CFM「空中分解」 #0704の修正
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「なんだ? 直美の奴、涙なんか流して…。何かあったのかな?」 義彦は痛む腰をかばいながら立ち上がって、スボンのホコリを払った。 ちょっと舌打ちをしながら校舎の角を曲ろうとすると、何と鈴木と神月がい る。義彦は慌ててバックした。 「な、なんで奴らがあんな所に?」 義彦の目はすっかり点になってしまった。 ……しばらく黙って二人の話を聞いてみると… 「何!? 鈴木はそんなに尻軽だったのか…何て奴だ! 何人もの女に手を かけやがって。今度は深雪が犠牲者になるかも…」 義彦は何故か怒りを覚えていた。 「奴にいい気はさせないぞ!」 そう意気込むと義彦は何か思い付いたらしく、さっさと帰ってしまった。 ☆ 場面は変って深雪の教室。 直美が教室に入って来た。深雪は今度は直美に攻撃の矛先をかえた。 「直美ちゃん、おはよー。もう1時間目は終ったのよ。勉強はいいのかしら ?」 直美は黙ったまま席についた。深雪は攻撃をゆるめない。 「あらあら。どうやら勉強する気がお有りなのかしら? それなら遅刻もし ない方がいいわねー」 直美はうつむいたまま何もしゃべらない。流石の深雪も直美の妙な様子に気 が付いた。 「な、直美、御免なさい…その…ちょっと昨日変な事があったもんで……… ……御免なさい…」 深雪は直美の肩に触れながら謝った…。 「いいの…私が悪いんだから…」 「そんな事ないわよ! 私達は深雪の事を考えて見守りに行っただけなんだ から!」 祥子が横から口をはさむ。全く現状を把握していない。 「静かにしてよ祥子! 今は直美と話てるんだからぁ!」 「なにさ! 深雪のバカ!!」 ☆ その頃、鈴木の母親が近くの図書館を借りきってPTA会議をしていた。鈴 木ママは深雪達の通っている中学のPTA親玉である。 図書館にはそうそうたるメンバー達の顔がずらりとならんでいる。鈴木の母 を筆頭に、深雪・祥子・義彦・古沢の母、直美・神月の父等々。 鈴木ママが話始めた。 「深雪さんの奥さま、昨日の事をどの様に考えていらっしゃいます?」 「えぇ? 別に。宜しい事では御座居ませんの?」 「まっ! 子が子なら親も親ですわねぇ。いやだわホホホ。未だ健作は中3 、深雪ちゃんに至っては中2で御座居ますでしょう? 深雪ちゃんは未だいい のかも知れませんで御座居ますけど、健作は高校受験を控えている大事な時で 御座居ますのよ。こういう事があっては健作の足を引っ張る事になるんで御座 居ますのよ? お判りになられまして?」 皮肉たっぷりだ。 「でも、二人できちんと節度を持って行動するのなら、大丈夫だと思います けれど。奥様のとりこし苦労ではありません?」 「あらあらあらあら。ほんとに判らない人ですのねぇ。たくの息子は奥様の うちの様な甘い仕付けはしていませんで御座居ますの」 「あら。うちも奥様のとこの様な曲った仕付けはしていませんのよ」 深雪ママもやり返す。 「まあ…おお、嘆かわしい…なんという事。おお、やだやだ」 他の親達は暇なだけである。話は深雪ママと健作ママの二人だけで進行して いる。只々、二人の言葉にハラハラしながら話を聞くだけである。 後日、神月パパに聞いてみると… 「ああ、あの時は怖かったよ。死霊のはらわたなんて目じゃなかったね」 子供の争いに親まで加わった訳である。 <続く>
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