CFM「空中分解」 #0789の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「RUN ☆ BATTLE」 by 尉崎 翻 (Don’t Stop!) シーンと静まりかえった教室にキャタピラの音が反響していた。 「な‥‥‥‥?」 絶句したシャル。 「‥‥‥紅影!」 「はっ!」 シャルの叫びと同時に紅影の一人が反応する。 「‥‥どうゆうことだ‥‥?確実に最初に発射される筈ではなかったのか?」 「は、はぁ‥‥ その筈なのですけどぉ‥‥」 「その筈とだと!? 現実に発射されなかったではないか!」 ヒソヒソ声での会話のやりとり。 「どうするつもりだ!ブラーン家としての示しがつかんぞ!」 「し、しかし、若‥‥」 「口答えはゆるさん!」 「なるほどそーゆー事か。つくづく汚いやっちゃなぁ」 突如横に篠原が現われた。ロープはいまだ体にからまったままだが、手足の自由は回 復している。 「のわっ!」 シャルと紅影の一人、名前はバークというのだが(女の子だよ)、が、50cmほど 飛び上がった。 「貴様!どうやってロープを切った!」 「細かいことを気にするな。作者がこまる。それよりも、お前ここにいていいのか?」 「なんだと?」 見れば篠原が指を指していた。その方向にはキャタピラ大砲が位置している。 キャタピラ大砲はウィンウィンうなりながらその目標をシャルに変えようとしてい た。シャルはすぐさまバークに怒鳴る。 「ど、どうゆうことだぁ!大砲が私に向かってくるぞっ!」 「だって若。ロシアンルーレットは変わりばんこに撃つのでしょ?だから今度は若様 の番です。そう、ルーチンを組み込みましたから」 サーッとシャルの顔から血の気が引いていく。 キャタピラ大砲は発射体勢に入っていた。 銃口の色が変わり機械音が高まる。そして発射! 「だーっ!」 のけぞってよけたシャルをわずかに外れて光が通過。後ろのドアが大音響と共に爆 発し消滅。弾丸は2つ目に入っていたのだ。 「モクヒョウ。イマダショウメツセズ。ダイ2ダンヒョウジュンセッテイ」 キャタピラ大砲から声が発せられ、標準が再度セットし直された様子。 「あわわわわっ!!」 全速力でシャルが逃げ出す。 グイッと篠原がつられて引っぱられた。見ればパライズ・ロープが反応してシャル にも引っ掛かったのだ。 「こらぁー!おれは関係ないーっ!!」 ドドドドドッと煙をたてて二人は消えた。少し遅れてキャタピラ砲も弾火を発射さ せながら去った。 いまのはなんだったのだ?と、生徒たちが首をひねる。 「紅影」三人娘がポツリとその場に残された。 「ね、ねぇあたしたちどうするの?」 「若様、いっちゃたね‥‥」 「う〜ん‥‥こまったわねぇ‥‥‥‥」 「でもさぁ。若様もずるい手を使うよねぇ?」 「そうよそうよ、正々堂々と言いながらねぇ」 「そうだ、こないだもねぇ‥‥‥」 キャピキャピ。 立ち話しに夢中であった。「紅影」とはいえども女の子。 絶対の服従の「紅影」の歴史の中にも新人類が現われたようだ。 「あの‥‥‥」 三人娘に声がかけられた。三人が一斉にふり向く。 瞳だ。 「さっきの金髪の人。篠原くんと、リミがどうとか言ってたんだけど‥‥どうゆう事 なんですか?」 「えっ?あぁ。若の事ね?そうねぇちょっと話しがややこしいんだけど‥‥ま、若の 意地が全ての元なんだけど、篠原って人も可哀想ね‥‥‥」 「はぁ‥‥」 「のわーーーっ!」「あぎゃーーーーーっ!」 ギャーギャー喚きながらシャルと篠原は道路を走っていた。 キャタピラとは思えぬようなハイ・スピードでキャタピラ大砲は追ってくる。 「おまーなぁー!おれを巻き込むな!」 「やかましぃ!私のことを「お前」などと下衆の言葉で呼ぶな!」 「とにかく!死ぬならば、シャル!お前だけにしろっ!」 「わたしは死なぬ!死ぬのは篠原淳!貴様だけだっ!」 などと、言い争いながら通りすぎる。 数秒後、その二人の通った軌跡はキャタピラ砲によって廃キョと化すのだ。 校舎、グラウンドを経て、住宅街、商店街、駅、消防署、公園、etc と、次々 と崩壊されていった。 