CFM「空中分解」 #0880の修正
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久かたぶりに日本の土を踏めると思うと勝までもがうきうきしてくるのだ。かん臨丸 というボロ船でめりけんまで航海したということが、信じられない。だが、紛れもなく 日本人独自で船を操り、(もっとも、めりけん人がおったが手は出させなかったと)特 設大使の護衛という大約をはたしたのだ。これは幕府水軍だけでなく、これからの日本 の航海史においても重用なことであった。 船が接岸されるのを船内の窓からみながら、勝はめりけんで死んだ水夫のことを思い 出していた。できればみんなで帰還したかった………この歴史的事業に参加したもの全 ての者が無事帰邦してほしかった……… と、そのときドヤドヤと甲板が騒がしくなった。野郎め、気がゆるみやがったか、勝 は船室から飛び出た。素早く甲板に飛び出るとはたして黒だかの人である。ちぇっと舌 をうつと勝はその渦中に飛び込んで行った。 「何事かぁ!!」勝の一喝でしんと静まる。みると、半分は見慣れた水夫どもだが、 もう半分は八巻を締め捕物棒をかついだ幕吏だった。 「何事かと、きていおる。」今度は幕吏の頭領らしき者をにらみながらいった。 「先頃、大老井伊様が桜田門外にて」頭領の目尻から汗とも涙ともつかぬ水滴が流れた 。「殺害されました。」 「なにぃ。」 「よって、この艦の乗組員で水戸藩士がいたら差しだしてもらいたい。」 大老が………。幕府の将軍につぐ最高権力者が、暗殺だとぉ。しかも城下でか……… 勝はこのときいよいよ幕府もくるところまできたと感じた。さすがの勝もかん臨丸にG oサインを出したあの大老がめりけんにいっている間に殺害されようとは……… 「さぁ、船を調べろ!」ほおけた勝の表情を見てか、頭領が掛声をかけた。が、勝は そんなことではひるまない。すぐさまもとのキリリとした厳しい表情になると頭領の胸 をつきとばし、言い放った。 「めりけんには、水戸モンは一人だっているもんかぇ!それにこの場をなんと心得る か!!大樹様より賜ったかん臨丸の甲板であるぞ。」 そののち、幕吏供をかき分けてかん臨丸を降り、氷川の自宅へすたすたと歩いていっ てしまった。 .
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