CFM「空中分解」 #1004の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
えっ、えらいこっちゃー。とーきょーも消えた。そして何と私の打ち込んだ文章も 消えてまいよったー。初期化してないディスクに保存かけたらどっかへ行ってまいよったんやー。 しやーないからオンラインで書くでー。だいたい合ってるはずや。 −ヒーローになる時− 啓介は定期券を手に、駅の跡をうろうろとするだけであった。遅刻、減給、消滅、リポD、徹夜と頭のなかはなにがなんやら。 改札口の跡の付近には数人の客が途方に暮れて佇んでいる。 いかにも新人らしい初々しい感じのOLが何か尋ねようとでもするのか、啓介の方に近寄って来た。しかし、啓介がまっかっかの目をして振り向くと「ヒッ」と小さく叫んで あたふたと逃げて行ってしまった。 「ゾンビか僕は」啓介の頭痛がひどくなった。 啓介はふらふらと駅の跡を歩き、やがて座り込んでしまった。 ガーン、ガーン、ガーン(頭痛の音) 「どうしよう。会社、会社」 ガーン、ガーン、ガガーーン 「リポDの飲み過ぎで気分が悪いし。最悪だ」 ガーン、ガーン、ガガガガガガガガガガガガガ 啓介はほとんど気を失いかけた。 ガーン、ゴトン、ゴゴゴゴゴゴゴ、プオーーーーーーー 「わーーーーーーーーーー!」 からくも身をかわした啓介をかすめて電車が通り過ぎて行った。 「危ないですよ。お客さん。気をつけて下さい」駅員が啓介に注意した。 「でっ、電車、動いているんですかー」 「ええ。だから線路の上に座らないで下さい」 「そうですかー。よかったー。僕、今日遅刻すると給料半分になっちゃうんですよねー。本当によかったー。でも、もっと早く教えてもらわなくっちゃ」 駅員は啓介を置いてそさくさと行ってしまった。 啓介は列に加わっていた。電車を待つ列である。電車が動くとなると、とにかく会社 に行かなければ。建物は消えているとしても、タイムレコーダーだけはしぶとく残って いたりして。啓介の背筋がゾワーと寒くなった。まあ、しかしこういう時に会社に行けば今までの失態、9回連続の遅刻の解消ができるに違いない。 「ほー、露木君が出社していたとはねー」 「へー、露木さんってやる時はやるのねー」 「きゃー、露木さんって素敵!けっ、結婚してー。ホテルに誘ってー」 「いやー、それは困る」啓介は徹夜とリポDのせいでとめどなく拡がっていく妄想にふ けりながら独り言をいった。 「まったく、困りますな」啓介の前の初老の男が不意にあいずちを打った。 啓介がきょとんとしているのを不審そうに見て、男は指をさした。 さっきの駅員がのろのろとした動作で張り紙をしていた。 「本日、変電所消滅のため、列車の運行が不能となりましたので、お知らせします」 「しまった!変電所の所まで爆発が拡がってしまったとは」 啓介はがっくりと肩を落とした。 「さて、仕方がないから古女房の様子でも見に帰るとするか。消えていてくれればいい のだが」男は冗談とも本気ともつかない言葉を残して帰って行った。 「僕も仕方がないから...駄目だ!会社に行かなくては。そうだ。こういう時こそ男を上げるチャンスじゃないか。僕、いや、俺は今までの汚名を挽回するぞ」 啓介は上着を脱ぎ捨てた。鞄から必要最小限の物を取り出しズボンのポケットに詰めると鞄を放り投げた。おもむろに線路に向かう。そして息を整えるとゆっくりと線路の 上を走りだした。期せずして周囲から拍手が沸き上がる。 パチパチパチパチ 「ロッキー!ロッキー!ロッキー!」 チャチャッチャーン、チャチャッチャーン、とこれはリポDと徹夜のための妄想。 しかし、おお!さっきは逃げていったあの若いOLが笑顔で手を振ってくれているで はないか。啓介はヒーローになっている自分に気が付いた。 こちらも笑顔で手を振り返す。だが、女に気を取られ、啓介は枕木に足を引っ掛けて バッターンと転んでしまった。 無情にも拍手が失笑に変わる。 ヒーローへの道は遠い。焦るな啓介。立ち上がって走るんだ。(いったいどっちだ) タイムレコーダーが待っているぞーーーーーー。 <つづく>
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