CFM「空中分解」 #0852の修正
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五章 皆、一刻も早くマース侯の城に着きたかったとみえて、かなりの早足で歩いた ためか、四時間程で到着してしまった。 「ここか。」 「そうらしいな。さて、どうやって入ろうか。」 当然、悪魔に支配されている筈だし、誰も門を開けてはくれないだろうな。 「塀をよじ登るか?」 「えーっ? ちょっとお、冗談でしょ? あたし、もうクタクタよお。とても塀 なんか登る元気出ないわ。」 一美が音をあげる。僕も一美同様、かなり疲れた。 「じゃ、どうすんだ?」 「ふう、少し休ませてくれよ。急いで四時間も歩くなんて初めてだったから、も う体力の限界超えてる。はあ、疲れたあ。」 「Ok。じゃ、少し休むか。」 なんて言って休んでる暇、余りなかった。門のそばの木陰で腰をおろしたら、 すぐに門が開いてしまった。 「お、おい、いきなり何なんだ?」 康司が不安そうに言う。 「まあ、塀を登らずに済むんだから、いいんじゃねえの?」 おい、健司。少しは不安じゃないのかよ。ま、確かに塀はよじ登らなくて済む けどさ。 「よし、行くか。康司と一美はどうする? もう少し休んでくか?」 「ちょっとお。ここまで来て、おいてきぼりはないじゃない? 一緒に行くわよ。」 四人で、注意しながら門をくぐって城内に入る。だけど、誰も出てきやしない。 建物に入ると、すぐに扉が閉まり、自動的に灯がともった。その灯は廊下に沿 ってついており、遥か先は真っ暗なままだった。 僕達が進むと、その先の灯がともり始め、すぐ後ろの灯は徐々に消えていった。 廊下がまっすぐな時は、ただひたすらまっすぐに、廊下を曲がる必要がある時 には、その方向の灯がともり、僕達を導いていった。どうやら誰かが僕達を案内 してるらしい。 とある部屋の前にくると、そこの前の灯りを残して、ほかはすべて消え、回り は真っ暗になった。そしてその部屋の扉が音もなく開くと、中に女性が一人気絶 していた。よく見ると、それはセレナ姫だった。 「セレナ姫! セレナ姫!」 慌てて駆け寄ると、扉が閉まる音がした。そして、 「フッフッフ。よくぞ参られた。おぬしらも女神なら、その娘を救ってみるがよ い。」 という声がした。振り返ると黒いマントの男が一人。 「あなたは誰?」 一美が、とりあえず聞いてみる。 「ワシか? ワシはこういう者じゃ。」 言うが早いか、その男は黒いマントをひるがえすと、悪魔本来の姿に戻った。 「あ、お前は先刻の悪魔か。セレナ姫に何をした!」 「それは、自分達の目で確かめるがよい。もっとも、ワシを倒すことができれば の話だがな。」 「なんだと!」 「だが、お前達には、それを確かめることはできん。なぜなら、ここで魔女達の かたきとして死んでもらうことになっておるのでな。」 悪魔は、そう言ったあと、いきなり攻撃してきた。 どこからともなく雷鳴が轟き、稲妻が僕達めがけて落ちてくる。 「うわ!」 僕達は慌てて避けようとしたが完全には避けきれず、したたかに跳ね飛ばされ てしまった。 「てっ!」 僕は、もろに背中から落ち、一瞬、呼吸困難を起こしそうになった。 「うーっ。」 呼吸が、かなり苦しい。他の三人も僕と似たような目に会ったようだ。 そこに次の攻撃が加えられる。 悪魔が少し手を動かしながら、なにやら呪文を唱えると、僕達四人の体が宙に そして、空中でスクランブルされる。僕達は、なすすべもないまま、空中で激 しく振り回される。 最初に受けたダメージに加えて空中を振り回される時の苦しさは、体験した者 でないと判らないだろう。 その苦しさに半ばもうろうとしながらも、なんとかしなければと思っていた。 と、偶然、誰かの体にぶつかった。はっとして慌てて抱きつくと、相手は一美 だった。 一美も気が付いて僕に抱きついてくる。僕も一美も、これでなんとか落ち着く ことができた。 空中で振り回されながら、二人で悪魔の方を見据える。 気持ちが落ち着くと同時に、一美と僕のペンダントが光を放ち始め、その影響 のためか、一美と僕の体の表面が、うっすらと青い光で包まれる。そして、今ま で振り回されていたのが嘘のように、悪魔の正面で宙に浮いたまま静止する。 悪魔は、それまで笑いながら、もて遊んでいたようだったが、僕達の様子を見 て少し表情を変えた。 同時にスクランブルが止まり、健司と康司は、そのままの勢いで壁にぶつかっ て落ちる。 「いてっ!」 さすがの健司も康司も、この攻撃には参ったようで、すぐには起き上がれない。 悪魔は最初、青い光に身を包んで平然としている僕達の様子に少し驚いていた ようだったが、すぐに気を取り直すと、また攻撃を仕掛けてきた。 また稲妻が落ちてきて、こんどは僕達に直接当たる。でも、どういう訳か、そ れは僕達の体を包んでいる青い光の表面を流れ、僕達はショックを感じなかった。 僕達は、そのまま悪魔に近付く。ペンダントの玉の光がますます強まる。 悪魔は、その光を浴びると慌てて飛び退き、壁に掛けてあった剣を取ると、力 を振り絞って切りつけてくる。僕は急いで一美を突き飛ばして離れる。悪魔の剣 は空しく宙を切る。 そして、僕達が体勢を崩している隙に、悪魔は、いきなり竜巻を起こした。 「うわっ!」 いきなり起きた竜巻に巻き込まれ、再び部屋中を振り回される。一美も僕も、 そして健司と康司も。 今や、一美と僕の体を包んでいた青い光は完全に消え、玉の光も失われていた。 そして、悪魔は竜巻を部屋の壁に向かって投げつける。 「きゃあ!」 「あうっ!」 その竜巻に巻き込まれていた僕達も当然のことながら壁にぶつかる。 −−−− 続く −−−−
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