CFM「空中分解」 #0827の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「ああ、それがいいな。一美、先入るか?」 「ううん、一緒に入ろうよ。ドレスに着替える前にも入ったけどさ、ここのお風 呂って、結構大きくなかった?」 「多分、四、五人は余裕で入れるだろうな。じゃ、一緒に入るか。」 一美と一緒にバスルームに入る。当り前だけど、相変わらず豪華な造りしてる。 ワンピース脱いで、下着も脱いで、完全に裸になって、ペンダントをもて遊ぶ。 と、ペンダントが簡単にはずれてしまった。 「おい、一美。ペンダントがはずれた。」 「えっ? あ、ほんとだ。あたしもはずせる。」 「これで、何も気にしないで風呂に入れるな。」 頭と体を洗って、お湯に入って、思いっきり手足伸ばして一息つく。 「うー、あったかい。」 一美もあとから入ってきて、 「あー、気持ちいい。ところで、ねえ、博美。」 「ん? なんだ?」 「博美って、ちゃんとお化粧すると結構美人になるのね。」 「あ? 冗談じゃないぜ。なるべくなら、もうあんな格好したくないよ。」 「そうなの。あれだけ美人になれるのに? それに、あれくらいきれいなら博美 だって、もっとモテるんじゃない?」 「冗談。男なんかにモテたってしょうがないよ。夏休み前にもラブレターもらっ たけど、不気味なだけだったし。」 「ねえ、その言葉遣い、いい加減にやめなさいよ。どう見たって女の子なのに、 それこそ不気味だから。」 「そんなこと言ったって、精神的には、まだ男だからね。」 「へー、じゃあさ、こんなことされると興奮する?」 そう言って、一美の奴、体をすりよせてくる。 「アホか。一美の裸なんかで興奮する訳ないだろ。」 「それじゃ、あたしを他の女の子だと思ってさ。」 「仮に一美じゃなくたって、体が男じゃないんだから、興奮のしようがないだろ が。」 「でしょう? だったら、ちゃんと女の子らしくしなさいよ。」 「だけど育ちが育ちだからね。少なくとも半年前までは男やってたんだから、そ んな簡単に女の子らしくなんてできる訳ないだろうが。」 「でもさ、今は女の子なんだから、それらしくしようと思えばできるでしょ?」 「冗談じゃない。誰がそんな真似するかってんだ。」 そう言い捨てて、お湯から上がる。少しのぼせたみたいだな。 体拭いて、髪の毛乾かして。でも、なんか暑くて、服を着る気にならない。 そのまま脱衣室を出ようとして、気が付くと、ペンダントが首に下がっていた。 あ、あれ? いつの間に? そう思って、ペンダントを置いといた所を見ると、 確かに一美のだけしかない。 まあいいや。そんなことより、今はただ暑いし眠いし、とにかく寝よう。 裸のまま脱衣室を出て、そのままベッドに倒れ込む。 一美がいつ風呂から上がって、ベッドに入ったかなんて全然判らない。 次の日の朝、何かの物音で、ふと目を覚ますと、すぐ隣に一美が寝てた。 トントン。あ、誰かがノックしてるんだ。 「はい。」 思わず、反射的に返事する。と、一美も、その音で目を覚ます。 「ちょっと、入っていいか?」 あ、健司達だ。 「おう、何だ?」 「昨日言ってた、悪魔の数についてさ。今からマイア姫に聞きに行こうと思って ……。あ、あれ? お前達、まだ起きてなかったのか?」 「うん、今起きたとこよ。」 そう言って、一美は、ねまきのままベッドから出る。 「へー、一美ちゃん、そういう姿もいいね。」 「やあねえ。もう。」 「おい、康司。何、バカなこと言ってんだよ。」 半ば苦笑しながら僕も一緒に起きようとしたら、 「博美! 起きちゃ駄目!」 一美が凄い勢いで止める。 「へ? 何で?」 「もう、博美ったら、自分がどういう格好で寝たか憶えてないの?」 「どういう格好って……。あ、やば。」 「なんだ、博美の奴。どうしたんだ。」 「博美ったらねえ、あたしよりいい姿してるの。」 「えっ? 博美が一美ちゃんよりいい姿してるって? どういう姿なんだ?」 「康司くん、駄目よ。博美ったら、マリリン・モンローの真似してるんだから。」 「マリリン・モンローっていうと……。」 「そう。あたしのねまきはシャネルの五番よって奴。もっとも博美の場合、香水 なんて付けてないけどね。」 こらこら、康司。そんなに顔を赤くするなよな。 「しかしまた、何で、そんな真似したんだ?」 「さあ、あたしが気が付いた時にはもう完全に寝てたから、判んないわ。とにか く、着替えちゃうから、もう少ししたら、また来てくれない?」 「Ok。」 二人とも部屋を出ていった。 「もう、博美ったら。昨日、どうやって寝たか憶えてないの?」 「たしか、風呂上がって、そのままベッドに倒れ込んだのは憶えてるけど。」 「なんで、そこでねまきを着ないのよ。折角用意されてたのに。」 「そんなもんあったのか?」 「やだ、もしかして気が付かなかったの?」 「ああ、駄目なんだ。僕、眠くなると、完全に頭が働かなくなるから。だけど、 そんなものどこに置いてあったんだ?」 「まだ枕元に置いてある筈よ。あたしは、ちゃんと自分の部屋から持ってきたん だから。」 起き上がりざまに確認する。 「ありゃ、ほんとだ。」 「ねえ、博美。寝る前に髪の手入れしなかったでしょう。」 「それが何か?」 「折角、昨日はきれいな髪型してたのにさ。勿体ないったら。」 「ま、いいじゃん。」 しかし、裸のままで寝たせいか、なんとなく体が汗ばんでるような気がするな あ。 