●連載 #1054の修正
★タイトルと名前
親文書
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
下に下りて行ってテラスに出ると、 真ん中へんでヒヨリが芋の芽をナイフでえぐっていて、 手すりの方ではミキが丸椅子に座って湖の方を見ていた。 とりあえずヒヨリのところに近寄って、タオルの上に転がっている芋を覗く。 「あら、芋の芽を取っているのね」 「は?」ヒヨリは顔を上げた。「なに、おねえ言葉使ってんの?」 「じゃが芋も3日目になると芽が出てきちゃうのね」 「つーか、これっきゃねーだろ」 何があったって、オメーは芋しか食えねえだろうが。 それにしても、日に日に黒くなっていくな。 スモーキーマウンテンのフィリピン人だな。 ときめきゼロだよ。 さっとミキの方を向いて、手すりの方に歩いて行くと、 手すりに寄りかかってミキを見下ろした。 丸椅子に腰掛けて湖を見ているんだが、 タンクトップだから、脇の下から広背筋の辺りがよく見える。 既に腋毛が伸びていた。 下はGパンを切ったホットパンツで、 弛緩した筋肉が丸椅子の上でカエルの腹の様に広がっていた。 あそこをぶちゅーっと吸って、 ぶちゅ、ぶちゅ、ぶちゅっとズレて行って奥のピーチ姫を吸いたい。 ちんぽがビクッと脈打って心臓も不整脈を打った。 ペニスと心臓は連動しているのか。 だったら、視覚から脳、心臓、ペニスと伝わっていくのか。 性欲はY遺伝子の仕業ではなくて脳がやっているのか。 いや、そうじゃなくて、溜まっているからこそミキが目に入るんだよ。 中二が竹やぶにエロ本を見付けるみたいに。 「なに見てんのぉ?」ミキが怪訝な表情を向けた。 「なんかオヤジっぽいよ。つーか、なんでGパンなんて履いてんの」 「他のは汚れたんだよ」 「様子が変」言うと、立ち上がった。「さてと。じゃあ、芋でも食うか」 そしてヒヨリも立ち上がって、キャンプ場の方へ移動していった。 「私も行くー」っと踵を返したのだが、 その瞬間、ガラスにオヤジの亡霊が写った、と思ったのだが、それは私だった。 Y遺伝子、というか、オヤジ遺伝子の権化と、 オヤジの視線に耐えていた女子が同居している。 キャンプ場のカマドで芋を茹でながら、ヒヨリ、ミキとで、体育座りで待っていた。 丸で、アリ・マッグローとグレース・ケリーだな。 アリ・マッグローってどこが綺麗なんだろうとふと思う。 「なに見てんの?」ヒヨリがじろりと睨む。 「見てねーよ」 こいつ邪魔だな。 芋が茹ると、ミキと一緒に、どぼどぼーっと湯を捨てた。 鍋を戻すと、底に転がった芋を、3人で棒でつついて取り出す。 ヒヨリは、塩を振って食べていた。 私とミキは砂糖をまぶして食べる。 「もう、最後の芋にしたいよねえ」と私は言った。 「そうだよね」とミキ。 「でも私とミキは、これが最後の芋になるんだよね」と言って、ヒヨリをチラ見。 黙って芋を食っている。 「ねえ、ミキ」私は言った。「あそこのイケスって、 網の底からロープが出ていて、それを引っ張ると、 魚が集まってきて、そこをモリで突くんだよね」 「うん。そうだね」 「それって、ボートの上から突くんだよね」 「そうだね。沖から突くんだね」 「だったら舟に3人も乗っていて突くなんてバランス悪いから、 ミキと二人で舟で行こう。ヒヨリは歩いていって」 「えっ」ヒヨリがぼそぼそ食いながら顔を上げた。 「ヒヨリはどうせ漁なんて出来ないんでしょう?」 ヒヨリは芋を持ったまま焚き火をじーっと見ていた。 「別にいいよ。でも、嫌に指図するじゃん。 ヨーコってこんなに積極的だったっけ」ヒヨリはミキを見た。 「さあ」とミキは首を傾げる。
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