CFM「空中分解」 #0213の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
いつもの喫茶店には、他の客の姿はなかった。おまけに昨日までは一緒だっ た彼女も、もういない。早い話が、僕は彼女にふられたのだ。 昨夜のこの場所での事だ。最初から彼女の言いたいことは、手に取るように 判った。三角関係という不思議なトライアングルで、僕は敗北したのだ。店の 外では、僕のバイクが街灯の柔らかな光を浴びて、じっと息を潜めていた。「ま あ、良いさ。」そう自分に言い聞かせるのがやっとだった。僕は、とにかく気 をまぎらわせたくて、カウンターの隅に置いてあった新聞に手を延ばした。特 別に代わりばえのしない記事が並んでいた・・・はずだった、しかしそこで見 つけた記事は、 「−−国で日本人青年、行方不明。誘拐の可能性も。」 という見出しで始まっていた。そして、その日本人青年というのは、紛れもな く三角関係の頂点を勤めた彼だった。 彼は、絵の勉強をするために1カ月ほど前に、日本を飛び立った。僕は以前 彼の絵を見せてもらったことがある。その時に見たのはオリジナルの作品じゃ なくゴッホの模写だった。それは素晴らしい出来だった。あらゆるテクニック を使い完璧に仕上げられたその作品を見て、僕は、思わずため息をついたもの だった。そんな彼が行方不明あるいは誘拐されたことを彼女は知らないはずだ。 そう思ったとたん、とてつもない胸騒ぎに襲われた。「彼女が危ない!!!」 直感が組み立てた、この短い文章につき動かされて、僕は、彼女の後を追うこ とになった。 <つづく>
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「CFM「空中分解」」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE