CFM「空中分解」 #1132の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
(11) 「何だ。あの爆発は? 誰かが爆雷でもぶっ飛ばしてるのか?」 「ヘリのMAD(磁気探知器)では海中には、潜水艦などの金属物体は探知されてい ない。勿論、レーダーにも我々以外の機影は映っていない」 「と、すると……」 「イルカ達だよ」 「えっ?」ケンの言葉にヘリの中のメンバーは驚いた。 「あのな、ケン。イルカがあんな凄い爆発をどうやって起こせるんだ。爆雷やミサイ ルなんか持ってないんだぞ。テレビのマンガじゃないんだ。こんな時に冗談いうな」 リーはケンを叱った。 「冗談じゃないよ。だって、イーやローが言ってたんだ。僕達はいろんなことができ るんだよって。人間が知らないだけなんだってさ」 「ケン、止めろよ。そんな作り話。イーやローがそんなことを話せる訳ないだろ。あ いつらの頭の中は、いつだって魚のことばかりだ。僕らと遊んでる時だって、『来い !』とか『行け!』みたいな単純なやりとりしかできないんだぞ」 「そんなことないよ。イーやローはいろんなことを話してくれるよ。あの黒い奴のこ とだって前に話してくれたもの。半年前にイーとローが海洋パークに連れてこられた 時も、ローがあいつのせいで大怪我したのを、イーが付き添ってたんだ。あいつは、 みんなの敵なんだ。だからイーとローは仲間を集めてたんだ。でも、こんなに早くあ いつが動き出すとは思ってなかったみたい。準備ができてないんじゃないのかな」 「止めろったら、いい加減にしないと殴るぞ!」 「リー、お止しなさい!」ヒトミがリーとケンの間に割って入った。 その時、ヘリが大きく揺れた。 「何かに掴まれ! 水柱がヘリの側に立っている!」パイロットが叫んでいた。 ヒトミはケンを座席に座らせると、その前に跪いた。 「ケン、さっきの話、本当のこと? 作り話じゃないでしょうね?」 ケンはヒトミのブルーの目に見つめられても動じなかった。 「本当さ」 「嘘付け!」リーがケンの肩を小突いた。 「リー! お止しなさいって言ったでしょ。座ってなさい!」 リーは渋々座席に座った。 「どうやって話したの?」 「あのパソコンで話したよ。ヒトミさんだってやってるじゃないか」 「私はイーとローの言う言葉を想像しているだけよ。イルカ達の言葉は分からないの よ。だから知りたいの。ケンはどうやって話したの?」 「言っただろ。パソコンで話ししたって。信じないの!」 「誰が信じるもんか!」 「リー」ヒトミはリーを睨んだ。 「信じてるわ。それじゃ、もう一つ、大事なことを聞くわ。あの黒い怪物はいったい 何なの? イーやローはあいつのことをどう言ってた?」 「あいつは、大昔は仲間だったって。ある時、遠い遠い所から、みんなでここにやっ て来たって。何か大変なことがあって、仲間が次から次に死んでいったんだ。その時 イーやロー達の祖先は、生き残るためにイルカになったんだって。だけど、あいつは それを嫌って、あんな姿になったんだって」 ヒトミは首を振った。この子は何を言おうとしてるの。リーの言うとおり、この子 は嘘つき少年なんだろう。 「大昔って、いつのこと?」 「この辺りの海の西の方に、白くて冷たくて浮かんでる陸があって、今よりも陸が近 かったって。陸はみんな白くて冷たかったらしいんだ。海の水も今よりは冷たかった みたい。それから段々と暖かくなって、白い陸は無くなったらしいよ。白い陸って、 氷のことだ。きっと氷山だね」 アジアのこの辺りを氷が覆っていた頃、次第に暖かくなって現代に至るその時。 それは、最後の氷河期、ヴェルム氷期だ。 ヴェルム氷期は今から七万年前に始まった。氷河が最も多くなったのは、二万年前。 ケンが嘘つきでなく、イーやローが真実を語っているとすれば、そのできごとは今 から二万年前に起こったのだ。 だが、イルカになったとはどういうことだろう? イルカやクジラの仲間は、六千万年前に地球上に現れたと言われる。イルカの中で 最も数が多く、変異に富んでいる比較的新しいマイルカ科でさえ、中新世後期、約一 千万年前に進化したと言われている。 イルカになったとは……。 ヒトミが考え込んだ時、ヘリが再び揺れた。 ★ ★ ★ 爆発の数は次第に増え、水柱は同時に何本も海上に立った。水は百メートル以上も 吹き上げられ、大量の水は『黒い海』の破片と一緒に降って来た。 よく見ると、海上を火花が時々走っている。その火花自体は大したことはないが、 正体がよく分からない。その発生元は、『黒い海』の縁だ。 海面がぐぐっと山のように盛り上がると、爆発を起こし、その中から火花が飛び出 すのだ。 「何が爆発してるんだ?」パイロットが呟いた。 「そうだ!」ヒトミは、手に持ったラップトップの表示データを見た。 その中のデータの一つが注意を引いた。 PH=4.9 爆発直後にこのデータを送信したブイは壊れたのだ。 「アルカリ! 爆発直後に海水がアルカリになっている!」 ヒトミは操縦席に飛び込むと、まだ続いている爆発をじっと見つめた。 爆発した後、海面をいくつか火が走る。 「やっぱり! もっと上昇して! ここにいると危ないわ。少なくとも、あの水柱の 水を浴びない高度まで上昇して。急いで! 向こうのヘリにも連絡して」 「どうしたっていうんだ?」 パイロットは操縦稈を引いてヘリを上昇させながら尋ねた。 「高校の時、やらなかった? 金属ナトリウムを水に放り込む実験」 「えっ?」パイロットは妙な返事をした。 「金属ナトリウムは、水と激しく反応するのよ。大量の金属ナトリウムは、爆発物と 同じよ。ああやって、水と接触すると一気に反応して爆発するのよ」 「どうして、金属ナトリウムがあるんだ?」 「さあ、分からないわ……」 「ヒトミさん、その実験はやったよ。金属ナトリウムは、水と反応すると水酸化ナト リウムができる。水酸化ナトリウムは、石鹸のもとだけど、濃いと皮膚を溶かすよ。 それに爆発の勢いだって。そうすると、イルカ達は……」 ケンの言葉にヒトミはどきっとした。 水柱の間から『黒い海』がのたうつ姿が見え、その周りに何百頭ものイルカが白い 腹を上に向けて浮かんでいた。 『黒い海』の周りの海面は赤く染まっていた。 「ローが死んじゃう。ローっ! 死なないでーっ。死んじゃ嫌だーっ!」 ケンは座席を飛び出すと、ヘリの監視用のバブルウインドウに顔と両の掌をくっつ けて叫んでいた。 −−−−−−−−−−−(TO BE CONTINUED)−−−−−−−−−−
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