CFM「空中分解」 #1077の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
ここは、とある街の盛り場。一軒のバーに今日も仕事帰りの男たちが集まっていた。 「よお、知ってるか? この国のお姫様、本当は王様の子じゃないって話」 「どっちのお姫様だい」 「姉の、リブラルタ王女さ。何でも、子供のできなかった王様が拾ったんだと。それ が、その後でバルバーラ王女が生まれたってんで、世継をどうするかもめてんだとよ」 「その話、リブラルタ姫は知っているのかい」 「さあな」 「「「ガチャン!! 不意に、皿の割れる音がして、話をしていた男が振り返ると、 この店で働いているリブルという少女が、呆然と立っていた。 「ねぇおじさん、今の話、本当?」 「さあ、俺もまた聞きした話だしな、確かとは言えねえ… どうかしたのかい?」 「べつに……」 * その王国には、二人の美しい娘がいた。その、姉の方であるリブラルタは活動的で、 明るい女の子で剣術の腕は王国で右に出る者はいなかった。彼女は国中の者に愛され る、不思議な魅力を持っていた。また、彼女は毎日城をこっそり抜け出しては街へ出て いたが、王や城の者たちも黙認しているようであった。 一方、妹君のバルバーラも、大変美しい姫であったが内向的で、武術よりも魔術の 方を得意としていた。彼女は、国民誰にも愛される魅力を持つ姉に、少なからずコンプ レックスを抱いていたが、それは普通の弟や妹が兄や姉に持つ感情とさほど変わりな った。 リブラルタはよく気の付く、優しい娘だったので、妹のそういった感情にもそれとな く感づいてはいたが、それすら優しく受け入れているので、リブラルタとバルバーラは 結局中の良い姉妹であった。 * リブルは悩んでいた。もし、酒場の男の話が本当なら、彼女の親は誰なのかわからな くなる。 「ただの噂話よ」 そう言って自分をなぐさめても、どうも納得がいかない。火のない所に煙は立たず、 である。何の根拠もなしに噂がおこるとも思えない。 「どうしたの、そんな顔して…」 リブルの親友、ステリアという少女が声をかけた。リブラルタがリブルと名乗り、 街で出会ってから、ふたりは無二の親友である。 ステリアは、また、街中で唯一、リブルの正体を知っている者だった。彼女もまた、 魔術師であり、リブルの正体を見抜いたのである。 声をかけられて、リブルは理由(わけ)を話した。 「そんなこと、気にしちゃだめよ。あなたらしくもない」 そういって元気づけるステリアに、リブルはただ黙ってうなづいていた。 * そんなある日、王国に異変が起こった。王国の政治に不満を持つ者たちが、ブルター クという男を筆頭に暴動を起こし、街や村を荒し、ついには王国の象徴であり平和の 象徴である、二人の王女の妹君をさらって行ったのである。さらに彼らは悪魔と手を 結び、妹君をいけにえにしようとしていた。国は乱れ、不安に包まれていった。 王は反乱軍に対して鎮圧にかかったが、悪魔の力を借りる反乱軍になす術がなかっ た。 「こうなったら私が行くしかないわ」 リブルがそう言って、旅立とうとした。それを見て、ステリアもついて行くと言い 出した。リブルは止めたが、ステリアは、 「私の魔術の腕を信用しなさい」 と言って、ついて来てしまった。 「ただし、泣き言は言わないでね」 リブルはその青く澄んだ目でステリアを見つめていた。 つづく………
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