●連載 #0106の修正
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馬頭琴の調べ 馬頭琴の演奏を聴きに行ってきた。 以下は、点訳グループ『くすのき会』が作成・郵送してくれた案内文である。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− スペシャル コンサート 馬頭琴の調べ = モンゴルの風に乗せて 主催: 名古屋市 守山区 生涯学習センター 日時: 12月6日(金) 午後1時30分〜3時30分 場所: 守山文化小劇場 プログラム 第1部 草原の太陽(馬頭琴) 赤トンボ(馬頭琴) 白鳥(馬頭琴) お母さんの歌(馬頭琴) 蘇州夜曲(二胡) 競馬(二胡) モンゴルの風景&トーク * 休憩 第2部 チャールダッシュ(二胡) 紅葉(二胡) イエーライシャン(二胡) 草原小曲(馬頭琴) 万馬のとどろき(馬頭琴) 『馬頭琴』 中国の北の方、モンゴルには、広い草原が広がり、そこに住む人たちは、昔から、羊 や馬などを飼っていました。 そのモンゴルには、馬頭琴という楽器があります。楽器の一番上が馬の頭の形をして いるので、馬頭琴といいます。けれど、どうしてこういう楽器が出来たのでしょう。そ れにはこんな話があるのです。 貧しいけれど働き者の羊飼いの少年スーホは、白い子馬を拾って大切に育てていまし た。しかし成長した白馬が競馬で一等を取ると、殿様に銀貨3枚と引き替えに取り上げ られてしまいました。殿様が客人に白馬を見せびらかそうとしたとき、白馬は殿様を振 り落とし、駆け出しました。殿様の命令で弓が射かけられ、白馬の背には次々に矢が刺 さりました。瀕死の白馬はそれでも走り続け、スーホの元へ帰ってきました。 しかし白馬はスーホの介抱も空しく、翌日死んでしまいました。悲しみに暮れるスー ホの夢に白馬が現れ、「わたしの骨や皮や筋や毛を使って楽器を作ってください。そう すれば、わたしはいつまでも貴方のそばに居られます。貴方を慰めてあげられます。」 と言いました。スーホは夢から覚めると楽器を作りました。それが馬頭琴です。 やがてスーホの作り出した馬頭琴は、広いモンゴルの草原中に広まりました。そして 羊飼いたちは夕方になると、寄り集まってその美しい音に耳を澄まし、1日の疲れを忘 れるのでした。 モンゴルの民話 「スーホの白い馬」 福音館書店より 奏者 ツァンツォーシャン 氏 1981年 中国内モンゴル芸術学校卒業後、中国・モンゴル・ロシア各地で演奏活 動。 1996年 内モンゴル民族楽器オルティンドオ擦弦楽器部門第1位をはじめ、各地 域音楽コンクールにて第1位を数多く受賞する。内モンゴル歌舞団 二胡演奏家としても 活躍中。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− くすのき会の方で「障害者優先席」を準備してくれているというので、前もって電話 で会長のTさんに申し込んでおいた。 早めに会場に着くと、既にA、Bらの視覚障害者が来ていて、程なくC、D、E氏ら も現れた。 最初ボランティアルームで顔合わせをした後、ホール脇の控え室に移動してお茶をい ただき、ホールでは前列の席に座って演奏を聴き、終了後、建物一階の喫茶店に入って コーヒーを飲みながら交流を深めた。 今回私は終始FO子さんの隣の席に腰掛け、かつての思い出話や二人の息子さん(S 男君とK男君)の近況などについて聞いた。Fさん一家は北区中町の市営住宅に住んで いて、S男君は自営業の治療院へ毎日バスで出勤し、若いときの修行が実って結構繁盛 しているとのこと、K男君は四十代半ばにして脳梗塞で倒れ、治療院を廃業して中町の 住宅に戻り、5人の子供(O子さんの孫)と離れて、リハビリをしながら、現在は東区 へ手伝い仕事に行っているとのことである。 思い出話というのは、昭和28〜33年当時、私とFO子さんがG鍼院で一緒に働い ていた頃の話題が主で、私に対する彼女の印象がさほど悪くないらしくて安心した。 それにしても、FO子さんがめっきり老け込んでしまったのには驚く。彼女に出会う のはHさんの葬式以来10年ぶりのことだが、当時まだ若き日野O子さんの面影が残っ ていたのに、80歳近くなった今ではすっかり覇気がなくなり、時折低い声でつぶやく ように独り言を言う。とりわけわびしく感じたのは、二胡の演奏中、O子さんが知って いるメロディーを、低音のガラガラ声で一緒に歌っている様子である。さほど大きな声 ではないが、音程は外れているしリズムも合っていない。おそらくO子さん自身、自分 が歌っていることに気づいておらず、きっと二胡の旋律にO子さんの心が直接共鳴して いるのであろう。私は彼女を哀れに思うというよりも、自分自身の先行きを見る感じ で、空しいような感慨を覚えた、 さて、本論に進む。 全体司会と進行を担当したのは守山区生涯学習センター主任の女性職員で、彼女は数 カ月前、ボランティアルームに集まっている私たちの所へ来て、催し物に関する参考意 見を聴取していった。