ちょっと気持ち悪いので、バスルームで水を浴びてから、脱ぎっぱなしにして おいたワンピースを着る。 一美も水を浴びて、髪型などを整える。 しばらくしたら、 「おい、一美ちゃん。もういいか?」 って声がする。 「ええ、いいわよ。」 一美が答えると、健司達が入ってきた。 「なんだ、博美。お前、昨日はかわいい髪型してたのに、くずしちまったのか?」 健司が残念そうに言う。 「だって、面倒臭くてさ。」 「でも、お前、仮にも女の子だったら、髪の手入れくらい面倒臭がらずにしろよ な。」 「冗談じゃない。やなこった。」 その時、トントン、ノックの音。 「お早うございます。もうお目覚めになりましたか?」 「あ、マイア姫。お早うございます。」 「そろそろ朝食の用意が整います。それから、朝食のあと、国中へのお披露目の 式典がございますので、御用意願います。」 「お披露目の式典って、どんなことするの?」 「ええ、女神様がお二人、お出ましになられて、悪魔を二人倒された、というこ とを国中に知らせるだけですから、バルコニーから姿を見せるだけで結構なんで すけどね。ただ、その格好ではなんですから、また後で、お召し替え願いますね。」 「あ、そうそう、悪魔で思いだしたんですけど、悪魔って、あと何人残ってるの?」 「えーと、この城を魔女に乗っ取られる前には、全部で五人残っていました。そ の後、倒された悪魔は多分いない筈ですから、昨日倒した魔女を引くと残り三人 だと思います。」 「はあ、あと三人ね。」 「それより、そろそろ朝食の用意も済む頃ですから、食堂の方へ参りましょう。」 僕達はマイア姫について、食堂に行った。 「うわあ!」 思わず叫んでしまった。朝メシなんて簡単に済ませるもんだと思ってたのに、 こりゃ簡単に済みそうにない。 やたらとだだっ広い食堂に、ひたすら長いテーブルがあって、そのテーブルの 上には、たくさんの御馳走が乗っている。 そして、そのテーブルの遥か上座の方に、僕達の席が設けられていた。 昨日の祝宴程ではないにしても、ちょっと気遅れする。でもまあ仕方ないか。 しかし、どうやったら、ここに並んだ一人分の料理を食べることができるんだ ろう。 とにかく適当に食べてたら、まだ他の料理が残っているにもかかわらず、途中 で腹一杯になってしまった。 完全に満腹になったので、食休みのつもりで、中庭に出て、草の上に寝ころん だ。 「ふうー、食った食った。腹一杯だあ。」 やわらかな日差しは暖かいし、草の香りはいいし、もう最高に気分がいい。 一美と二人で草の上に寝ころびながら目をつぶる。と、健司と康司もやってき て、 「博美、そんなに気持ちいいか?」 「ああ、健司もその辺にちょっと寝てみな。いい香りがするから。」 僕は、草の上に寝ころんで、目をつぶったまま、健司に答える。 健司は僕の隣に寝ころんで、 「へえ、本当だ。確かに、いい香りがするな。」 「だろ?」 そのまま返事する。と、 「あれ?」 健司が声をあげる。何事かと思って目を開けると、すぐ脇に健司の顔があった。 「わっ、なんだ。」 あせって飛び起きる。 「あ、すまん。変に近寄り過ぎたな。」 「一体、なんなんだよ。」 もう一度、横になりながら、聞くと、 「いや、お前の頭の方から、石鹸の香りがしたからさ。いい匂いだと思って。」 「え? ああ、先刻、水浴びしたからな。」 「石鹸の香りってのもいいもんだな。」 「僕は別に好きで石鹸の匂いを付けてる訳じゃないんだけどね。」 「でもさ、やっぱり、石鹸の香りっていいと思うよ。」 「ほっとけ!」 そんなこと言いながらも、しばらくの間、草の上に寝ころがって休んでいた。 「皆さん、お休みのところすみませんが、そろそろ、お召し替えをしないといけ ませんので、お部屋にお戻り願えませんか?」 マイア姫の声で我に返る。 「あ、マイア姫。勝手にくつろいじゃってごめんなさいね。すぐ、戻ります。」 それぞれ部屋に戻ると、すぐにお召し替え係が来て、昨日と同じようにドレス に着替えさせられた。ただ、昨日のと違って、薄いピンク色の軽いフワッとした ドレスだったけど。 今迄こんなの着たことなかったから、ちょっと恥しい気がする。 それにしても、相変わらず化粧がうまいこと。また美人に化けてしまった。 一美も同じ格好に化けていて、またまた、お互いに見とれてしまった。 「しかし、ほんとに、あの化粧係の人は腕がいいなあ。」 「ほんと。昨日も思ったけど、あたしと博美が、こんなに美人になるなんてね。」 そこへ、健司と康司もやってきて、 「お、今度はまた、二人とも一段と可愛くなって、見惚れちまうぜ。」 「うふ。そう言われると嬉しいわあ。ほら、博美も可愛いってよ。」 「ま、どうでもいいけどね。」 なんてこと話してたら、マイア姫が突然やって来て、 「ちょっと申し訳ありませんが、広間まで来て頂けませんか?」 「どうかしたんですか?」 「ええ、突然、来客があって、ぜひ女神様にお会いしたいと。でもまだ、お二人 のことを知っている人間は、それ程いない筈なんですよね。」 「へえー、一体なんだろ。まあ、とにかく行ってみましょうか。」 広間に行くと、ソーラ王と王妃が段上の椅子に座っていて、下には、お客様ら しい人が控えていた。 「おお、博美殿、一美殿、参られたか。さ、こちらに。」 ソーラ王が、そう言って、段上の椅子を勧めてくれる。 −−−− 続く −−−−
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