CFM「空中分解」 #0828の修正
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王様が自ら椅子を勧めるっていうのは、余程のことだと思ったので、勧められ るままに椅子に腰掛ける。 「さて、そちの言う女神とは、この二人のどちらかな?」 「はっ、誠に申し訳ございませんが、私めには、今一つ判り兼ねます。女神様の 御尊顔は、よく存じ上げておるのですが、どちらの方も、その女神様のようにも 見えて、私めには、ちょっと……。」 「まあ、そうであろうな。」 王様はこちらを向くと、 「さて、どちらが一美殿だったかな?」 「あ、あたしですけど。」 一美が立ち上がって言う。 「プラネット公よ。見ての通りだ。こちらが、そちの言う女神じゃ。」 「あの、あたしが何か?」 一美、話が見えないので、おどおどしながら聞く。 「おお、紹介がまだであったな。実は、こちらはプラネット公と申してな。我が 直轄領地の隣の領主なのだが、今まで我らと同じく、魔女に支配されておったの だ。夕べの祝宴で博美殿が戦われ、一美殿が倒された魔女が、その魔女でな。お かげでプラネット公も生き返ることができたという訳じゃが、生き返る時に女神 の顔が少し見えたそうじゃ。」 「そのような訳で、ぜひ、御尊顔を再び拝見したく、ここに参上つかまつったの でございます。」 「プラネット公よ。それだけではあるまい。」 そう言うと、また一美に向かって、 「プラネット公はな。ぜひ一美殿を城にお迎えしたいとの希望なのだが、どうか の。」 「えっ? あたしをですか?」 「ぜひとも客人として、お迎えしたいそうじゃ。」 「博美と一緒でよければ参りますけど。」 「と、いうことなのだが、プラネット公よ、いかがかな?」 「はっ、まことに有難いお言葉。ぜひ、御一緒においで頂きたく存じます。」 「では、旅支度を整えさせておこう。じきに、お披露目の式典も始まるでな。プ ラネット公よ、そちも出席するがよい。」 「はっ。」 「では、お披露目の式典が終ったら、この二人の女神をよろしく頼むぞ。」 「はっ、命に替えましても。」 「では、博美さんに一美さん、お披露目の式典が始まるまで、お休みになってい て下さいな。」 そこでマイア姫が、声をかけてくれたので、なんとかその場所から脱出できた。 部屋に戻ってしばらくしたら、お披露目の式典が始まるってんで、マイア姫に 連れられてバルコニーのある部屋へ行った。なんかよく判らないんだけど、かな り人が集まってるみたいで、やたらとざわざわした雰囲気がする。 王と王妃がバルコニーに出ると、ざわざわが一瞬止む。続いてマイア姫も出る。 王がなにか喋っているんだけど、ここからではよくは判らない。 続いて、プラネット公もバルコニーに出た。やはり何か話してるらしい。 「さ、どうぞ。」 プラネット公の話が終ったところで、係の人がバルコニーに導いてくれる。 まず一美が出る。続いて僕も。あとから健司と康司も続く。 うわっ、すごい数の人、人、人。 「こちらが、プラネット公の城をお救い下された一美姫、そして、こちらが我が 城をお救い下された博美姫である。このお二人はこれからも女神ティアとして、 我々をお救い下されるであろう。」 人々の熱気が、バルコニーにいる僕達の所まで伝わってくる。 「ティア!」 突然、誰かが叫び始めると、それに呼応するかのように、皆が叫びだした。 「ティア! ティア! ティア!」 うわあ、訳が判らん。 しかし、もの凄い熱気だな。僕も一美もお祭りは好きな方だから、こういう雰 囲気って好きなんだよね。ただし自分達がその熱狂の対象になっていなければの 話だけど。 うーっ、本当なら一緒に騒ぎたい。でも、本当にこの場所で騒いだりしたら、 それこそバカみたいだもんね。 一緒に騒ぎたいっていう気持ちが体の中で膨れ上がってきた時、僕のペンダン トの玉が光り始めた。一美のも一緒に光ってる。ペンダントは薄く輝き、その中 心でまばゆい光を放っている玉。 城内は一瞬静まり返り、次の瞬間、人々は前よりも狂ったように騒ぎ始めた。 もはや、彼らが何を言ってるのか判らない。とにかく凄い熱気だ。 「おい、博美。こんなに騒いじまって、あと大丈夫なのかな。」 人々の方を向いたまま、横から健司が心配そうに聶く。 「何が?」 僕も人々の方を向いたまま、聞き返す。 「何がって。俺達、この後、旅に出るんだろ。連中が一緒についてくるなんてこ とはないよな。」 「だって、皆、それを知らないだろ。プラネット公の行列に潜り込んでしまえば 判らないさ。」 「そうか、なんとかなるかな。」 「大丈夫、大丈夫。」 僕の興奮は、このお喋りで何とかおさまって、それと共に玉の輝きも徐々に失 われた。 このとき一美も康司と同じような話をしてたらしい。 −−−− 3章 終わり −−−−
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