CFM「空中分解」 #0342の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
パパイヤコネクション(2) クエスト 次の夜、啓一郎が「パパイヤコネクション」を立ち上げてみると、ミカコがデイスプ レイに現れた。 どうやら、ミカコのお願いとお願いとの間に一日間のタイムロックがかけられている ようだ。 「今日は。啓一郎様。ミカコまた啓一郎様と会えて、とっても嬉しいわ。」 「今度のお願いも、聞いてね。」 画面が切り変わった。 ミカコのCGがスクロールして、ミカコの上半身が映し出された。 何と、すっ裸...と、一瞬啓一郎は期待したが、そうではなく、ミカコの上半身は 、女子校生らしい、清楚で可愛らしいピンクのセーターで包まれていた。 啓一郎が目を皿のようにして見た胸元は、まだこれといった特徴はないものの、それ なりにふっくらとしている。 啓一郎は心臓がドッキンドッキンとしてきた。 「これは、まじや。この抑えたやり方はまじに決まってる。」 「よっしゃ。とことん、やったるでー。」 と、不純と純な気持ちがないまぜになって、啓一郎は殆ど錯乱状態。 画面がまたスクロールして、ミカコの真剣なまなざし。 「ミカコの二番目のお願い。」 「電車の中で可愛い女の子にキスしてね。」 「えー!!ななななな んやてーーーー。」 「そんなん、できるわけないやんかー。」 さすがの啓一郎もまだ高校生。もちろん、キスしたことはある。一方的に惚れてきた 、同級生の悦子。うるさくまとわりつくので、映画を見た帰り、丁度公園があって、啓 一郎がどんどんどんどん暗い方へ行っても平気でついて来たので... しかし、電車の中、それも可愛い子となると... 「よっしゃ。なんとかやってみよ。」 あくまで、乗せられやすい啓一郎であった。 「あんなー児島、ちょっと手伝うて欲しいことあんねん。」 児島は、啓一郎の同級生。なかなかのしっかり者で、ぼんやりとした啓一郎とは好対照 であるが、なぜか仲がいいのである。 「なんやてー。坂口、気狂たんちゃうか。はよ、病院行ってこいや。」 啓一郎は、坂口啓一郎というのであった。今、作者が考えたのである。 啓一郎が児島隆司に事情を話すと、児島は一応納得した。が、 「ええー。吉川理恵子ー。坂口、やめとけて。無理や。あの子はべっぴんやけど、気が めちゃめちゃ強いん知ってるやろ。」 「悪いこといわへんから、悦子にしとき。あれやったら、何でもお前のいうこと聞きよ る。写真は修正したらええね。」 吉川理恵子は啓一郎の一年下、啓一郎が話することのできる数少ない女の子の内では 一番の美少女であった。 テニス部なので、肌はよく焼けているが、きりっとした顔立ち、大きな瞳。 帰る方向が一緒なので、たまに話をするだけなのだが... 「坂口さんとかえるん、久し振りですねー。」 なにも知らない理恵子は無邪気にいった。 「ほんまやねー。今日は僕もちょっと遅そなったんや。」 「パソコンクラブですかー。もうじき文化祭やし。」 本当は、理恵子が帰るまで、児島と二人でどうしたら理恵子と電車の中でキスできるか 、あーでもないこーでもないと、やりあっていたのである。 電車の中は、座ることはできなかったが、それほど混んではいない。 理恵子と啓一郎はドアのそば、座席のはずれ、一番目立たないところにいる。 児島君は、少し離れた所で密かに啓一郎が預けたコニカを持って、待機している。 そして、時々ちらちらと二人を見ては、啓一郎にむふふと笑いかける。 「あいつ、でけへんと思てるんやろか。なんや、こんなんどうということないやんか。 別に、犯罪やないし...」 とはいうものの、啓一郎は理恵子との話もうわの空、キスキスキスキスキスキスキス キスキスと、頭の中は混乱しきっていた。 吉川理恵子は、啓一郎のようなぼんやりした男が相手だと、安心するらしく、にこに ことしている。 電車がカーブでぐらりと揺れた。児島がさっとカメラを構える。 しかし、啓一郎はおっとっとといった調子でなんとなく理恵子の方へもたれかかること しかできなかった。 「いや、ごめん。ちょっとぼんやりしてて。」 「ふふ、啓一郎さんっていつもそんなんちゃいますかー。」 「そんなことないよ。これでも、やるときはやるんや...」 児島が「あほ、あほ、はよせい、すぐせい」と無声で口を動かしている。 理恵子は次の駅で降りてしまう。えらいこっちゃ。ミカコとはこれまでか... 啓一郎は自分の意気地のなさに、涙がチョチョ切れる思いであった。 「吉川さん、好きな人おるん?」 「ええー、なんですかー。それー。そんな人おらへんに決まってるでしょー。私ねー、 だいたい男の子は好きやないねん。特に、えらそーな人とか、むりやり人になにか押し つけるような人、大嫌いや。」と、理恵子は決めつけるようにいった。 「そうか...」 あかんわ...啓一郎は力なく、児島の方を見た。 児島は「しゃーないな。」といった顔つきをしている。 その時、駅に近づいた電車が急ブレーキをかけた。 キキキー。グラッ。 理恵子の方へ身体が揺れる。そして、理恵子の肩に腕が廻る。理恵子の愛らしい顔が 近づく。やわらかそうな唇、ツンとした鼻、そして... 啓一郎は理恵子と電車の中でキスをした。 一瞬のことで、はた目にはただ、二人の高校生が電車の揺れでぶつかったように思えた だろう。 理恵子は、びっくりまなこで啓一郎を見つめた。 電車が停まる。ドアが開く。 理恵子は何もいわず、飛びだしていった。 「お前、ほんまにやるとは、思わなんだで。写真、撮っといたで。」 「おお、すまん。」啓一郎はぼんやりとして答えた。 「まあ、とにかく、クリアやんか。坂口。」 「うん。でも、よーないなー。やっぱり。」 「そーかー。彼女、お前に気いあったんとちゃうか。また誘たらええやんか。」 啓一郎はその夜、またディスプレイに向かった。 ディスプレイのミカコの顔が微笑んだ。 「やるのねー。啓一郎様って。ミカコ信じられない。」 「あんなー。ええかげんにせいよ。理恵子はなー。お前みたいにワガママなんとはちゃ うんやからなー。」 啓一郎はディスプレイのミカコを睨みつけた。 「それでと。またYESや。やったあ。」 救いようのない啓一郎であった。 つづく
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