CFM「空中分解」 #0853の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
そのショックで一美は気絶し、僕も半ば意識を失った。 「ふん、他愛ないものよ。」 悪魔は一別の言葉を投げかけると、一美と僕の体をかついで、黒い暗闇の空間 に引きずり込もうとしたらしい。と、そこで床に倒れていたはずの健司が悪魔の 足を掴んだ。 「うわっ! 何をする!」 実にいいタイミングだったためか、悪魔はバランスを崩して転び、僕と一美は 床に放り出されてしまう。 半ば意識を失っていた僕は、このショックで意識を取り戻し、なんとか起きあ がった。一美も気が付いたようだった。 「ええい、しぶとい奴らめが。」 悪魔が、その足を掴んでいる健司の手を振り払い、そして健司の体を蹴飛ばそ うとした時、僕は悪魔にタックルをかけた。 「うわあっ。おのれ!」 ひっくり返った悪魔は慌てて体勢を直して、僕と向かい合うと、また何やら術 をかけようとした、が、一方僕も体勢を立て直していて、玉はまた光り始め、全 身が青い光で覆われ始めていた。 一美も同様だった。そして悪魔が今まさに、その術をかけようとした時、一美 が悪魔に後ろから飛びついた。 「うぬっ!」 不意を付かれた悪魔が一美の体を振り払おうとした時、今度は僕が悪魔に飛び ついてやった。 「うおー、は、離せ! 何をする!」 悪魔は玉の光が、かなり苦手なようだ。相当苦しがっている。 僕は、悪魔の手を掴んだまま、その体に抱きつき、反対側にいる一美の体に腕 を廻す。 一美も、それに気が付いて、僕の体に手を廻してくる。間に悪魔の体を挟んだ ままで。 ペンダントの玉が当たったところで、肉の焼けるような音がする。 「うわー、あ、熱い! 助けてくれ!」 悪魔が悲鳴をあげる。 そのとき、既に動けるようになっていた健司と康司が剣を持って近付いてきた。 そして、健司が切りつけてくる。間一髪、悪魔は死力を振り絞って、持ってい た剣で、その攻撃をかわし、健司を跳ね飛ばす。 と、その動作が終らないうちに、今度は康司が切りつける。 さしもの悪魔も、この攻撃をかわすことはできなかったらしい。 康司の剣が、悪魔の喉元にもぐり込む。康司自身は、剣を突き刺すと同時に飛 び退く。 次の瞬間、悪魔は、この世のものとは思われないような叫び声をあげた。そし て一瞬、体が縮まったかと思うと、爆発を起こし、すぐ脇にいた一美と僕は、悲 鳴を上げる間もなく弾き飛ばされ、爆発のショックで気を失っていた。 「おい、博美。目を覚ませよ。おい。」 何処かで誰かが僕を呼んでいる。 「おい、博美ったら。」 体が揺さぶられてる。 「おい、博美。大丈夫か。」 顔が叩かれているのが判る。と、だんだん意識がはっきりしてきて、気が付く と目の前で健司が心配そうにしていた。 「あ、あれ? えっ? あ、そうか。」 一瞬、訳が判らなかった。隣では康司が、気絶した一美を起こそうとしてる。 「大丈夫か。」 「う、うん、なんとかね。それより、一体どうなったんだ? 悪魔の体が爆発し たとこまでは憶えてるんだけど。」 頭を振って、ゆっくり起き上がると、健司に聞いてみる。 「結局、あれで悪魔は倒せたらしい。お前達が気絶したあとにさ、そこら中が真 っ白になってな、そのあと、その白いものはどっかへ飛んでったみたいだ。また 何人か生き返ったんじゃないか?」 「あ、そう言えばセレナ姫は?」 「まだ、気絶してるみたいだ。」 「起こした方がいいんじゃないの?」 「ああ、そうだな。」 健司がセレナ姫を起こそうとして、名前を呼びながら、体をゆする。 しばらくするとセレナ姫は気が付いた。が、気が付くと同時にセレナ姫はうな り声をあげながら、近くの剣を取って健司に切りかかってきた。 「うわあっ! なんだ!」 健司は慌てて、それを避ける。 セレナ姫は体勢を立て直すと、今度は僕に向かってきた。 「うわ! うわ! なんなんだ、一体!」 僕も慌てて避ける。部屋の灯りがゆらゆらと揺れて、セレナ姫の影も揺れる。 健司も康司も僕も、そして、いつのまにか気が付いていた一美も、それを見て 絶句した。 その影はセレナ姫ではなく、悪魔の姿をしていた。 セレナ姫は、再び剣を持って切りつけてくる。 僕は、その攻撃を避けながら、セレナ姫に向かい合う。 ペンダントの玉が、再び光を放つ。それを見たセレナ姫の動きが一瞬鈍る。 僕はセレナ姫に飛びついて、持っていた剣を叩き落す。その瞬間、 「きゃあああ……。」 セレナ姫は、長い叫び声をあげて、再び気絶した。 「ふう。」 セレナ姫が倒れたのを見て、僕はため息をついた。 「ふう。まったく、訳が判らんな。なんでセレナ姫が僕達を襲ったんだろ?」 「さあな。そいつは俺にも判らん。」 健司が肩をすくめながら言う。そして、ため息をついたあと、 「あ、そうそう。ところでさ、悪魔のいた場所に、また玉が落ちてるんだけど。」 「あら、ほんとだ。あたしのより大きいんじゃない?」 「健司は拾えなかったの?」 「ああ、拾おうとしたけど駄目。やっぱり博美か一美ちゃんじゃないと無理なの かな。」 「どれどれ?」 とりあえず拾おうとして、 「うわっち!」 滅茶苦茶に熱かった。 「駄目だよ、全然触れん。一美はどうだ?」 こんどは一美が、そっと手を触れようとして、 「きゃん! あっつうい。あたしも駄目。とても熱くて触れないわ。康司くんは?」 −−−− 続く −−−−
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