が、そのことよりも実は、私の娘のP子が港区の生涯学習セン ターに勤務しているので、つい二人の仕事ぶりを心の内で比較・想像してしまうのだっ た。「P子は主任ではないが、もし同じ立場だったら、もっと上手に運営したかも知れ ない。それとも、こんなに手際よく進行させることは出来なかっただろうか?」 演奏に先立ち、館長の男性が挨拶したが、もつれがちな言葉で形式的に話をしただけ という感じがする。 それに引き替え、演奏プログラムの司会を受け持った松尾某という音楽研究家は、声 や話し方が自然で聴きやすく、演奏者とのタイミングの取り方や雰囲気作りも巧みだっ た。 馬頭琴の音色は古楽器のビオラダガンバに似ていて有限、二胡の音色はビオラダモー レに似ていて繊細である。一緒に聴きに行った妻に言わせると「馬頭琴は腹に響き、二 胡は胸にしみ入る感じ」、FO子さんのつぶやきによれば「二胡は人の鳴き声みたい」 である。 松尾氏の質問や補足説明を受けながら、ツァンツォーシャンが語る不慣れな日本語に もなかなかの味わいがあり、楽器の特徴を次のように解説してくれた。 「馬頭琴の弦の数は、遠くから見ると2本のように見えますが、実際には百数十本の細 い弦が束になって作られています。チェロと同じく膝の間に立てて演奏し、指板に向か って弦を押さえるのでなく横方向に押さえるのが難しい技法です。二胡の弓は2本の弦 の間に挟まれていて、弓の弦の裏側と表側でそれぞれの弦をこすります。演奏法の一番 の特徴はビブラートではないでしょうか。バイオリンのビブラートは1種類ですが、二 胡や馬頭琴では、このように………、色々なピブラートを使い分けて演奏します。」 以下、主な曲目について、司会者の説明及び演奏者の技巧を、私の言葉で記してお く。 草原の太陽: 「日本ではビルや山に遮られて朝日や夕日を短時間しか見られません が、モンゴルは見渡す限りの草原、360度地平線という感じなので、太陽は正に荘厳 です。」 低音弦に乗せた4度と5度の和音をベースにして、トレモロや細かいフレー ズが情熱的に奏される。 白鳥: 「雨が降るとモンゴルの草原は湖のようになります。私が初めて内モンゴルを 訪れたとき、『あの湖の名前は何』と訊いたら、単に『水たまり』と言われてしまいま した。日本の沼よりも大きな水たまりなんです。その水たまりに鳥達が無数に群れ集ま り、樹木が無いため、鳥は平地から平地へ飛び移ります。」 日本の陽音階に似てい て、中国音楽特有のポルタメント奏法が随所に見られる。 お母さん: 「この曲を最初に聴いたときには思わず涙が出ました。」 ハーモニック スを織りまぜてせつせつと歌い上げる。 競馬: 「モンゴルの音楽は、哀愁を込めた優雅な表現と、高度な技法を駆使したス ピード感溢れる演奏、どちらも聴き応えがありますが、この曲は後者の代表ですね!」 馬のいななきや足音を擬音風に織りまぜて、激しくめまぐるしく奏する。 モンゴルの風景とトーク: 現地で撮ったビデオを上映しながら、風土や日常生活や行 事について二人で解説してくれた。 ホーミー?(ホーニー?): 「今日は会場の皆様方に、馬頭琴と二胡と両方の音楽を 満喫していただいていますが、さらに三つ目のサービスを企画いたしました。ツァンツ ォーシャンさんはホーミーもお得意なのです。これは、一人で同時に2種類の声を出す 発声法で、テレビでご覧になった方もいらっしゃるでしょうか? それを今回特別出演 で披露してもらいます。」 まず馬頭琴の2本の弦を5度の和音にチューニングする。 その馬頭琴に乗せて、やがてマイクロフォンに向かうツァンツォーシャンの喉から、い とも不可思議な声が聞こえ始めた。会話のときのツァンツォーシャンの声は十代の若者 のように軽くて優しい声なのに、ホーミーの発声は濁った重厚な音質で、原始人の民謡 のような、呪術師の祈祷のような、アイヌの口琴のような…、私の知っている音で最も 近いのは、オーストラリアの民族楽器ディヂュリドゥーの音色である。豪快な低音も、 耳に突き刺さるような高音も、人間の声とは思えない奇妙な倍音を含み、凄いというよ りは「空恐ろしい」という感じさえする。珍しい発声法を聴かせてもらって感動した。 (休憩時間に、アンケート用紙の記入を済ませた。) チャールダッシュ: 「有名なバイオリンの独奏曲ですが、2本弦の二胡で演奏するに は高度のてくにっくを要します。」 わずかに音程のずれる所もあったが、そんなのは 問題でない。 万馬のとどろき: モンゴルでは競馬が盛んに行われ、9歳から12歳くらいの子ども 達が往復60キロ以上の競争に挑みます。その多数の馬が疾駆しながら押し寄せてくる 様子を表した曲です。」 第1部の『競馬』を重ね合わせ掛け合いにしたような曲で、 まさしく「万馬のとどろき」である。一つの楽器で演奏しているとはとても思えない名 園だった。 アンコール曲: 「荒城の月を演奏します。」 日本の曲もなかなか巧い。FO子さん は、蘇州夜曲と紅葉と荒城の月の演奏に合わせ、気分良さそうにハモっていた。 [2002年(平成14年)12月6日 竹木 貝石]
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