CFM「空中分解」 #0717の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
プロジェクト中央センターは、いつもは観測ブイにやってくる船などを管理す る宇宙船管理ホールをすこしばっかり改造したものだった。入り口から議場を思 わせる配置、ずらりとデスク・コンピュータが並び、やがてそこへ人がやって きて、やれ軌道の計算だとか、やれ通信回線はどうのこうのってやりはじめるの だった。センターの奥には巨大なモニタ・パネルが3つ、幅いっぱいに置かれて いた。これらには電源はまだはいってなかったが、ここには「タンブラー」から の映像や軌道、各デスク・コンピュータの画面などが写し出され、仕事をはかど らせることだろう。 「タンブラーからの通信です!」チェリノフとフロイドがちょうど入ってきた とき、アナウンスが流れた。「これは電波実験ですので、今回のプロジェクトに はなんら関係ありません。仕事中の人はそちらの方を優先させてやって下さい。」 と、後から付け足しのアナウンスが流れたが、フロイドが見た限りここにいる人 は全員コンピュータを回線につないだようだった。 「コチラ、タンブラー。ヒコウハジュンチョウ。3ジカンイナイニハ、クモノ シタニ デレルト オモワレマス。チキュウノ タイキノナガレハ データ ヨリ イクブン ハヤメデスガ、コレライナラシショウハ ナイトオモイマス シカシ、ズイブン ヒドイデスネ。トハイッテモ、カレラニ トッテハラクエン ナノカ・・・」 「あー、こちら中央ホールだ。動物には遭遇したのか?」 「イエ、セッショクハ シテイマセン。シカシ サキホド ゼンポウ 50 ドノトコロニ <ドリューシャ>ヲ 2タイ ハッケン イタシマシタ。コ 1,2 フンデ・・・・・ミウシナッテ、シマイマシタ。」 <ドリューシャ>とは、No.4を襲った直径が200Mもある青いクラゲ である。ついでにこれに形態は似ているのだが規模が違う黒の奴は<ウ゛ァー ナ>という。しかし、これらが同類であるかどうかは分からない。<ウ゛ァー ナ>は、一世紀前に観測されただけなのである。 「<ドリューシャ>には気をつけろよ。なにしろ、気難しい先生のお気にいり のおもちゃなんだからな、おまえさんは。」 「ハイ、ワカリマシタ。 センセイガタモ タイチョウヲ クズサヌヨウニ ツケテクダサイ。」 「よし、ではこれでテストは終わりにしよう。あと2時間後にまた連絡をくれ 。応答は結構だ。」 通信が切れると、わずかな不平と大いなる期待を表すどよめきが、どこから ともなくわいてでた。フロイドが振り返ってみると、いつの間にかほとんどの 席に人がついている。これらの人々はあと2時間、実際仕事はないはずなのに ・・・みんな、このプロジェクトに興奮しきっているのだ。連日睡眠不足だと いうのに。ブイがこんな活気ずいたのは人員削減が行われて以来だった。 フロイドは意味もなく微笑んでしまった。 なにか騒がしいなぁ・・・という薄い意識から完全に復活するのに1秒もい らなかった。フロイドはデスク・ライトの心地よい暖かさに、眠ってしまった のだ。よだれが出ていないか、無意識のうちに手を口にやっていた。ちょっと ばつの悪いことをしてしまったな。まぁ、いいや。こんなに広いホールで一人 くらいうつぶせになっていたとしても誰も気がつかないだろう。 「随分フロイドさんは適応性があるんですね。こんな堅いコンピュータ・デ スクの上で寝てしまうなんて。」 突然の言葉に若い研究員は狼狽した。声は後ろのデスクとデスクの間にある 通路からしたようだ。パッと振り向くと、チェリノフの秘書のイーディスがコ ーヒーをトレイにのせてたっていた。 「あ・・・イーディスさん、知ってたんなら起こしてくれてもいいじゃない ですか。」 「それ、本心?」イーディスはコーヒーをフロイドに差し出した。「大丈夫。 あなたが眠っている間はなにもなかったわ。でも、もうすぐ交信が始まるから 起こそうとおもってたら。」 「それは・・・どうも、ありがとう。」 コーヒーを飲みながら、どうしてこの人の前にいるといつも緊張するのだろう か、と考えた。 「HT−26000は、随分あなたになついていたようね。」 「イーディスさんは あいつと話したことがあるんですか?」 「チェスをやったときに、世間話をしたの。まぁ、そこらの人よりかは話し上 手ね。」そこらの人っていうのは私のことなのだろうか?フロイドは何故か身 が締め付けられるような感じがした。それを察したのか、イーディスは急に言 葉をつなげた。「でも、この言語担当の人って、なかなかのセンスね。コンピ ュータにこれだけのことをさせてしまうのだから、本人はきっと素晴らしいん だわ。」 「言語担当はスチーブです。」 「・・・・・・」 「どうも。コーヒーありがとう。」 「あ、いえ、・・・じゃあ頑張ってね。」ギコチなく言葉を発するとイーディ スはトレイを脇に抱えて戻っていった。博士のデスクに向かう途中、彼女は 思った。″どうしてあの人の前にいるといつも緊張するのかしら″と。 彼女のさったあと、モニタ・パネルに茶色いもやのような画像が突然映し出 された。フロイドはサブモニタを回線につないだ。さすがに、奥のモニタの方 が迫力があるな、と思った。12型モニタと映画スクリーンとでは比べること さえ難しい。でもまあ、ショッキングな事実を強烈なダメージで受けることが ないということは良いことなのだろう。そんなことを考えながら、ヘッドホォ ンをジャックに差し込んだ。 「タダイマ、クモヲトッパシテイル トコロデス。セイブツハ、レーダーナ イニ ハンノウハ アリマスガ カクニン サレテイマセン。 オオキ イヨウデス。 トハイッテモ ニンゲンヨリカハ オオキイデスガ。コノ ブツハ ヒコウノウリョクニ タケテイルラシク コウソクイドウヤ Uタ ウドウヲ トッタリシテイマス。カクニン デキシダイ、ホウコクヲ シタイ オモイマス。サキホド、クモノ トツニュウマエデスガ、チヒョウガ ミエマシ タ。イロハ クロデ、キラキラト ヒカッテ イタヨウデス。ソノトキハ、ホ ノイッシュンダッタノデ、カンイカメラデノミ サツエイ スルコトニ セイ シマシタ。ソレヲ コノ コウシンガ オワリシダイ オクリタイト ハイパーウェーブCH47 タンブラー 00002 」
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