CFM「空中分解」 #0825の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「お、おい、一美。お前、どうしたんだよ。」 「あらしい? ひっ、ろーもしれないわよー。」 一美の奴、いつのまにか相当飲んだらしい。ろれつが回ってない。 「ねえー、ひろみー、ほらあ、一緒に飲もーよー。ひっく。ろーせ、暇なんれし ょー?」 酔った手付きで瓶を傾けて、僕のグラスに酒を注ぐ。その様子が、とても危な っかしい。 そして、テーブルの上に空瓶が二本転がっている。 「おい、健司、康司。お前ら、どれ位飲んだ?」 「俺達二人合わせて一本弱ってとこかな。」 「僕とマイア姫は、まだほんの少ししか飲んでないから……ってことは、一美一 人で一本近く空けたってことか?」 「そういうことになるな。」 康司が答える。 確かに口当りはいいんだけど、でも、口に含んで、よく確かめてみると、結構 強い。 「なあ、この酒、結構強いよなあ。」 「ああ。強いと思うよ。」 こんなのを一人で一本近く空けりゃ、酔っぱらわない訳ない。 「おい、一美。お前、何でそんなに飲んだんだよ。」 「えー? なんか言っらあ?」 「何で、こんなに飲んだんだって聞いてんの。」 「ひっく。さー、なんれれしょーねー。」 駄目だこりゃ。話にならない。 そのあと、一美は、ふらふらしながらテーブルにつっ伏すと、寝息をたて始め た。 僕は、肩をすくめると、いっぱいに注がれたグラスを一気に空けた。 途端にクラッとくる。かなり強い酒だ。慌てて両手で頭を押さえる。 「お、おい、博美。お前まで酔っぱらう気かよ。」 康司が慌てて止めようとした。 「いや、なんとなくグラスを空けたくなったんだ。」 でも、普段からアルコール類など飲みつけていないもんで(あたりまえだ)、 今のはかなり効いたみたいだ。多少ふらふらする。 マイア姫が近くにいた召使いを呼んで、一美を部屋に運ばせようとした。 呼ばれた召使いが、完全に寝込んでいる一美をそっと抱き上げて、運ぼうとし たその時、突然、シャンデリアの殆どが消えて、辺りが薄暗くなり、それと共に もの凄い雷が落ちた。 (蛇足だけど念の為に言っておくと、この国では電気なんてものがないので、雷 で停電したって訳じゃない。シャンデリアは多分、油か何かを使ってたんだと思 う。) そして、広間の中央に煙と共に、いかにも魔女っていう格好をしたものが現れ た。 「なんじゃ、この騒ぎは。ここにいた仲間の魔女はどうした。」 全員びっくりしてダンスをやめる。ワルツも止まる。 そして、一瞬の後、そこらの御婦人方は悲鳴あげるし、男の方もなすすべもな く後ずさりしてるから、このままじゃもう少しで大パニックになるな、そう思っ てたら、僕の胸に下がっているペンダントから一瞬光が走った。 魔女はそれに気が付くと、嫌な声で、 「お前か。お前が、ここの魔女を倒したのじゃな。おのれ、今、お前のその精を 吸い取ってくれるわい。」 わ、わあー、嘘だろー? そんなのやだよー。そう思っても体が動かない。と、 僕の胸のペンダントが薄く光り出した。 それと共に、どこからともなく全身に力が湧いてきた。 席から立って壁にかかっていた剣を取り、その魔女と向かい合う。ただ、今ま で酒を飲んでいたためか、足元が少し心許無い。 魔女は先刻倒した魔女と同じ様に、その杖を僕に向けた。なんとなく引き寄せ られる感じがする。しかし、本当にパワーがついているのか、それとも単に酔っ ていて足がいうことを聞かないだけなのか、とにかく先刻みたいに吸い込まれず に済む。 と、突然、魔女はジャンプして僕の上に組み付いてきた。それを剣でなぎ払お うとして腕を振り回したら、途端に足がふらついて、オットットってな感じで魔 女をかわすことができた。 再び睨み合いになって(僕は足がふらついたまま)、そのまましばらく時間が 流れた。 ふと、気が付くと魔女が位置をずらして、いつのまにか僕のすぐそばに近付い ていた。 酒のせいで気が付かなかったんだと思うけど、とにかく僕にとっては、あまり にも突然だったもんだから、避けることもできず難なく組伏せられてしまった。 「うーっく、このーっ!」 足が多少いうこと聞かなくても、意識だけはしっかりしていたので、思いっき り力を込めて魔女を引き離そうとしながら睨む。と、ペンダントの玉の光りが増 した。 魔女は慌てて跳びのくと同時に、僕の胸を杖で殴ってきた。 「あうっ!」 僕は、胸の痛みを我慢して立ち上がろうとしたが、下げていたペンダントは、 鎖からはずれて転げ落ち、玉の光も弱くなった。 痛みに耐えられずうずくまった僕に、魔女は再び杖を向けた。ふわっと力が抜 けていく。体が引き寄せられていく感じがする。あ…あ、まずい。このままじゃ やられる。 そう思っても、もうなすすべもない。再び回りが白くなり、暗い洞窟に向かっ て引き寄せられる。そして真っ暗な洞窟の向こうには明るい所があって、そこに は、きっとまた、たくさんの人が糸のようにつながっているんだろうな。 そう思って完全に諦めようとした、その時、 「ぎゃーっ!」 突然、魔女が悲鳴をあげ、僕の意識は元に戻った。気が付くと一美が脇にいた。 どうやら、僕のペンダントを拾って魔女に向かって投げつけたらしい。 (あとで聞いたら、玉には直接さわれなくても、ペンダントを持つことはできる らしい。) 「ひっく、あにするのよー。」 いつ目を覚ましたのか知らないけど、完全にふらつきながらも、魔女を睨みつ けてる。 「ひろみに変なころしらら、あらしがゆるさらいかられー。ひいっく。」 何を喋っているのかよく判らない一美の態度に、魔女は半ば呆然としていた。 僕は、今がチャンスとばかりに剣を魔女に向かって投げた。が、魔女はそれに 気が付き、難なくそれをかわす。そして、お返しとばかりに再び杖を突いてきた。 まともにみぞおちのあたりを殴られた僕は、そのまま意識を失った。 −−−− 2章 終わり −−−−
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