CFM「空中分解」 #0713の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
詩集 A DAY IN THE LIFE より ちょうどよい一日の終わりに その1 窓のなかのおまえ 風のつよい日には風のなかを歩いた 僕のたましいは 丘の上にたち ゆれうごく草のむこうの 道をさがしていた 僕はどこから来たのだろう この風に吹きとばされてしまえば いつか帰れるのだろうかと 耳をすますと それはたくさんの言葉が たくさんの口から いっときにはきだされたみたいに とびちってしまうのを 僕はおいかけたが すぐにあきらめた つよい風が吹くと すべてのものから色彩が吹きとばされて 灰色の影だけが残った 影ではなかった 色彩をなくしうごめくものたち まわりから声がおしよせるので 僕の心の中のなにかは かたすみにおしやられ 広場には誰もいなくなった それで 僕は 地べたに線を描いた おまえは僕に名前をつけて 何度も何度も その名前で呼んだ 僕は横顔を見せたまま 気持ちよさそうにとばされていった おまえは 聞こえなかったのだ と 思ったろうか その2 いつもこのままでいながら おまえたちはどこへ行ってしまったのか 僕の心のなかに ある言葉がうかんでくる 日々のくらしとはなんのつながりもない その言葉を 僕は何日も もしかすると何ケ月も だきかかえて 疲れた顔をしながら 時々出してみる まちを歩きまわりながら さっきからずっと なにか思い続けていたはずなのに 忘れてしまったのか なくしてしまったのか あまり軽くなってしまった心に 驚いてたちどまりそうになる 僕の目の前を なにかがよこぎる その時を待っていた すぐにみうしなってしまう ぼくはおいかけない 僕はふりむいて 僕のずっとうしろを見る おまえたちはどこへ行ってしまったのか おまえたちは ひとりひとりが 僕をつれていってしまったので いま僕は ここにしかいない おまえたちはどこに行ってしまったのか おまえたちは 知らない人の顔になって 僕のまわりを歩いているのか いま声を出したのはだれですか いま誰にはなしかけようとしたのですか 僕の声を聞きつけて 驚いたかおして 僕の目をみつめる人を さがしてみる その3 おまえがここにいた頃 みおぼえのある景色のなかに みおぼえのある僕がいる 歩いているが どこへ行こうとしているのか 見ている僕にはわからない 風景の左から右へ歩いてゆく まっすぐ歩いているのに 円を描いている歩いているみたいに いつまでも僕の目の前にいる 手をのばせばとどきそうに 低い空 ここは蓋をされている 光があたると 影がなくなる なにもかもがとじこめられたまま せまくなってゆく 田圃にひしめく稲は うごかない 電線は鳴かない 犬は走らない
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