●連載 #0806の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
俺が受かったのは都立M高校という、レベルとしてはトップで卒業 しても早稲田の政経とか、たまに何かの間違いで東大に一人受かる とか、普通は中央2部とういう感じの高校だった。しかし俺にして みれば上出来で、本来俺が行かねばならないのは本当の底辺校で、 そういう所は立川とか千歳烏山から大量の不良が来るので俺は又又 酷い目に遭う筈だったのだ。それが避けられただけでも良かったと 思わないと。あと京八徒歩3分というのはいい。それ以外は何も期 待していなかった。宮台真司は女子高生の3分の1は援助交際して いる、とか言っていたが、クラスの女子を見回してもそんな気配は 全く無かった。ただ単に俺がぼけているだけかとも思ったが、6月 になってプールが始まって、男子が着替えの時にバスタオルを腰に 巻くのを見て、やっぱりそんなにやる訳ねえよ、と思った。クラス に2、3人、本当に綺麗な女子がいるのだけれども、そんなのだっ て、昼休みに焼きそばパンを食って、放課後に陸上部で校庭をぐる ぐる回ってすぐに真っ黒けに日焼けしまう。日に焼けようが焼けま いが俺には全く関係なかったのだが。 俺が夢中になったのはモー娘だった。最初に親しくなった友達も モーヲタだった。名前をタバタという。或る日の帰り道、タバタが 俺に言った。 「モー娘でやった事ある?」 「えっ」 「モー娘で抜いた事あるかッ」 「ない」。思いもよらない事だった。俺は辻加護はうんこをしない と思っていた。「お前は?」 「ない」とタバタが言った。 「なんでだろう」俺は呟くように言った。 「それは」とタバタが言った。「モー娘って10人ぐらいいるだろう。 10人ぐらいで踊っているとフォーメーションの様なものが見える けれども、形って点と点を結んだものだから質量をもたないだろう。 という事は肉体ももたないしうんこもまんこもしないんだよ。そう だよ。星座みたいなものだよ。ダイヤみたいなものだよ。ダイヤモ ンドが輝くのはダイヤモンドが輝いているんじゃなくてカットした ところで光が屈折しているんだよ。だから見えるのはダイヤじゃな くて光なんだよ。あとモー娘って入れ替わるだろう。それって伊勢 神宮みたいだと思わない? 伊勢神宮って20年に一回建て替える んだよ。材料は入れ替わるけれども形だけは残るんだよ。法隆寺は どんどん腐って行くんだけれども伊勢神宮は永遠なんだよ。わかる?」 その時には今一ピンと来なかった。 それから一週間ぐらい後、俺はまんきつのバイトの面接に行った。 モー娘のイベントに行く軍資金を稼ごうと思って。その時に面接に 出てきた女が痩せ過ぎていてローライズのGパンにキャミソールで 鼻がでかくて目もでかくて、ほうきに跨って飛んで行きそうな感じ の女で、あんなに痩せていてもキャミソールなんて着たいんだなあ、 と思ったのだけれども、家に帰って、そのまんきつのホームページ を見たら、みんなでBBQをやっている集合写真が載っていて、そ れを見た瞬間に、俺には絶対に参加出来ないと思えた。 これが星座かッ! 一人だったら単なる瘠せ過ぎの女なのに集団になると何かが作用し てこっちを疎外してくる。それは何なのかというと、歯医者と床屋 がつながるように辻、加護がつながると何か清潔オーラ、秩序オーラ が出てくる。一方こっちは生身の人間だからうんこもすれば屁もひ るし多少の体臭もするかも知れないという醜形恐怖症のような…そ ういう感じが積み重なってひきこもりに至るのではないか。
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