●連載 #1139の修正
★タイトルと名前
親文書
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
(副題:最近の遺体は何故安っぽいのだろうか?) 近くに行くと、ミツさんとカトーもしゃがみ込んだ。 「ご苦労様です」とコバ。 「ああ」 右わき腹の下に刺し傷があった。 スーツの下の白いワイシャツに血が大きく滲んでいて、固まって変色していた。 スーツの内側のタグは「A/X ARMANI」。 少し離れたフロアのタイルにも血のかたまりがあった。 「あそこで刺されてのたうち回って転がってきたのかな。白昼堂々とやったのか」 「開店間際だと」とコバ。 「混乱にはならなかったのか」 「たまたま噴水広場でイベントをやっていたんで、死角になったんでしょう」 「急所を一突きか。プロのしわざかな」ミツは呟くように言った。 「刺されたのは急所だけじゃないみたいですよ」 仏に布をかぶせるとコバは立ち上がって、「証拠品袋」を目の前にもち上げた。 「これ、なんだかわかります?」 大きめななまこの端にコルク抜きの様な柄が出ている。 「なんだそりゃ」 「聞いて驚かないで下さいよ。これは、アネロスといって、こいつを肛門から入れて、 肛門の括約筋を閉めたり緩めたりして、直腸の中で移動させて、 前立腺を刺激して感じるっていう道具ですよ」 「ドライオーガズムだ」とカトー。 「カトーちゃん、詳しいじゃない」とコバ。 「漫画で読んだんだよ」 「本当? やった事あるんじゃないの?」 「ある訳ないじゃん」 「こいつがガイシャの肛門の中に突っ込んであったんですよ」 コバは証拠品袋をぶらぶらさせた。 「こんなところで脱がせたのか」とミツさん。 ガイシャのズボンを見ると、ベルトが緩められていて、ハンケツが出ていた。 「いや、あまりにも盛り上がっていたので、下ろしてみたら、 これが出てきていたんですよ。 どんなに便秘しているやつでも絞首刑になると脱糞するっていうから、 刺されて死ぬ時に出てきたんじゃあないっすか…、ふふふ」 とコバは鼻で笑うと、ミツの方を見た。 「何を顔色変えているんですか?」とコバ。 「いやあ、ちょっと」とケツのあたりをおさえる。 「全くとんでもない変態ですよ、そう思いませんか?」 ミツさんも立ち上がると、腕組みをして、遺体を見下ろした。 (それにしても、ミノムシみたいに丸まっていて、チンケな遺体だ) とミツは思った。 (昔の遺体は「太陽にほえろ!」のショーケンや松田優作の様に迫力があった。 今の時代は色々なものから迫力が無くなっている気がする。 何で最近の遺体は安っぽくなっちゃったんだろう) 「ミツさん」とコバが言った。「ミツさん、何考え事しているんですか。ミツさん」
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