CFM「空中分解」 #0931の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
(11) 乱 闘 しかし、ムカデの足は多い。一本や二本を撃ったってだめだ。コンピュータを壊さな ければ・・・。 そうか! 腕のCBに話し掛ける。 「カーマイン、パーク内のロボット芝刈り機に指令を出している奴を探せ。ロボットが 何者かに操られているんだ」 「了解。現在、パーク内の作業用ロボットに指令を出している指令電波はありません。 パーク・サービスに問い合わせましたが、稼働中の作業ロボットはいません。そちらの ロボットは別の指令系統に組み込まれているか、独自に動いている模様です」 馬鹿な! ということは、あんな低級ロボットに予め、アンナを襲うようにプログラ ムしたのか。だが、奴の能力じゃ人間の識別なんかできない。やっぱり、誰かが指示し ている筈だ。 でも、電波じゃない。どうやって? ノバァは必死で走って、円形の泉を迂回していた。 彼女が時々、銃を構えると、ムカデロボットの身体に火花が散るが、致命傷を与えら れずにいる。 アンナの側でスケボーをしていた子供達も、ムカデロボットの出現にパニックになっ ていた。キャーキャー騒いで、アンナの周りを走り廻っていた。 子供? 遠目には子供に見える。 手足が長い、頭はそんなに大きく見えない。あのぐらいの歳頃なら、六等身くらいな のに、あの子達は七等身か、八等身に見える。まるで、小さな大人の体型だ。 <大人のミニチュア> 「ウワーッ! ノバァ、気を付けろーっ。そいつらは子供じゃない!」 僕は必死で叫んだが、噴水の水音に掻き消された。 畜生! 必死で走りだしたが、ノバァとの距離は五十メートル。アンナとはまだ百メ ートルも離れている。 「カーマイン、来い! パーク内に進入しろ。ノバァとアンナの命が掛かっている。バ リケードをぶち破って来い!」 「了解。既に、バリケードの内側です。あと三十秒で到着します」 分かってるじゃないか、カーマイン。僕はなおも走り続けた。 ノバァが地面に倒れているアンナの側に到着した。すぐに銃を構えると、ロボット芝 刈り機を撃つ。しかし、パイプのお化け。どこにマイコンが埋め込まれているのか分か らない。ロボットは手足の数こそ少なくなったが、まだ動く。 ノバァはアンナの手を引いて起こすと、僕の方に向かって逃げ出した。 その後をロボットが追う。 そして、ノバァ達の逃げ道を<子供>達が塞いだ。 「・・・・!」 ノバァがなんか叫んでいる。 二人の<子供>がノバァ達の前を、そして残り二人が後ろを固めた。ノバァとアンナ は四人の<子供>達が作る正方形の対角線の交点にいた。つまりど真ん中だ。 ロボットの動きは止まっていた。 ノバァと僕の間に立つ一人の<子供>に、僕はフライング・キックをくらわした。 その<子供>は三メートル近く空中を飛ぶと、地面に叩きつけられて伸びた。 僕が着地した時には、残りの三人の<子供>達が僕らに襲い掛かってきた。 ノバァは銃を<子供>に向けたがトリガーを引かなかった。いや引けなかったのだろ う。忽ち、ノバァは二人の子供に取り押さえられてしまったが、助ける暇がない。 僕も一人の<子供>と立ち回りを演じていた。 <子供>は恐ろしく敏捷で、結構腕力も強い。カンフーやカラテなどの拳法のような 形に填まった優雅な動きではない。野性的で、動物的だ。次の動きが予測できない。 その<子供>が手にナイフを握った。刃渡りが二十センチはあるガーバーナイフだ。 僕は腰のベルトに付けたサックから、短い警棒を出す。一振りして伸ばすと五十セン チ位になる。軽合金だが、弾力性があって、しかも丈夫だ。 <子供>がナイフを突き出した。体をひねって避けると、ナイフは上着の裾を切り裂 いていった。続いて横殴りにナイフの切っ先が襲う。ダッキングしてそれをかわす。 ハッ、ハッという息遣いは僕のだが、<子供>は全然息切れ一つしていない。 黒い瞳。広い額。鼻はそれほど高くない。薄い唇。そして肌は浅黒い。額の感じはア ングロサクソン。瞳はモンゴロイド。肌の色は中南米。国籍も人種も全く分からない。 世界中の人種を混ぜたような奴だ。そして子供並みの身長。 光る刃が斜め上から振り降ろされる。避ける。逆に下から撥ね上げられる。スウェイ バックで避けた。だが、それが失敗だった。 更に<子供>が一歩踏み込んで、ナイフを突っ込んできた。上体のバランスを崩した 途端、仰向けに転倒した。そこにナイフが振り降ろされる。 仰向けに転がったまま両手で警棒を構え、ナイフを防いだ。 キーンという音を立て、ナイフが撥ね返った。 <子供>は、にやっと笑ってナイフを握り直した。ブーンという音が聞こえた。 再びナイフが襲ってきた。 嫌な予感がして、転がった。刃は空振りする。転がった反動を利用して立ち上がる。 そこにナイフが迫る。両手に警棒を握って突き出した。 その特殊合金製の警棒が、火花を散らすと真っ二つに切られた。 やっぱり、レーザーナイフだ。 ナイフの刃に数ミリ以内に物体が接近すると、刃に沿って焦点を調整されたレーザー が照射され、三千度の高温が物質を切断するのだ。 僕は真っ二つになった警棒を両手に握り直した。 「カズーっ、助けてよーっ」 うそーっ、ノバァが助けを求めてる!? お珍しい。 だけどノバァの様子を見る暇がない。もう少し頑張っててよ。 その時、猛烈な勢いで真っ赤な車が走って来た。 相手の<子供>の注意が一瞬それた。僕は両手の警棒を投げつけ、ナイフを握った< 子供>の手首を両手で掴んだ。グイッと手首のつぼを押さえると、レーザーナイフは手 を離れた。地面に落ちるが、手を放した時に働いた安全装置のためにレーザーは照射さ れず、そのまま転がる。それを足で蹴飛ばし、噴水の中に沈めた。 足に僕の注意がいった隙に腹を蹴られた。両手が緩んで、<子供>は逃げた。 再びそいつと睨み合いになった。 ふと気付くと<子供>の額の中央が膨れ上がり、ピクピクと蠢いていた。 ガーッという回転刃の音が聞こえてきた。停止していたロボット芝刈り機が再び動き 出したんだ。 ギャーという悲鳴が聞こえた。 辺りに赤い飛沫が散った。まるで赤いペンキをぶち撒けたようだった。 振り返った僕の目にゴロンと転がった人間の足が見えた。 ピンクのシャツがボロボロに引き裂かれ、豊満な胸の膨らみが覗いているノバァ。彼 女は血に染まって倒れていた。その側に真っ赤に染まった刃を回転させている芝刈り機 がいた。 「ノバァー」僕は叫んだ。 その途端、後頭部を殴られ、意識が朦朧とした。 倒れる寸前、カーマインに突っ込まれ、パイプの残骸となって四散するロボット芝刈 り機の姿が見えた。 −−−−−−−−−−−−TO BE CONTINUED−−−−−−−−−−−−
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