CFM「空中分解」 #0748の修正
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残されたジャンは一瞬、ためらった。しかし、躊躇している間はなかった。追っ手を 皆殺しにしなかったために、生き残りが仲間を呼び集めたらしい。巨大な津波のごとく 集まった怪物達が背後から押し寄せて来る。残された進路は、前の門だけだった。 門の中は、狭い鐘乳洞のような光景だ。ただ黒い鐘乳石が普通と違っていた。むしろ 黒いツララと言った方がピッタリのようだ。うっすらと向こうが透けて見える黒いツラ ラだ。幾重にも重なって見えるツララの向こうから、白い光りが透けて見える。だが、 その光りに向かって行くのは、とても怖く感じられた。 「おぉぉぉーーーーーーーぃ」 ジャンは2人を探すべく声を張り上げた。 だが、返事は返って来なかった。そういえば、追っ手もやって来ない。無性に孤独感が 襲ってくる。孤独の恐怖が、光りのもたらす怖さに勝って、一歩ずつ前進した。 どれくらい歩いただろうか。何日もあるいたような気もするが、まだ数秒しかたって いないような気もする。時間の感覚が正常に働かない。奥から時々、思い出したように 音が聞こえる。エコーばかりで何の音だか定かでない。歩きながら回りを見回して気付 いたのだが、ツララのかなりの数がへし折られて下に散らばっている。中には木端微塵 に砕け散った物もある。壁や地面には、ショベルカーの爪ででも引っ掻いたかのような 傷のような溝が何本も走っている。試しに壁を剣で叩いてみたが、人の力では歯が立た ないほど硬い壁だ。時々聞こえるあの音は、このトンネルを崩してでもいるのか? 瓦礫に混じって人影が倒れているのを見つけたのは、それから間もなくのことだった。6人が半ば、細かい岩粒に埋まっていた。2人は芳岡とパーム、あとの4人はその格好 から見て、門の番人に違いなかった。ジャンはまず、2人を抱き起こした。芳岡はひど い傷ながら、かすかに息があった。 が・・・・ パームは、首から上がなかった。 芳岡が、薄れゆく意識の底から声を出した。 「ジ、、ジャ、、、ジャン、、。。 あ、、あれは、、いったい、、なに、、も、、 の、、だ、、?」 「芳岡はん! 何があったんや?」 「あ、、あい、、つが、、、、よ、、四人におそ、、襲いかかっていたところに、、 ぱぁ、、パァムが、、とびこん、、で、、、」 「よっしゃ、 もぅええ。それ以上、言いな。もう、わかったで。」 「パームが、あいつに、、、、こ、殺された、、。 パームが、、 あいつ、、に ば、、ばけ、もの、に!」 「わかったから、もぅ、喋ったらあかん!! だまってぃっ!!」 「ぁ、ぁぁ、、わ、 わかった・・・・ 」 パームの首は、無惨にもその横に、潰されて落ちていた。 引き返す道のないジャンは、芳岡を背負って立ち上がり、彼方に輝く光を見つめた。 <<< つづく >>>
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