●連載 #1153の修正
★タイトルと名前
親文書
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
副題:ドン・キホーテが自由な理由 署を出て、大嫌いなダイヤゲート池袋のアンダーパスをくぐって、 一昨日事件のあったサンシャインシティを通り抜けると、すぐに池袋線の下に入った。 音羽、江戸川橋、飯田橋、竹橋、と走って内堀通りに入る。 さっき通った音羽の手前が早稲田なので、光男は昨日の事を思い出していた。 「早稲田とかさあ、ごちゃごちゃした街だと俺のN-BOXでもいいけれども、 内堀通りじゃあ、こういうクラウンじゃないとダメだよな。何でだろう」 「それはですねえ、「神の死」がないからですよ」と明子巡査。 「えええ、なにー、「神の死」って。又心理学的な話?」 明子巡査は何かと言うと心理学的な分析をするのだった。 「まぁ、心理学というよりは消費論ですけれどもね。ボードリヤールとか」 「…」 「例えば私は表参道のブランドショップが苦手で全然ダメなタイプなんです。 手の脂がブランド品についてしまう様な気がして。 でも、同じ商品でも、ドン・キホーテなら気楽に触れるんですね。 同じ様に、世田谷通りの外車のディーラーは苦手でも、 オートバックスなら安心していられるんですね。 それは「神の死」があるからなんです」 「うーん。ポリポリ」と光男は運転しながら頭をかいた。 「表参道のブランドショップは神につながっているから近寄りがたいんですよ。 表参道っていったら神社につながっているでしょう? でも、ドン・キホーテに持ってきて、神と引き離してしまえば、 それは、「神の死」の状態なんですよ。 それはちょうど欅坂46のナチスファッションと同じで、 ああいうものは、旧日本陸軍の軍服と同じで、 旧日本陸軍が着ていれば神々しい感じですけれども、 敗戦で「神の死」を迎えれば、ただのコスプレになっちゃうんですよ。 専門用語でシミュラークルと言いますけど。 そういう感じで、高田馬場なんて、「神の死」んだ街だから、気楽だから、 N-BOXでも大丈夫なんですよ。 でも内堀通りは「神の死」がないから、つまり神が生きているから、 だから、クラウンじゃないとダメなんですね」 「じゃあ、池袋は? 「神の死」はあるのか? あそこも、サンシャインシティの方だとN-BOXだと舐められる感じがするぞ」 「それは西武が、なんちゃって神だからですよ」 「なんちゃって神?」 「神でもないのに、神の様な尊大な態度をとっている感じ」 「西武って、国土計画とかプリンスホテルとか名前からして不敬罪っぽいものなあ」 「そうですねえ」 などと話しながら内堀通りを走っていた。 「昼飯、どうする?」と光男が言った。 「又、本部庁舎のレストランですか?」と明子巡査。 「どっか、ここらへんでもいいよ」 車はまだ皇居外苑を走っていた。 「ぐるなびかなんかでどっか探して」 明子巡査はスマホを出すと、検索した。 「うーん、このあたりだと、東京會舘に「ル ブール ノワゼット」 というレストランがあって、ランチは2750〜です」 「高い」 「うーん」 明子巡査がぐずぐずしている内に車は右折して晴海通りに入る。 「日比谷公園に日比谷パレスというのがあってランチは3630〜」 「高すぎだよ」 「ここらへんで安いのは、法曹会館のレストラン マロニエですね。 日替わりランチ、ロールキャベツ900円。 谷崎潤一郎の「細雪」にも出てきたと書いてあります」 「そこでいいよ」
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