●短編 #0528の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
――てな訳でちょうど一ヶ月前の放送で募集を掛けました『最強のオリジナル混ぜご 飯決定戦』のお題に対し、リスナーの皆々様から送られてきたのは何と総数4000と んで1。とびすぎやねん!というか端数1って!等という突っ込みはさておき、ネット 時代にわざわざ葉書で、4001もの料理を書いて送ってくださり、感謝感激雨霰! ありがとうございまっす。 募集を掛けたときに説明したので繰り返しになるけれども、ビギナー各位のためにも う一度言うよ。大事なことなので。 送ってくれた4001のメニューすべてに目を通し、僕を含めた我がRANGSスタ ッフの独断と偏見、あと面白いのがあればそいつも入れて七通、ていうか七つの混ぜご 飯を選出。今回順不同で発表するから、リスナーのみんなはどれが一番美味しそうに聞 こえたか、一番食べたいと思ったかを投票してくださいまし。締め切りは二週間後の三 月十四日消印有効。そう、投票も葉書でのみ受け付けるから、間違えないように。 それでは早速、選りすぐりの七品を紹介、と行きたいところなんだが、最初にちょっ とだけ苦言を。まあこれは僕の言い方のせいでもあるから、反省しきりなんだけれど も、とりあえず自分のことは棚上げするから、お許しを。募集のときに、僕が「単純に 混ぜご飯、五目ご飯の類に限ると狭い気がする。だから、もっと幅広い意味で捉えてく れてもいいことにしようか」と、こんなこと言った。ここで止めておけばよかったのか もと、後悔してるんだよね。このあと僕はこう付け足してしまった。 「たとえば、天丼とカツ丼のカップリングとか、ケチャップライスのお茶漬けとか」 で、集まったメニューの半分近くが、この手の合わせ技で占められていて、少なから ずびっくり。しかも、ケチャップライスのお茶漬けを受け狙いと解釈したんだろうな、 大喜利的なのが結構あって、それはいいとしてもまずそうなのには参ったな。送られて きた中から二つだけ、よくない例を挙げておく。あ、飽くまでも今回のお題には不適だ ったってことであり、けなしてるんじゃないのよ。僕の言い方も悪かったと自戒を込め てだから。 えっと、どちらもこじらせた感じがしてね、捻ろうという精神は好きなんだけどね。 一つ目は『米粉パンでビーフンを挟んだサンドイッチ』。確かに米を原料とした食材の 組み合わせだけれど、混ぜご飯とは呼べないよ、さすがに。二つ目、『スライスチーズ ライス』。一見、どこが混ぜご飯なんだ?となるでしょ。ライスが二つ含まれているか ら混ぜご飯、という趣旨だよね。言葉遊びは他のコーナーがあるから、そちらでお願い します。ああ、二人ともラジオネームは伏せますので、あしからず。 そうそう、選出した七傑についても、ラジオネームは現時点では明かさないことにす る。ないと思いたいけど、投稿者の人気で順位が決まったらつまらないでしょ。だから 名前を明かすのは、三週間後の結果発表のときになる予定。 さあ、やっと発表だ。重ねて言うと、読み上げる順番は善し悪しとは無関係だから。 到着した順になってる。ネタが被ったときは最初に来た葉書を有効にするって言っちゃ ったから、手間を掛けて可能な限り分けたんだ。あと、発表は料理名、料理の簡単な説 明を続けてしゃべるからよく聞くように。 では一つ目。実はまったく同じあるいは類似のネタがいくつか来たんだけど、美味し そうだから外せなかった。『鶏一族の集会:親子丼とチキンカツカレーのハーフ&ハー フ』。鶏肉で揃えようという心配りを買った。なお、『カツ丼とカツカレー』という組 み合わせも多数集まったが、チキンの方が早かったので、ポークは落選とさせてもらい ました。 二つ目。一転して、普通の混ぜご飯寄りのメニューだ。『キノコのタマ:味付け濃い めのきのこの炊き込みご飯にそぼろを混ぜ、さらに温泉玉子一つを落とす』。個人的に はどんぶりのイメージが浮かんだけど、うまそう。 三つ目。次は料理名だけ先に言うよ。ちょっと説明がいると思うんで。米米と書いて マイマイと読ませる、『米米倶楽部』。倶楽部は漢字表記だ。で、肝心の内容だが『コ シヒカリとササニシキを混ぜて炊く』これだけ。実際にやってみたら、どうなるんだ ろ? お米の持ち味や特徴がぶつかって、足を引っ張り合う可能性なきにしもあらずか な。