CFM「空中分解」 #0907の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
振り向くと、捕まっていた筈のマース侯御一行様が、セレナ姫を人質にして玄 関を出てきたところだった。 「何で、あの連中が?」 半ば呆然とする。と、マース侯が、 「さあ、ソーラ王よ、降伏しろ。そして、女神達を引き渡せ。」 そして、マース侯の家来の一人が門を開ける。 外にいた反乱軍が、どっと中に入ってくる。一般の民衆を残して。 「さて、女神達よ。お前達も決断の時だ。素直に我々に従うか、それとも、この セレナ姫の命がなくなるか。どちらかを選んでもらわねばならぬ。」 相も変わらず、卑怯な奴らだ。 「一つ聞きたい。あんたら、一体、どうやって出てきたんだ?」 「なに、簡単なことだ。この城にも我々の仲間が入り込んでおるのでな。手筈通 り牢獄の鍵を外すことができただけだ。さあ、どちらを選ぶ?」 あんな奴らに従うなんて、死んでも嫌だ。でも、そうしないとセレナ姫が殺さ れてしまうだろう。 何も答えられない僕達の様子を見て、マース侯は不敵に笑うと、家来に何やら 命令した。 命令を受けた家来は、何人かで城壁に登ってくると、僕達に近付いてくる。 どうやら、僕達を捕まえるよう指示したらしい。 その家来達が僕と一美の腕を掴もうとした、その時、玉の光がさらに増して、 マイア姫を含めて僕達五人の体が宙に浮いた。よく見ると、今まで楯の代わりを はたしてくれていた透明なものが、今は円盤状になって足元を支えてくれている。 マース侯を含めて全員が呆然としている。 僕達はそのまま、セレナ姫の所に移動する。 セレナ姫を捕まえていた兵士は、怖れおののいて、セレナ姫の手を離す。 自由になったセレナ姫は、その場を逃げ出した。マイア姫が透明な円盤状のも のから飛び降りてセレナ姫の後を追う。 セレナ姫が降りた後、円盤状のものは消えて、また玉の姿に戻った。でも、僕 達四人は中に浮いたままになっている。 二人が安全な所まで行った頃、僕達はマース侯の前に引き寄せられる。 マース侯は、恐怖の表情を顔に表して、その場を逃げようとした。 その手を康司が掴む。ついでに、隣にいたディモスも僕が捕まえる。さらに一 美と健司の手も、それに加わる。それにつれて、マース候とディモスも体も青い 光に包まれ始める。 二人とも、恐怖で何かをわめきながら、手を振りほどこうとしていた。が、つ いに玉のパワーに負けて力が尽きたのか、がっくりと膝を落し、その場に倒れて しまう。 僕は、そのままディモスの手を離す。 と、突然、ソーラ王が驚きの声を上げた。 「おお、もしや……。」 そして、王は慌てて建物の中に入り、しばらくして一枚の絵を持ってくる。 「やはり、まさしく我が家に古くから伝わる女神の姿じゃ。まさか、この目でそ の御姿を見ることができるとは……。」 そのまま絵を置いて僕達の前にひざまづく。その絵は、僕達が最初の魔女を倒 した、あの部屋で見たものだった。 でも、そんなに男を見下したような構図になってるのかな? 確かに僕は健司 に背負われてるけど。 そう思って一美の方を見ると、康司がマース候の手を掴んでいたため、半ば一 美かしずくような格好になっていた。 思わず四人で顔を見合わせて苦笑いする。 そして康司がマース候の手を離すと、僕達四人の体は宙に高く上がり始めた。 この時、なぜか僕の左薬指のリングが抜けて、倒れているディモスの前に弾ん で落ち、二つに割れた。 セレナ姫をマイア姫は驚いた表情で、こちらを見ている。 そのセレナ姫とマイア姫が、だんだん下になる。城壁も僕達よりも低くなる。 どうやら僕達は上昇しているらしい。 お城の建物もだんだん低くなり、ついには眼下で、お城の全体が見えるように なった。 そして、僕達が登って行くにつれ、玉の光は、ますます強まり、互いの顔が見 えないくらいまぶしくなった。 眼下の景色は、もうとっくに見えない。 周りは、ただ白一色。もう、自分達がどういう状態なのかも判らない。 と、目の前に黒い人影が見え始めた。 目を凝らして見ると、その黒い人影は、プラネット公のところの占い師だった。 「あれ? 何で、こんな所にいるんですか?」 という僕達の問いにも答えず、 「そなた達、実に御苦労であった。」 と声をかける。 そして、その言葉と共に、僕達の玉が四個とも、二つはペンダントのままだっ たけど、占い師のところに飛んでいった。 そして、その四個の玉を占い師が手にした途端、一瞬、占い師の体が光り輝き、 次の瞬間、そこには神々しいばかりの女性が立っていた。周りからは白い柔らか な光が放たれている。 「そなた達の役目は終りました。実に御苦労でした。今度、この光が消えた後、 そなた達が、この場所から抜け出れば、そこはもう元の世界です。」 辺りは、柔らかくやさしい光に包まれており、一切の影を作っていなかった。 光は全ての場所の隅々にまで行き渡り、僕達の前も後ろも、そして健司の背中と 背負われている僕との間にも、暗い部分を作っていなかった。 そして、その光の中心にいる、女性。僕達は、しばらくの間、声も出なかった。 「どうしました? そなた達は元の世界に戻れるのですよ。」 「あ、あの……。」 一美が、ようやく口を開く。 「あなたは誰?」 「私はプラネット公の所の占い師です。」 「でも、先刻と全然姿が違う……。」 そんな一美の言葉を引き取って、その女性は続ける。 「そう、本当はね。単なる占い師じゃないんですよ。私の名はヘラと言います。」 また、しばらく沈黙。そのあと、康司が、 「あの、悪魔退治の件なんですけど。」 その言葉を引き取るように、ヘラと名乗った女性は、 「全部で五人いる筈の悪魔を、まだ四人しか倒していないということですね?」 「ええ。」 「ちゃんと倒していますよ。証拠をお見せしましょう。それっ!」 −−−− 続く −−−−
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