CFM「空中分解」 #0526の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
ここから遠く、とおーく離れたところに、一つの大きな国家がありました。 長き戦争の後、統一を果たした巨大な国家でした。 その力は全宇宙に及び、人は皆平和に暮らしていました。 戦争のため、都市の改善・回復を進めるなか、勢力拡大が進められていきました。 その中、また新しい人種が発見され、開拓と同時に、接触が行われました。 赤い瞳をした人種でした。 彼らは原始的ではありましたが、比較的高度な知能を持ち合わせながら、強度な体を持っていました。 そして、何より友好的でした。 お互いに情報を交換し、こちらは技術を、そしてむこうは労働力を提供しました。 しかし彼らは、船を作る技術を知ると一変しました。 友好的だった態度はがらりと変わり、<国>に反抗的になりました。 最初は<国>も無視をしていたのですが、どんどん大きくなる彼らを恐れ、部隊を編成し、戦争が始まりました。 <国>は想像以上の苦戦を強いられたものの、ひとつの星ごときに揺らぐような規模ではありません。 赤い目の彼らは、全滅しました。 しかし、ある日、最後の戦闘区域だったところを通り過ぎた少女は、一つの機械機器を拾いました。 それを拾って調べて見た少女は、意外なことを発見したのです。 彼らは、全滅したように見せかけ、船を捨て、体だけランダムジャンプにより他の星に移っていたのでした。 そして、再度、立ち直しを試みたのです。 最後の手段だったのでしょう。 体だけのジャンプは技術がまだ中途半端なので、生身の体のみしかできないから、どうしようもない時に使うものですから。 何も持って、飛ぶことはできないのです。 「命だけは」と言うときにのみ使う、最後の手段なのです。 一番近い、人の住める所と言う条件で設定してありました。 そして、その星が、ここでした。 体制を立て直すために逃げた彼らでしたが、ここにはすでに国家が成立していました。 それもかなり巨大で、逃げのびた彼らだけでは倒せるものではありませんでした。 そして、彼らはその星の人になりすまし、時期を待っていました。 彼らは、自分達の技術を売り、世界を動かしてきました。 そして、彼らは、国をだまし、世界をだまし、「エンペリウム」を製作したのです。 特定の範囲のみの生物を抹消するミサイル兵器。 その誤差は小さく、威力は絶大でした。 彼らは、彼らの総員100人だけで倒せるだけの人を残し、後を全滅させました。 何故、人を全滅させなかったのでしょう。 おそらく奴隷のため、そして、殺戮を楽しむためだと思うのです。 そして、彼らの思いどおりの星となりました。 彼らが生きていることを知った少女は、<国>に訴えました。 しかし、百人程度となってしまった相手など、<国>は見向きもしません。 それでも、彼女は彼らを倒したかったのです。 なぜなら、その少女は彼らによって両親、そして恋人までが殺されました。 そしてその母はその星の人だったのです。 少女は、急いでその星に向かいました。 しかし、ついた時にはすでに遅かったのです。 その星は殆ど、自分達の力でで彼らを倒すことができなくなっていました。 元よりその少女には、彼らを倒す力も財力もありません。 しかし、彼女は解決を探すべく、この星の事をくまなく調べ上げました。 その結果、一縷の望みがある事が解ったのです。 この星の人は精神力が強かったのです。 そして、それを武器とする物を彼女は持っていました。 それを使えばこの星の人といえども、彼ら以上の実力を持つはずでした。 しかし、その武器は残念ながら、父の形見の一つ分しかありませんでした。 そして、最適の人物を一人選出し、その人に一人で戦ってもらおうと決心したのです。 しかし、それをその人が受けてくれるかどうかなど、彼女には全く解りませんでした。 何故なら、それを受けた人は、踏台の形となるのが解りきっていたからです。 一人で、倒せるだけ倒し、立場を逆転させるという単純な作戦でしかなかったからです。初めから、死ぬと解っていて受けてくれるでしょうか? ですが、それしか方法がなかったのです。 彼女は決意しました。 彼に賭けてみることにしたのです。 そして彼女は、父の形見を胸にこの星に降り立ちました。 彼女の話は、始まる時も終わる時も静かであった。 静寂が、しばらく辺りを包んだ。 彼女は昔の何かを思い出したらしく、うつむいた。 俺は、事の真偽を確かめながら、頭の中で事態を整理していた。 混乱はしたが、辻つまは合う。 それに、すでに事態は頭の許容範囲を越えていた。 何があったとしてもおかしくない。 たとえ、彼女が自分は伝説の女神だと言ったとして、俺はうなずいたと思う。 この<崩れ>は、人間外の生物が作り出した兵器の痕跡。 そして、人がいなくなったのは、その兵器のせい。 そして、赤い目の男達は異邦人。 どうして、この程度の事が信じられないと言えよう。 彼女が何者なのかはよく解らない。 しかし、俺は彼女の話を信じることにした。 「その少女って言うのが、君か………」 彼女はこっくりとうなずいた。 「うん…………私の名前は、リルフィー………赤い目と同じ………宇宙人よ……」 「それで、一縷の望みってやつは………」 「…………………これ」 彼女は、ちょっと開いた胸の辺りの服の隙間から、腕輪ぐらいの二つのわっかを取り出した。 彼女は、それを見るために体を乗り出した俺に体を寄せてきて、その腕輪らしき物を渡した。 差しだした手の上に、二つの輪が転がる。 黒光りした、軽い素材でできた物。 細くて割れそうではあるが、細かな彫りが高度な技術を思わせた。 遥か彼方の文明が作り出した代物。 俺に理解できるはずがない。 「これは?」 「お父さんの形見………“アッカース”って言うの………手にはめてみて……」 「………ああ」 俺は、その輪を手に通し、手首の辺りにもって行った。 すると、急に輪が閉りだし、手首を締め付けた。 が、痛みはない。 やがて、輪はのめり込むほどの位置まで行って止まった。 やはり痛くはない。 いや、それよりも付けていると言う感覚すらない。 まったく、いつもの腕と変わらないような気がした。 気になって、腕を振ってみたりする。 「つ!」 肩辺りに激痛が走り、俺は思わず顔をしかめた。 「あん………まだ、治ってもいないのに、腕なんか振るから………黙って聞いていて」 「ん………ああ」 俺は苦痛に目を細めながら、彼女の言葉に従い、ゆったりとソファーに腰掛け、彼女の言葉に耳を傾けた。
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