CFM「空中分解」 #0861の修正
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南シナ海上の武士(6) 四日が過ぎた. 対馬号の乗員はあれ以来,戦闘に備えて,薪を作っていた.敵の別荘が近いこと なので,木を切り倒す時は海側に倒れるよう工夫した.海なら,波の砕ける音と混 ざって,奴らに気付かれない,そう考えたのである. 薪割りは乗員の交代制をとって二四時間体制でやっていた.昼間のうちに木を倒 しておき,(その間にも他班は薪を作っている.)夜,木を割った.寝不足はもち ろん,手の平は赤くはれ,体の節々がきしみ痛みだし,体がバラバラになったかと 思うほどだった.寝る時間になると交代員をたたき起こし,自分は同じ床で泥のよ うに眠るのだった.全て,みんなのために. 一方,ペリオン. 港より離れた,ある地下室. そこには五十人近い,いわゆる奴隷達が集まっており,異状な熱気がうなってい た. そこの中央は一段高くなっており,人々がそれを取り巻くような形で,リーダー を待っているらしかった. しばらくして,二人の黒人が段上に上がると,人々は波が引く様に静かになって ゆき,蒸し暑い熱気だけが残った. 「俺とメゲェルはあの白人の首領,ギュンダァー,ラブダの秘密会談を傍受する事 に成功した・・・・・・.」 「奴らは,いつも何かやらかす時は,あの”魔王の道”の別荘で会談する・・・・ ・・それに従者としてついて行ったのさ.」ヴゲナーの演説に,メゲェルは説明を くわえた. 「奴らは,俺達を甘くみて,大声で喋っていた.言葉が分かると知らずに・・・・ ・・.そこで絶好のチャンスを聞いた.奴らはどこだかの国を阿片で乗っ取るらし い.その日は金曜日だ.あと,六日しかない.奴らが浮足だっている時を・・・・ ・・」 「反乱し,自由を得る!」 そこまで言うと,ウォーという歓声が段上の上の二人にドッと押し寄せてきた. メゲェルはそれに対し手を振って応じ,ヴゲナーはといえば頼もしい同志の士気に 感動していた. 「のちの作戦は,前日に伝える.以上.」 その数時間後・・・・・・ 地下室の別室では六人が集まって,最終調整をしているところだった.この六人 は,反乱隊の指導者で,この綿密な作戦は彼らの努力の結晶と言っても過言ではな かろう. 六人は円いテーブルを中心に,ぐるりと取り巻く感じで座っていた.ヴゲナーの 右隣りが,誘導係ベゼル,主力戦団長ギービュルヴ,情報屋ナルヘキニ,積荷担当 ローギス,そして左隣りが中国人,リミ・アン・ツァンである. 「では,確認の意味で・・・・・・」ヴゲナーが口を開いた. 「ベゼル,女子供は・・・・・・」 「すでに用意されたジャングル内の洞窟,又は小屋に誘導し,戦火が及ばないよう 取り計らいました.」 「うむ.ギービュルヴ,主力戦団は・・・」 「三千人だ,勝てるぞ.」 「ヴゲナー,情報では五隻で攻め入るそうだ.」ナルヘキニが口を入れた. 「ツァン,爆弾の説明をしてくれ.」 「爆弾は,りんご樽で出来ており,火薬は最下部に詰られていて,導火線はこれに 触れないよう,うまく巻いてある.この導火線に火をつけて火薬に到達するのに,約 二日.」 「それをりんごの奴と混ぜて,奴らの船に置く!!」ローギスが嬉しそうに,声を 上げた. 「奴らは,俺達を奴隷とし,物,道具として扱った.さらに自分の言うことを聞か ぬ者は,薬でコントロールし,体が駄目になれば見せものとしてなぶり殺しにした ・・・・・・.その報いを受けなければならない!爆弾は聡明な同志中国人に作っ てもらった・・・・・・.奴らは死すべき!」 ついに火薬に火がついた.奴隷という火薬に・・・・・・・・・ 木曜,朝・・・・・・・・ 「集合.」 小倉船長が声を上げると,小屋の仲から十人がドヤドヤと出てきて整列した. 「全員整列,完了!」 「皆のおかげで,薪が出来た.後は船に運び,朝になるのを待つだけだ. 「いつ出港です.」 「船長はこう考えていらっしゃる.奴らの来る時間は分からんが,明日出港する のは確実だ.と,なると日の上がる前に,シナ海上で待っていれば奴らを逃すこと はない.」 野田の質問に,船長のかわりに田熊が答えた. 「よし,薪をボートへ積んでくれ.」 みんなが薪束を持ってボートに運ぶかたわら,川谷は足を止め,薪の山を眺めて 言った. 「よ〜し,見ちょれよ,悪者どもめ.」 ペリオン. 昼下がり.朝より照りつける太陽の熱が地面から反射され,馬鹿のように暑くな った中,港では荷を運ぶ者に,罵声を浴びせる白人ども. 「この野郎,聾か,盲かテメェ!」 「こっちは急いでんだ,グズめ!!」 威張り腐っている白人マフィアのかたわらでの小声・・・・・・ 「ローギス,四隻は積んだが,もう一隻見つからん.」 「どっか,そいつだけ,違う場所に停泊してやがるんだ.念の為ヴゲナーに知ら せてくれ.」 「情報の間違いでは.」 「いや,そんなことはあるまい.あの四隻じゃ一国を支配するには弱過ぎる.」 「では?」 「荷はここから運ぶはずだ.きっと,キャラバンを組んで行くに違いない.そい を探すんだ!.時間がない.手分けして探そう.」 「O.K!」 ローギスは,すぐ近くの白人をなぐり飛ばしたい気持を押さえ,せめてもの攻撃 として後ろからにらんだ. ”船もろとも,消し飛びやがれ” .
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