●連載 #0809の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
カエデがひきこもりの引き金になった訳ではない。何か大きな一撃 がひきこもりの原因になるのではない。ちょっとした居心地の悪さ からおかしくなる。数日後、俺は自室のパソコンラックの前に座っ ていた。何か居心地が悪い。そこで一服する。俺は一人前のタバコ 吸いになっていた。それから5分ぐらいして更に一服。タバコがま ずくなると缶コーヒーを飲んで一服。タバコを旨くする為に何か食 べて一服。食欲が無くなるとガムを噛んで一服。歯を磨いて一服。 それから今度はyoutube。ユーザーの他の動画も再生する。 チャンネル登録者の動画も再生する。”友だち”の動画も再生する …という具合にネバーエンディングで再生していると、「こんな事 していたら期末試験に間に合わねえぞ。勉強しよう」と思う。でも その前にオナニー。オナニーが終わると又一服。このままじゃあ本 当に間に合わないぞ、と俺は思った。もう学校に行っている暇はな い。「試験範囲も分かっているし今更行ってもしょうがない。それ に夜じゃないと集中出来ない」と俺は宣言して、夜の8時頃から仮 眠した。夜中近くに、階段を上って来る足音で目が覚めた。あれは 母親の足音だ。頭だけ起こしてドアの方を見ると下の隙間から階段 の明かりが見えた。親父が行っちゃうまで寝ていよう。やがて親父 のバタン、バタンというスリッパの音がした。10分ぐらい時間を あけてから自室のドアを開ける。俺の部屋は中二階にあって、二階 の突き当たりが両親の寝室だ。もう電気は消えている。でもまだ起 きているかも知れない。廊下の左側にトイレがあって右側が妹の部 屋だ。全く物音がしないが起きているに違いない。妹は中学でいじ めに遭っているが誰にも言わない。俺は忍び足で台所まで行くと電 気をつけた。豚肉の生姜焼き。けんちん汁。豆ご飯。電子レンジが チーンと鳴る寸前に電源をOFFにする。食べ終わって自室に戻る と缶コーヒーを飲みながら又一服。 結局俺は一瞬一瞬に何か居心地の悪さを感じていて、そこから逃げ る為にタバコ、コーヒー、ネットにしがみついているのだろう。 ”故郷”に向かう列車を待つ人が柿ピーにビールを飲む様な感じだ。 でも”故郷”は絶対に実現しないからタバコなどにしがみつく。こ の”故郷”の代替品に関して全く妥協する積りはない。分かりやす いのがタバコの銘柄だ。俺はシブヤの真似をしてラークを吸ってい たが他の銘柄では駄目だった。缶コーヒーもキリンファイアに決まっ ていた。夜中に中二階のベランダから車庫に飛び降りて、ちゃりで 駅前のローソンに行く。店員は法政大の学生だろうか。時々コーヒー を暖めるケースにファイアが入っていない時があってがっかりした。 ちょっとでも味が違うと駄目なのだ。「レインマン」のダスティン・ ホフマンがKマートの下着じゃないと駄目なのと同じだ。 こういう感じで全く勉強をしない昼夜逆転した日々が続いて行った。 試験はどうなるのかと思ったが直前になって新型インフルエンザにか かってそのまま冬休みに突入した。
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