CFM「空中分解」 #1124の修正
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★内容(1行全角40字未満、500行まで)
(5)KIKEN! 「所長、駄目でした」 大野がドタドタと部屋に入って来た。 「ヘリは出ないんだろ?」 「えっ、ああ、そう、そうです。すみません」 「警備隊は、後藤隊長か?」 「はあ、薄情な人です」 「彼とは大学時代、水産学科の同期だった」 「あっと、失礼しました」 「いやいい。だが当然だろうな。私が沿岸警備隊なら、夜中にヘリは出動させん」 西田は、すっくと椅子から立ち上がり、窓際に歩み寄った。 「二人も行方不明になってるんですよ。もう少し融通がきかないんですかね」 ルルルル・・・・。ルルルル・・・・。 突然、所長の机の上の電話が鳴り出した。 西田が振り向いた時には、いち早く大野が受話器を取っていた。 「はい、所長席です。はっ、はあ、そうです。えっ、いえ。そっ、そうですか! い や助かります。感謝します。はっ、そう伝えます。はっ、よろしくお願いします」 大野は受話器を置きながら、西田に報告する。 「ヘリは出るそうです」 「んっ?」 「いえ、もうすぐ日の出ですので、ヘリ部隊は既に待機中とのことです」 「そうか……」 奴らしい。相変わらず固い男だな。筋だけは通す。 西田は、思わず口元がほころびているのに、気付かなかった。 ★ ★ ★ 「ケン君、聞こえる? ヒトミよ。いるんでしょう? 怪我してるの? ケン君。返 事して頂戴」 何百回、同じ台詞で呼び掛けたろう。 しかし、ヒトデ島は静まり返っていた。 「ヒトミさん、駄目だよ。返事がない」 サーチライトの熱に炙られ、額にぐっしょりと汗をかいたリーが泣き言を言った。 「ふーっ、駄目。おかしいわね。確かにローの声はこの海域から聞こえたのに……」 リーはサーチライトでヒトデ島の海岸線を照らしていたが、そのライトから手を放 した。サーチライトの光はゆっくりと島影から海面を撫で、二人の乗るモーターボー トの周りの海を照らした。 強力なライトは海中に突き刺さり、突然の光に驚いた魚達が慌てて光の輪の外に逃 れるのが、はっきりと見えた。 「でも、ヒトミさん。ローの声が聞こえるんじゃないのかな?」 「そうね」 ヒトミは、ラップトップを手に取った。 キーを叩くと、画面が現れた。 <QU・・・・・IN・・・> <RURURU・・・> 「ローだ。イーもいる!」 ヒトミの肩ごしにラップトップを覗き込んでいたリーが声を上げた。 「ヒトミさん、こっちから話し掛けられないの?」 「水中マイクと水中スピーカーは、ここから十キロも離れたセンターのひょうたんプ ールの中よ。まだ調整が充分じゃないから、イーとローの会話は聞けても、話ができ るかどうかは分からないわ。それに、このラップトップの送信出力も五十ミリワット しかないし……」 それでもヒトミはキーを叩き始めた。 <KU KU KIKEN KAERE! KOKO HANARERO!> <W.A.Y?> <NO! GO AWAY> 十キロ離れたひょうたんプールの中に備えつけられた水中マイクが、ローの音声を 拾い、センターの大型コンピュータが解読した結果を、無線でヒトミの持っているラ ップトップパソコンに送っているのだ。だが、翻訳がおかしい。英語と日本語と略語 がごちゃまぜになっている。 「通じたわ。でも、ローは帰れって言ってるわ」 「どうしてだろう? それにケンは?」 <W.I.KEN?> <H.I.W.U> 「一緒にいるんだ。怪我してないのかな?」 <H.UP! GO AWAY! KIKEN!> 「何が危険なんだろう。ローは何を言ってるんだ?」 <KIKEN! KIKEN! SEE SEA! SEE SEA!> 「海を見ろ? どういうこと?」 リーはボートの船縁から身を乗り出した。 「ヒトミさん!」 「どうしたの? リー」 「海が、海が黒い!」 「ええっ!?」 ヒトミもボートの縁から海を覗き込んだ。そして、息を飲んだ。さっき海中深くま で突き刺さっていたサーチライトの光が、海面で断ち切られていた。 二人の乗る17インベーダーの周りの海は、ノッペリとした黒一色で塗り潰された ようだった。まるで、油でも撒いたかのようだった。 「海が……」 ヒトミが呟いたその時、ボートがぐくっと持ち上げられた。 ヒトミはスロットルを開けた。しかし、スクリューは回転するが、空回りしていた。 ボートは完全に水の中から出ていたのだ。 「わっ」「きゃっ」 二度、三度、ボートは揺すられた。そして次の瞬間、ぐーーーーーんと、持ち上げ られた。 「ヒトミさん!」「リー」 二人はシートに座ったまま、抱き合っていた。 重力に逆らってボートを持ち上げていた力が、ふいに消えた。 ボートはそのまま、海面に落下した。 グワーーーン・・・・。 何か固いものにでもぶつかったような激しい衝撃がボートの底板を破った。シート から身体を放り出されそうになる。海水が滲み出て、二人の足を濡らした。 再び、ぐーーーーんと持ち上げられたが、その勢いは加速していき、遙か上空にボ ートを投げ出した。 ヒトミとリーは片手を繋いだまま、ボートから投げ出され、空中をさまよった。 その時、二人は見た。 真っ黒い小山のような大きなものが、海中からせりあがってくるのを……。 パリン! サーチライトが砕ける瞬間、そいつの顔を一瞬捉えた。 ぽっかりと開いた横長の洞窟の中には鋭い牙が無数に並んでいた。 −−−−−−−−−−−(TO BE CONTINUED)−−−−−−−−−−
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