お金と時間のある人は試してみて。とりあえず、くすっと来たので選出。 四つ目も名前の説明から。こじらせ系に分類できるんだけれども、ぎり、美味しそう でもあったので。牛に結ぶと書いてもーむす。『牛結:牛肉のサイコロステーキとミニ サイズのおむすびを混ぜる』。ネーミングのネタありきなのは間違いないんだけど、一 回は試してみたい気がしないでもなしってことで。ソースに関する言及がないんだけ ど、まあかけなきゃ食べられないだろうな。 五つ目。『猫のまんま:削り節、錦糸玉子、海苔などで白ご飯の上に猫を描く。ぐち ゃぐちゃに混ぜて食す』。料理の内容がだいぶこちらに投げっぱなしなんだけど、名称 は悪くないし、添えられたイラストがよかった。曖昧に言うけど、お椀に入れた白ご飯 の上に描かれているのが単なる猫じゃなくて、猫系の有名人気キャラクター二つの顔。 キャラ弁との違いは?と問い詰めたいところではあるけれども、小さな子供受けは間違 いなし。実際に作るとなったら、赤は紅ショウガとして、青は食紅だと芸がないから、 ソーダ味のアイスバーか? えー、次で六つ目? 『狐と狸の化かし合い:刻んだ油揚げと揚げ玉をふんだんに使 って混ぜる。めんつゆのお出汁で味変も』。これも似たアイディアは多かったんです が、出汁茶漬けによる味変がポイント。きつねうどんやたぬきそばからの連想なんだろ うけど、出汁茶漬けまで思い至る人は意外と少なかった。 ラスト、七つ目ー。料理名だけ先に言うと『らいす・ぼうる』、全部平仮名ね。これ はある意味、ご飯物の究極かなあ。個人的には美味しそうとは思わないかもなんだけ ど、それでも感心したっていうか。と、内容を言わずに勿体ぶったのは、長くなるから でして。では改めて発表をば。『らいす・ぼうる:――」 * * <――では改めて発表をば。『らいす・ぼうる:――> 「ん?」 不意に音が途切れて、そのままラジオが沈黙を続ける。 リスナーの一人、米田《よねだ》は左手前の筺体を指先でとんとん叩いてみたが、無 音のままである。つまみを少し捻って調整を試みるも、効果はなし。かえって雑音が入 り、大きくなった。 ちぇ。 米田は舌打ちして、独り言を口にする。 「古いやつだから、もうだめかもうだめかと思いつつ使ってきたけれども、何も選りに 選って、こんなタイミングかよ〜。電波の具合、この辺で悪くなるなんてこと、これま でになかったもんな」 ハンドルに手を添えたまま、フロントガラス越しに少々空を窺う。山の稜線に這わせ る心地で目線を動かしてみたが、飛行機などが飛んでいて受信の邪魔になっている、な んてことはなさそうだ。あきらめ気分で視線を戻し、独り言に舞い戻る。 「ったく、全候補を聞いた上でないと、投票しにくいんですけど。ホームページに候補 メニューの内容、全部載せてくれればいいんだが、この番組、妙に時代に逆行すること やりたがるしなあ。メールで応募できないとか。ま、そこがいい、気に入ってる連中も 多い訳で」 それからもぶつぶつと愚痴をこぼしていた米田だったが、ふとした瞬間に、ラジオが 音を出し始めたので、びっくりした。 「あれ? 調子が悪かっただけか。それか、今日に限って妨害電波的な何かが……」 口をつぐんだのは、ラジオの伝える内容がまだ先ほどのコーナーだと気付いたから。 耳をすませた。 <――とまあ、こんな風に八十八の具を用い、八十八の手間を掛けた混ぜご飯なんだ な。ひょっとしたら知らない人もいるかもしれないので敢えて注釈しておくと、八十八 手という表現にエロい意味はない。米が取れるようになるまで、八十八の手間が掛かる って話だから間違えないように。 さあ、やっと候補が出揃った。改めて投票について説明をすると> 何だ、これでは何も分からないじゃないか。米田は肩を上下させて嘆息した。 「八十八の手間を掛けた八十八種類の具の入った五目ご飯て、どんなんだよ? 八十八 目ご飯じゃないの? 八十八も具は思い付かない……」 想像だけが膨らみ、やたらと豪華な混ぜご飯が脳裏のスクリーンに映し出される。 「ああ、もうっ」 もう少し行けばサービスエリアがある。そこに入って駐車したら、すぐにネット検索 して調べよう。きっとどこかで、誰かが書き込んでいるはずだよね。 おし米《まい》
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