CFM「空中分解」 #1061の修正
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「Rpg.Novel.Story.」<プロローグ7> by 尉崎 翻 精霊に絞り取られた精力も少しずつ回復してきたらしい。 レナは建物の壁に手をあて壁ぞいに歩いていた。 「「「おかしい‥‥ 彼女は一歩一歩と歩きながら考えていた。先程、チンピラ達へ使用した魔法は精霊 魔法の一つであった。だが、今にして思えば自分の身体をその代償せねばならぬ精霊 髢v@を使わずとも、もっとレベルの低い他の魔法でも十分に蹴散らすことが出 ずである。 だが、あの時。 彼女の思考には、雷の精霊を呼び出す他は無いとしか考えつかなかった。 それが自分の本当の意志であったのか「「「「「それとも「「「「 「「「「精霊自身がソレを望みレナの思考に何らかの圧力をかけたのか。 結論のでぬまま彼女はさらに歩み続けた。 「馬鹿な‥‥」 無意識に男の口から声がもれた。 こんなはずではなかった‥‥‥ たかが、小娘一人‥‥‥ 目をつぶっても勝てる相手のはずであった。 数刻前まではそう思い込んでいたのだ。 だが今はどうだ! その小娘を相手に手間どい、かすり傷程度しか負わせられない のだ。自分の剣技があの小娘と同程度だとでもいうのか! 男の目の前でティスタは息を少々乱しながらも、剣先を男の方へ向け隙をまったく 見せずにかまえていた。その足元にはチンピラの死体が十人弱、ころがっている。 ティスタの自分がLV8というセリフに、チンピラ達は一瞬戸惑ったが直ぐにそれ は一笑された。いくら強くとも、こんな小娘がレベル8なんぞであるわけがない「「 「「と。 その考えは数分後に崩れ去ることとなる。 彼ら「「「チンビラ達の組織の用心棒的存在である男。彼の剣術は本物であったの だ。いまでこそ用心棒などということをやってるが、昔はLV7の地位を持つ剣士で あった。 LV「「「レベルとは多くの職業人、それぞれにつけられた技量の上下である。 LVは最初は0でありある程度技量が上がればそれと共に多くなる。その基準は職 業によってはまちまちであるが、同程度のLVをもつ者であれば「「「すなわち、同 じLVの戦士と魔術士が戦いあえば、五分五分の戦いとなる。 普通、LV5があれば、LV1の者5人を一度に相手出来る。 そして、用心棒の男はLV7。普通の相手ならば絶対に負けるはずがないのだ。 だが、その小娘は自分はLV8だと言った‥‥‥ こんなら若い、しかも女がLV8とは‥‥‥信じる方が無理である。 チンビラ達は笑いながらティスタを囲む輪を狭めていった。数人を除いては。 その数人とは昨夜酒場でティスタにKOされた者達であった。 「先生。こんなホラ吹き娘、オレ達だけで十分でさぁ」 腕には多少の自信のある、愚かな者が用心棒の男に一声かけ三人でティスタの前に 出た。用心棒の男が止める間もなく一人がティスタに飛びかかった。 一瞬だ。 男は地面に崩れ落ち、首筋から腰までの傷口より鮮血を吹き出させ絶叫 と共に断命した。 「おのれっーーーっ!!」 逆上した二名がティスタに飛びかかる。同じだ。チンピラの刃の間を野獣のごとく すり抜け、次の瞬間にはティスタの剣が、牙のようにチンピラの急所を斬り打つ。 「「「いまだ! ティスタは自分の飛びかかってきたチンピラを斬り捨てると自ら残りの男達のド真 ん中に突撃した。男達の心に動揺が走っていた一瞬をティスタは見逃がさなかったの だ。LV8のティスタだ、ただでさえチンピラ達には勝ち目はない。 ティスタが何度目かの断末魔の悲鳴を聞けば残っていたのは用心棒の男と、昨夜の 路線顔面男を含めた数名だけであった。 @だが、ティスタの方も無傷ではなかった。 誰かの剣があたったのだろう。左の太股が15cmほど斬れていた。他にも数ヵ所 出血部分があり、血が大量ではないにしろドクドクと流れている。 「どうしたの?用心棒さん。あたしの実力みて唖然として声も出ないのかしら?」 息は少々乱れているが、半分からかったような声から察すれば少なくとも気力はま だまだ大丈夫らしい。 用心棒の男はギュと、己の剣を握り直した。「「「「「剣と剣が交じ合う。 互角。 攻守が双方とも一進一退の動きである。 ここでティスタにとって、太股の傷が痛かった。物理的に。精神的に。 体勢の立て直しが負傷のためわずかだが遅れ出している。 用心棒の男は執拗にそこを攻めるが、致命的な一撃が加えられないのだ。剣がぶつ かり双方が大きく離れた。 用心棒の男がチラリと路線顔面男達、数人を見る。 それが合図だった。路線顔面男達がジリッジリッと移動しはじめた。 ティスタの不覚である。戦いに集中しすぎてその気配に気付かなかったのだ。 用心棒の男が大きく構え直す。ティスタも合わせ呼吸を整えた。グイッと前に踏み 込んで刃がティスタの首筋を狙う、ティスタがとっさに剣を突き出し横に払った、左 に弧を描きティスタの剣が下から上に振り上げられる。間一髪で用心棒の男はそれを よけ、身体を半回転させてティスタの胴を横にはらう。左に弧を描いていたティスタ の剣が8の字を描いてそれを受け止めた。 気配だ! 急激に。いや、いままでティスタが気付かなかったためそう感じたのだろう。殺気 が背後から忍び寄る。ティスタは受け止めていた剣を滑らせ前に転がる、瞬前に背後 から路線顔面男が剣でティスタの背中を斬りつけた! ティスタの判断がコンマ秒でも遅ければティスタはもうこの世にいなかったであろ う。だが、負傷は決して軽くはなかった。時間がなく、簡易鎧をつけただけで戦って いたティスタは背後になにも装備していなかったのだ。服の背中がバックリと裂かれ 血が吹きだす、意識がフッと弱くなるが痛みがそれを遮った。 用心棒の男の剣がティスタの頭に振り降ろされる、ティスタが中腰の姿勢でこん身 の力を込めそれを受け止める。激痛が背中に走りウッと顔をしかめた。バランスが崩 れた。あわてて左脚を横に出し姿勢をたもとうとする。それがいけなかった。太股を 負傷していた左脚は力が入らず結果として地面に倒れ込む。あわてて右脚で地面を蹴 り左へ転がった。なにかの衝撃がティスタを襲った。姿勢を直そうとしたセツナであ る。脳天、両手、両足、胸、腹、いたる所に何かが何度も何度も打ちつけられた。 ティスタの身体から力が急激に抜けていき、意識がもうろうとなった。ボンヤリと した視界が映した情報から、男達がこん棒のような物で自分を殴り続けているのだと いうことが判った。不思議と痛みは徐々に薄れ、しばらくして感じなくなった。路線 顔面男達の向こう側で用心棒の男が笑いながらなにか言っていたがティスタの精神に はもう言葉を拾う力が残っていない。やがて、男達は剣を取り出し振り上げた。 「「「もう‥‥だめか‥‥。 ティスタの心がそう思い頭の中でその言葉が飛びか う。男達の剣がまさにティスタへ斬り降ろされようとしたとき‥‥‥ 男達が絶叫と共に地面に倒れ果てた。 その原因が判らぬままティスタは意識を失った。 <つづく>
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