考えれば仮にもシャルは空を飛べるのだから飛んで逃げればいいのだが、あわてて しまってその方法に気付いていない。 騒ぎが大きくなり多くの人により110番通報されたが警察署は真っ先に崩壊され ていたのであった。 高級ホテルの日本庭園。 平日だが人は多かった。お見合いのカップルが数組がいるのが目につく。 久美もその一人であった。とくに立派という相手ではないが条件としても悪くない。 平凡な家庭でいいから幸せになりたい‥‥‥ 本人は結構乗り気だった。 「あの、工藤さん」 相手の男性が声をかけた。美男子とはいえないが、笑顔が似合った素敵な人である。 「あ、久美。でよろしいですわ」 ニコッと笑顔で答える。 「じゃあ‥‥久美さん。」 相手の男性はちょっと照れた顔をした。 「お仕事が、高校の教師だなんて聞いていたから。なんて言うのかなぁ‥‥もっと硬 い感じの人かと思ってたけど。直にあなたをみて安心しましたよ」 「えっ?」 「明るそうで活発的な人だ。僕は好きだなそういう人って」 よかった。相手の人も私を気に入ってくれたみたい! 心の中でため息。 「でも、教師というのも様々と大変な仕事ですよねぇ。不良とかもいるんですか?」 「いえ、そういう類の生徒はうちの学校には‥‥‥」 フッと、篠原の顔が浮かびあがった。 −−−あの子は、不良ってわけじゃないわよねぇ‥‥ 「さっ、そろそろ戻り‥‥んっ?」 相手の男性がそう言いかけた時どこからともなくドドドドッと音が聞こえてきた。 「‥‥‥? なんでしょうね?」 「さぁ‥‥‥?」 音は段々と大きくなり近付いてくる。それにつれて声も聞こえてきた。 地響きにも似た音はその発声者が原因らしい。 「‥‥んで‥‥だから、お‥‥‥‥なんだ!お前ひとりが犠牲になれば済む事だろう が!早くキャタピラ砲を止めろ!」 「やかましぃ!こうなれば一蓮托生だ、篠原淳!貴様にも死んでもらう!」 「いちいち、人の名をフルネームで呼ぶな!」 ギクッ! 久美の耳がその声に反応した。 篠原‥‥‥淳!? 今、たしかにそのスペルが聞こえたような‥‥‥ 「どうしました?」 「えっ!?あっ、な、なんでもありませんわ‥‥ほほほっ」 口もとに手をやって笑ったりする。 そうやってる間に音は大きく増大し完全に接触しようとしていた。 「だわーーっ!!」「どえーーーーーっ!!」 二人分の悲鳴と同時に銃の発射音と破壊音が混ざっている。 ビュイッとパライズロープで縛られたシャルと篠原が久美の真正面から飛び出して 来て、たちまち後方へと駆け抜けた。一瞬遅れ衝撃波がボワッとホテルと日本庭園を 襲う。ガラスが割れ草木が倒れた。同時にキャタピラ砲の弾丸がドバドバと発射され 爆発が起こり、建物がガレキとなる。 「篠原くんっっっっっ!!!!」 いつもの癖でおもいっきり大声で叫び上げた。 「久、久美さん‥‥!?」 「えっ!?あ、あら‥‥私としたことが、はしたない、ほほほ‥‥」 今がお見合いの真っ最中だということをすっかり忘れていた。 相手の男性が、あはは、と軽くわらいながら篠原たちの駆け抜けた方角を指差す。 「い、いまの二人。お知り合いで?」 「えっ、ま、まさか。全く知りませんわ。おほほほ‥‥‥」 必死にとりつくろう。 「でも、さっき『しの‥』とか何とかと、名前を‥」 「や、やですわ。ほほほほ‥‥‥」 「は、ははは‥‥‥」 相手の男性も久美につられて笑う。 背景が爆撃をくらった後でなければ朗らかな情景であった。 ドドドドドッと再び地響きが聞こえた。先程篠原たちが消えた方向からだ。なんて ことはない、要するに篠原たちが戻って来ただけ。 全身のあちこちに焦げ跡がありボロボロになっている。二人が建物から出て来た直 後にホテルが雪崩のごとく崩れ初めた。 「あーっ、工藤先生。どうも こんにちはーっ!」 擦れ違いざまに篠原の挨拶がとぶ。キャタピラ砲の弾丸がその後方を直撃し、シャ ルと篠原がブルーインパルスの如くふっ飛んだ。 「久美さん‥‥今、あなたの名前を‥‥‥」 「はぁ‥‥」 −−−破談かなぁ‥‥‥‥ 工藤久美。26才の春であった。 <つづく>
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