●連載 #0697の修正
★タイトルと名前
親文書
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
或る日の事だった。 キッチンの流しを見たら大量のふやけた黒豆が捨ててあった。 「お母さん、なにこれ」 「それ、おじいちゃんが飲むのよ。水につけておいて。高血圧にいいんだって」 「もったいないじゃない」私はふやけて死んでしまった黒豆を見た。「これ一粒 あれば根を張って大きく育つのに」 私は居間であぐらをかいているおじいさんの背中を睨んだ。 じじいー。命にしがみつきやがって。あいつが死にゃあいいんだ。 「私食べる」と私は言った。「一粒残らず私が食べる。それ食べ終わるまで 他のもの食べないから」 しかし黒豆を食べきらない内におじいちゃんが骨折して入院してしまった。 私のせいだ、と思った。 私が肉を食べさせないから骨粗しょう症が悪化したんだ。 もうこれ以上迷惑かけられないなぁ。 もう出て行くしかしょうがないよなぁ。 十月十五日の午前五時。寝巻きの中に入れておいた携帯のバイブが震えた。 私はベッドから出るとナップに下着や、通帳、キャッシュカード、 ティッシュや化粧品、それから植物性のアミノタブレットなどを詰める。 GパンにGジャンにキャップといういでたちで姿見を見た。 ダメだこりゃ。これじゃあ「プリズンブレイク」だ。駅に着く前に補導されちゃう。 持っている中で一番大人っぽいニットのカーディガンにバギーパンツに着替える。 カバンもショルダーバックにした。 それからベッドに座るとメールを打った。 「お父さん、お母さん ごめんなさい おじいちゃんの件は私の責任です しばらく家を出ます さがさないで下さい 必ずメールしますからさがさないで下さい 本当に色々すみません」 送信を押すと電源を切った。 玄関に行って鍵をそっと開ける。 マンションの外に出ると駅まで走って行った。 つづく。
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