですよ、警察には本人から電話が 有ったようですから」 「じゃあ、明日でも電話して会ってみよう...お前も一緒に来るだろ?」 「いいですよ、じゃあ明日の昼ごろ事務所に行きますから」 しかしこの事件は明日の昼まで待ってはくれなかった... その頃、ホテル葵のエレベーターには泥酔した浅野健三と、肩を支えている浅野雪子の 姿があった... 冬野所長を帰したあとで、久しぶりに夫婦水入らずで飲みに行きたいと雪子が誘ったの だ。 健三はやはり脅迫が心配なのか、無茶飲みをしてしたたかに酔った。 そして二人の乗ったエレベーターが6階に着いた頃、一階のフロントにはサングラスに 顔を隠した男がチェックインしている姿があった... その夜、浅野健三は、夢を見ていた...白くたなびく雲の上を自分一人が飛んでいる 夢である。 まるで大雪原の上に浮かんでいるような気持ちだった。 「う...寒い..」 彼はベッドの傍らにあるエアコンのスイッチをOFFにした...それが彼のこの世で 最後の行動になるとも知らず... 第一発見者は、あまりにも起きてこないので不審に思ったフロントの主任と係員が、 マスターキーでドアを開けたところ、チエーンがかかっていて少ししか開かず、その 隙間から部屋を覗いて見ると、ベッドから力なく垂れ下がった腕が見えたので大騒ぎに なったのだ。 雪子夫人は、死体を確認すると貧血を起こして倒れた... 不思議な事にホテル葵の602号室は中から鍵が掛かっていて、ドアチェーンもして あると言う完全密室になっていたのである... ドアの下にも床との隙間はほとんど無い。 死因が、また変わっていてベッドの上で浅野健三は窒息して死んでいたのである。 テーブルの上には財布が有って、中身は20万ほど手付かずで残っていた。 そして、何かを飲んだらしいコップが一つテーブルに出ていた... 「絞殺じゃないのか?」 岡崎警察署の浦野警部は額の汗を拭きながら、白目をむき出した死体をのぞき込んで、 鑑識の係員に声を掛けた... 死体は苦悶の表情も無く、静かに息絶えている。 浦野警部の隣には顔面を蒼白にした、浅野雪子が若い警官に支えられながら、呆然と 立っていた。 「幅の広い柔らかい帯状の物で首を締めれば、痕跡が残りませんが、この仏さんのよう に完全に無傷というのは余程上手く締めないと無理なんですがね」 鑑識の係官にも、死因は判別しにくいようだった。 「指紋は出たか?」 「仏さんのものと、奥さんの指紋は判別出来ますが、ホテルというのはいろんな人が 泊まりますからねぇ...出たとしても容疑者を割り出せないと思います」 遺留品としては、妙なことに夏用の籐(トウ)の大きな旅行用トランクが水を張った 湯船の中に浮かんでいた。 中はカラッポで、一体これが何を意味しているのか捜査本部でも皆目見当が付かない のだ... それから湯船には小さな新聞紙の切れ端が浮かんでいた... 籐(トウ)のトランクの持ち主は浅野雪子夫人で、中には衣類が入っていたと証言した 出かける時には自分の部屋のテーブルの脇に置いてあったと言うのだ。 なぜ犯人は、浅野夫人のトランクなんぞ風呂の湯に漬けたのか?どこから逃げたのか? どうやって殺したのか? なぜ健三のサイフに手もを付けず、トランクの中の衣類だけ盗んだのか? 謎は深まるばかりであった... 「おい、通してくれ..怪しいものじゃない!あ、こら、財布の中なんか調べるな!」 けげんな顔の浦野警部の前に、さえない中年男が現われた。 ボウ然自失している浅野雪子のほうをチラッと見て、その男は... 「こんにちは、私は浅野夫人に被害者の保護を依頼された冬野探偵事務所の冬野と言う 者なんですが...ちょっと調べさせて下さい」 「警部どの、冬野所長は自分の学校の先輩でして、腕っこきの私立探偵なんです」 一緒に入ってきた杉浦巡査が、疑わしそうな表情の浦野警部に対して必死の釈明を 試みる..
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