●連載 #0752の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
朝、目を覚ましたらホテルのベッドに寝ていた。窓のよろい戸から陽の光が射 してきている。円山町かあ。枕元のスイッチで照明を付ける。隣で男が寝てい た。爆笑問題田中みたいな奴。こいつが添い寝を要求して来たんだ。添い寝込 みで2万5千円とか細かい事言っていたなあ。ベッドから抜け出すとトイレに 行って戻ってきてテレビを付ける。天気予報でお台場が映っていた。あそこら へんはよくヒデオと遊びに行ったなあ。お天気キャスターが屋外の中継で寒い 寒いを連発している。襟ファーのコートを着ている。あれは勿論フェイクファ ーだろうな。爆笑問題が目を覚ます。そそくさとトイレに行って戻ってくると 「もう一回いいんだよねえ」と言った。「そういう契約だものね」と言ってす り寄ってくる。「ねえ、触って、触って」と言うと私の手を股間にもっていく。 棒はふにゃふにゃだった。玉ごと掴んでもんでやると大きくなった。 「たった、たった」と言うと両膝立ちになって固さでも確認するように自分で ぶらぶらさせる。「唾つけていい?」と言うと私の性器に唾をつけて挿入して くる。それから「はぁ」とか「うぅ」とか自分で盛り上げてピストン運動して いるのだけれども全然行かない。こんなのやって楽しいのだろうか。こんなの 女性性器を使ってのオナニーじゃん。結局行かないで手こきで抜いてくれとか 言われて、手でしごいてもなかなか行かない。その内右手が疲れてきて左手で しごいて、左手もしびれてきた頃にやっとじゅわーっと滲む程度の弱弱しい射 精をした。 「なんでそんなに抜きたいの?」思わず私は聞いた。 「だって月に一回しかやれないんだもの」 電気、ガス、水道、家賃、食費、携帯、プロバイダ等々を計算すると月に1回 しか遊べないんだって。 オーガニックの石鹸でシャワーを浴びた。 ホテルを出ると「夜明けのコーヒー飲みたいんだけど」と男が言ってきた。 「えー」もう金はもらっているんで断ってもいいのだが。「サイゼリアだった ら行ってもいいけど」 「サイゼリア? ここらへんにあるの?」 「あるよ。東急ハンズの前に」 「遠いよ。あそこにロイホがある」 「ロイホかあ」ロイホだったらまあいいや。 窓際の席に座るとメニューを広げる。 「私、ドリンクバーだけでいい」 「なんか食べないの」 「私、ちょーベジタリアンなんだよ」 「だったら、マンゴーとか食べればいいのに」 菊池桃子の事は言わない。「いいよドリンクで。お兄さんなに頼むの? 肉と か頼まないでよ」 「なんで俺まで」 「肉の焼けるにおいがきもいんだよ。フォルクスやビッグボーイは行かないん だから」 「嫌煙権みたいだなあ。ところでここって俺のおごりだよね」 「はぁ? いいよ、別に。自分で払うから、ドリンクバーぐらい」 「いいよ、いいよ。俺が払うよ。俺が払うべきものは俺が払うんだけれども、 ただぼったくられるのは嫌だなーと」 「はぁ? なにそれ。もう帰ろうかなあ」 「違う、違う、そうじゃないんだよ。そういう世の中になっちゃったんだよ」 「どういう世の中よ」 「価格コムみたいな」 男によれば援助交際の価格コムみたいなサイトがあって、そこでは、生尺、ゴ ムフェラ、ディープキス、アナルなめとかはオプションサービスになっていて、 添い寝とか夜明けのコーヒーもオプション扱いで、そういうのを要求すると幾 ら高くなったとか、それでちゃんとサービスが受けられたかとかみんながレビュ ーを書くんだって。 「お兄さんも書くの?」 「俺は書かないけど。まあ世知辛い世の中だよね。まあ俺には合っているけど ね。俺は世渡りが下手なんでみんな決まっていた方がいいんだよ。フーゾクの 値段でも時給でも」男はボイルドエッグトーストをオーダーした。水をごくり と飲む。「俺、派遣社員なんだよねえ、OAオペレータみたいのやってんの。 俺、みんなの勤務時間の集計をしてんだけど、みんなが残業手当をちょろまか そうって言うんだよねえ。俺、そういうの出来ないんだよね。それでみんなに 嫌われてんだけれど」 「なぁんで?」 「さぁー。俺、昔っからそうなんだよねえ。ズル出来ない性格というか。高校 の時にカンニングが出来なかったんだよね。英語の小テストで、教科書の短文 を暗記して書き写すっていうのがあって、そんなの書き写した瞬間に忘れちゃ うんだから机のすみにでも書いておいてカンニングすればいいんだけれども出 来ないんだよねえ。そんで周りの奴らにもカンニングさせないでいた」 「なァんで?」 「さぁ。なんでだろう。お天道様が見ているとでも思っていたんじゃないの? 仕事だって、俺なんで真面目に働いているんだか分からないもの。社長の名 前、知らなかったものねえ。この前初めてネットで見たけど。オリグチってい うの。こいつかあ、俺の給料ピンはねをしていたのは。そんなのみんな知らな いよ。ラインの奴らも知らないよ。みんなただお天道様が見ていると思って真 面目に働いているんじゃないの? その上にグッドウィルがのっかってきてん じゃないの」ボイルドエッグトーストが運ばれてきて、男は伝票を見ながらトー ストを頬張った。 ふーん、面白いなあ、と思った。ふーん。無意味に勤勉な人っているよな。カ ルタ日本一とか。けん玉日本一、ルービックキューブ日本一、太鼓の達人とか。 円周率10万桁暗記。ドミノ倒し世界一。こういう勤勉さがやたらと牛を育て て殺すのかも知れない。
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