CFM「空中分解」 #0338の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
パパイヤコネクション(1) クエスト 「あーあ、なんかおもろいソフトないやろか。」 啓一郎は、日本橋筋、電電タウンをあてもなくぶらついていた。 だいたいこの男はぼんやりしたり、ぶらぶらするのが好きという、先が思いやられる 性格なのである。 地道に、着実にということが、どうも苦手なようだ。 では、どうするか。 とりあえず、ぶらぶらするのである。 できるものなら、ずっとそうしていたいと、思っているようだ。 と、いうわけで、彼があんな目に遇うのも致し方ないことだったのかも知れない。 彼がそのソフトを見つけたのは、別に得体の知れない不気味な店などではなく、「テ クノランド」でだった。 「パパイヤコネクション」、ソフトがずらりと並んだ棚から、啓一郎は目敏くこのソ フトを見つけだした。 なんせ、裕福な家庭、ファミリーカードでソフト買い放題の啓一郎だったから、さっ と目を配っただけで、何が新しいソフトが判ってしまう。 「知らんソフトやなー。ログインにものってなかったなー。」 そのソフトは確かにメジャーなメーカーのものではなかった。 「ハードソフト?知らんなー。同人ソフトやろか。」 余り期待はできなかったが、とにかく無造作に店員にカードを見せて、啓一郎はその ソフトを手に入れたのだった。 「今日は。私ミカコよ。あなたの名前を教えて。」 啓一郎が88MRで「パパイヤコネクション」を立ち上げると、目がクリクリと可愛 い女の子のCGといっしょにメッセージが出た。 「なんや。エロソフトちゃうか。子供だましのアダルトソフトかいな。」 「啓一郎様。」と、打ち込む。だいたいが、横着な男なのである。 「あのね。啓一郎様。これから私のいうことを、ずーと聞いてくれたら、ミカコ啓一 郎様に首ったけになっちゃうわ。」 「それからね。私は実在の女の子よ。松村ミカコっていうの。女子校生よ。でも、退 屈なの。」 「もし、私のお願いを最後まで聞いてもらえたら、私といいことしましょ。」 「リターンキーを押してください。」 「へっ、ばかにすな。どあほ。」と、思いながらも啓一郎がCRしたのは、いうまでも ない。 「じゃあ、これからミカコ、啓一郎様にお願いをするわ。もし、啓一郎様が私と... なら、私のお願いかなえてね。そして、その写真を撮っておいてね。」 画面は切り替わって、ミカコが真剣なまなざしで啓一郎を見つめているCG。 「ミカコの最初のお願い。」 「啓一郎様のおかあさまをハリ倒してね。」 「えー!なんやてー。そんなん、メチャクチャやんかー。」 「なんちゅーえげつない女やねん。ミカコいうのは。」 「よっしゃ。やってみよ。」本人もえげつない啓一郎であった。 啓一郎の母は、あわただしく晩御飯の支度をしていた。 「おかあちゃん。写真撮ったろか。」 啓一郎は、コニカのセルフタイマーをセットしながら、ニコニコといった。 「なんやのん、この子。けったいなこというて。」 「いや、今度先生がテーマ出しはってん。家族のスナップ撮ってこいていわはるね。」 「あら、そうかいな。私、ちょっと化粧してこ。」 啓一郎の母親は、急にいそいそとしだした。 「いや、そのままでええね。スナップやから。」 「そうかー。そやけど...」 不満気な母親を無視して、啓一郎はコニカを冷蔵庫の上に置いた。 「撮るよー。カメラ見て。はい、チーズ。」 ばちーん。ピカッ、カシャ。 啓一郎は思いっきり母親の頬をはり倒した。ストロボに照らし出された母親の歪んだ 顔をコニカがしっかりととらえた。 「あいたー。なにするんや。啓ちゃん。おかあちゃんのほっぺたしばいたりして!」 「ちょっと、おとーちゃん。啓一郎いうたら...」 「いや、これはテーマや。家庭内暴力追放のポスター...」 啓一郎は、その夜父親にこっぴどく叱られ、カードを取り上げられてしまった。 啓一郎はデイスプレイのミカコを睨みつけていた。 「こら。よー、ええかげんな...えーと、YESを選んで入力。」 本人もええかげんな啓一郎であった。 デイスプレイのミカコの顔が微笑んだ。 「すごーい。啓一郎様って。ミカコ、見直しちゃった。」 「それじゃ、また明日ね。」 ミカコがウインクして、デイスプレイは暗くなった。 そして、啓一郎がいくら操作しても、「パパイヤコネクション」は、うんともすんとも いわなくなってしまった。 つづく
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