CFM「空中分解」 #1058の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「やれやれ・・・やっと着いたかの・・・ごふぉっ。」 神田川博士が、のんびりと言う。 「うわっ、本当に呼んだんですかー?」 驚く啓介を尻目に瓢ひょうと神田川はビルに向かう。 「君達がそんな目にあったのなら、こちらも早めに手を打たねばの・・・。」 一行もビルに向かい歩きだした。 「【まなぶくん】!、来い!!」 大男が軽トラを呼ぶ。【まなぶくん】も一行の後に続いた。 「あいつの改良もしたほうが良さそうじゃのう・・・げほっ・・・。」 むせて息をきらしながら、博士は言った。 ビルの入口では課長が手を振っている。 「・・・私達もいそぎましょう。」 真紀が声をかけた。 先程の地獄の拷問のダメージのせいか、啓介と真紀は少し連中よりも遅れ気味で ある。 その時、二人の目の前の空間がパックリと口を開け突然歪んだ(ように思えた)。 「きゃああっ」 傍らの真紀が、思わず悲鳴を上げてしがみついて来る。 二人は引きずり込まれるような引力を感じながら、落下とも上昇とも方向性のつか めない流れのなかに巻き込まれた。 「へぇー、あんたでも怖い時があるのか。」 「気分が悪い・・・バスに酔ったみたいな・・・。」 周囲の風景は一変している、視界が良いのか悪いのか・・・果ての見えない世界。 「闇」といえばようのだろうか?煤けた空間に啓介と真紀は放り出されてしまった。 その中を始めの勢いこそないとはいえ、二人は流れにのって移動していた。 「ビルを呼ぶ時に・・・何か手違いがあったのかしら?それとも・・・佐々木の攻 撃としたら・・・目立ち過ぎたのね、ビルが・・・こちらは敵の本拠もわからない というのに・・・。」 「ふーん、本拠地ねぇ。俺はもうこの島ごと叩き潰しちまった方がめんどうくさく なくっていいと思うがなぁ。」 ここのところ続きすぎたストレスからか、啓介が投げやりな事を言う。 「問題発言!だめよ、操られている人達の生活はどうなるの?大体そんな事したら 『物質復活爆弾』もどうなるのよ。八丈島を救う事が任務の遂行にもなるのよ。」 「へーへー、で・・・今のこれはどういう状態な訳?」 「ちょっと・・・どうして何でも私にきくのよ。主人公でしょーが、ここはなんと かしてくれたらどうなの?」 「・・・とか言っても実はアテにしてないんだろーが。」 半ば本気でスネている啓介を真紀は軽くあしらった。 「あ、やっぱわかった?」 などと言っていると、突然眼前に大蛇があらわれた。 大蛇は今にも噛みつかんばかりの近さに見えながら、擦れ違うようにして二人の身 体をすりぬけてどこへともなく消えてゆく。 啓介がふと気付くと、真紀はすっかり怯えて震えていた。 「どうしようもないのよ・・・私は・・・ヘビが・・・大っキライなのっ!!」 ・・・悪い?とばかりに強がる真紀を啓介はからかった。 「で、こんな風にヘビが出て・・・行き着く先があの洞窟・・・とか言ってると、 まるでインディ・ジョーンズになってしまうんだな、これが。だとすると、あと出 て来るのは岩石に鉄砲水・・!どうする?溶岩の上を走るトロッコでカー・チェイ スしなきゃならなくなったら?」 「ちょっと、冗談はやめてよ!」 真紀が叫んだ。その声の消えるか消えない内に、啓介の足元の大地が割れ鮮やか な色の溶岩がそこにひろがった。 「な、なんなんだぁー、これは?」 「まさか・・・と思ったけど・・・やっぱり佐々木ね、これは。」 少し落ち着いたのか真紀が言う。 「あなた利用されているのよ・・・自分の想念を!私のヘビと同じように・・・怖 れるものを・・・お願いだからくだらない事考えるのはよしてよね。」 青ざめた顔でいながら、相変わらずの口調である。 「ここは一種の『異空間』ね。この世界を維持している存在を消せば・・・この空 間が崩壊する時に上手くいけば辿りつけるわ、『物質消滅爆弾』の所へ・・・。逆 手にとって空間を超えるの。」 真紀は啓介にささやくと、呼吸を整え、静かに踊るように腕を動かし始めた。 「今、何をしたんだ?」 「身を守るために魔法陣をね。気休め程度だけどないよりマシなはずだから・・・。」 「・・・魔法陣?はは、君は魔女か?どこに描いたんだ?まるで見えない。」 「念で描くのよ、術者には見える・・・。見えないなら私から離れないで、うかつに 動くと外へ出てしまうわよ。」 「ナルホド・・・しかし敵の作ったこの空間で・・・陣がひけるのか?」 「それがわからないの妙なのよ、この空間。普通の『異空間』とは違うみたい・・・ 手応えが・・・精霊とか術者とか・・・生なましいものじゃなくって・・・そう、ま るで機械仕掛けの・・・。」 「よくも見破れたものね・・・誉めてあげる。」 二人の目の前の空間に、突然佐々木が姿を見せた。 「一応私は新興宗教の教祖サマでもあるわけなんだけど・・・私のカラクリは御指摘 の通りよ。わかる?お嬢サン、あなたよりずっと合理的なのよ。」 (幻影よ、本物はきっと『物質消滅爆弾』のところね。) 真紀がささやく。 「でもこの空間を破れれば、私達の勝ちね。行くわよ、私達あなたのところへ。」 強気で叫ぶ真紀を、佐々木は鼻で笑った。 「破れるかどうか、やってみれば?『気』だの『念』だの否科学的な・・・あはは。」 その言葉を受けて真紀は行動を起こした。 「甘ーーい!、アメリカといえば魔術の充実の度は八丈島の比じゃないわ。その中 で生き残った私の魔術。うけてみる!?」 《(無理やり)つづく》
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「CFM「空中分解」」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE