●短編 #0513の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
※本作は過去に、某小説投稿サイトの超短期間お題付きミニコンテストに(別名義・別 タイトルで)出した一編です。時間が足りず、無理矢理捻り出した&下ネタで、ほぼ読 まれぬまま沈みました。(^^; そのつもりでご笑覧してもらえると幸いです。 〜 〜 〜 え? おうち時間、どう過ごしているかって? まあ充実していると思うな、自分的には。 “おうち時間”て初めて耳にしたときは、何だそれはと思ったけどさ。何でか知らな いが、おままごとを連想しちゃったんだよな。いい歳した大人同士の会話で、“おうち ”なんて言い回しはなかなか出て来ないからかな。せいぜい、迷子の小さな子供に「お うちはどこ?」って聞くときぐらいしか、使いどころがないようなイメージだったし。 でもさ、今は慣れた。慣れただけでなく、まあ悪くない表現だなって。英語よりかは いい言い方だと思えたのが大きいんだろうな。 うん? おうち時間に対応する英語って何だ、だって? 対応するかどうか知らない が、似たような場面で使う言葉があるじゃないか、えっと何だっけな。ホーム……ホー ムステイ? あ? そうか。ホームステイだと留学先で一般の家に住まわせてもらうことになって しまうな。 そうそう、ステイホームだ。あれってストレートに解釈したら、「家にいなさい!」 になるだろ。命令形。命令されるのって、やっぱり嫌な感じがするじゃないか。 そこへ来ると、おうち時間は何となく、柔らかいイメージがあるだろ。基本的に、“ おうち”が子供向けの言葉っていうのが大きいんだろうけど。 そりゃそうだろう。「おうち時間」が「家庭時間」だったら堅苦しさが出て来て、印 象が違ってくる。「家時間」でもまだ堅い。「うち時間」でやっと柔らかさが出て来る けれども、このままだとどこかの方言みたいに聞こえなくもない。やっぱり、「おうち 時間」がぴったり来るんだよな。 ああ、話が脱線してしまった。 おうち時間をどう過ごしているのか、だったな。 まあ、いくつかあるんだが、一番は女房の新たな魅力を発見できたことになるな。 のろけてるんじゃあないぞ。いやまあ、のろけも入っているが、それが全てじゃな い。本当の意味で、女房の新たな魅力を見付けることができて、それがおうち時間の充 実につながっている。 お、差し支えがなければ詳しく聞きたい、と来たか。どうしようかな。この店はちょ っと騒がしさが足りないな。誰も気にしちゃいないとは思うんだが、近くのテーブルの 連中に否応なしに聞かれているような気がしないでもない。 人に聞かれちゃまずいこと? ああ、そうだよ。 ん? 性的な意味で、ってか? うーん、その要素もある。だいたいおまえに話そう としているのだって、おまえが同好の士だと知っているからこそ、打ち明ける気になっ てるんだ。 ……その顔は想像が付いたようだな。当たり前か。 答合わせをするために、カラオケボックスにでも移るとするか。 さて、ここなら心置きなく話せる。折角だから唄っていくんだろ。じゃあ、さっさと 話を済ませるとしよう。 知っての通り、僕の女房は米国人だ。だから結婚を決める前に、より深く相手につい て知ろうとした。女房の方も同じだったろう。だけど、それでもお互いに知らない部分 や隠している部分はあるもんだ。文化的な違いも原因かもしれない。 それが、今度のホームステイ推奨、おうち時間がきっかけになって、僕は彼女の秘め ていた一面を知った訳よ。 彼女は以前までは、僕が会社に行っている間は、家で一人で過ごしていた。外国人で 日本語もまだまだ、友人を作るのに一苦労しているからな。家で趣味をこなす方が心身 共に楽なんだろう。平日の昼間は、趣味に没頭するのが習慣化していたんだな。 僕が家にいるようになってからは、しばらくは意識してやめていたらしい。だがこん なに長引くと、我慢するのにも限界が来る。僕が在宅中でも、女房は彼女の自身の部屋 に籠もって、趣味を楽しむようになっていた。 で、だ。もう何ヶ月も前になるが、ちょっと大きめの地震があったろ。結構揺れた し、何か物が落ちる音もしたから、仕事の手を止めて、彼女の部屋に様子を見に行った んだ。 ところが声を掛けても返事がない。ドアを開けようとしてもノブが回らない。鍵を掛 けてるなんて珍しい。 が、それよりも、僕は中で彼女が落ちてきた何かが頭に当たって、失神してるんじゃ ないかと心配になった。家の各部屋の合鍵は仏壇脇に仕舞ってあるんだけど、いきなり 取りに行かず、何度か呼び掛けてからにしようと思った。ノックし、女房の名を呼んで は耳をドアに当てる。これを二度、繰り返すと、室内から妙な音がするのに気が付い た。 痛がっている声がするんだ。何回も聞こえる。普段、なるべく日本語を話すように努め ている女房がその余裕すらなくなってるんだから、相当だと思った。僕はもう迷うこと なく、鍵を取りに行ったね。 取ってきて、最後にもう一度呼び掛けても応答なし。僕は合鍵を使って部屋のドアを 開けた。 女房は無事だった。 それどころか凄く集中しパソコンの画面に見入っていた。耳にはヘッドホンを当てて るんだが、音が丸聞こえでさ。どういうことかと不思議だったが、恐らく地震の衝撃で ジャックが抜けたんだろうな。女房はそのことに気付かないまま、画面に意識を集中し ていた。 さて、同好の士である君にはとっくに想像ができているに違いないが、女房の見てい た動画は、SM系のアダルト物だった。痛がっている声が繰り返しするはずだよ。“O uChi,ouchi”ってな。 僕が後ろで見ていることに気が付いた彼女は、当初、とても動揺して真っ赤になって 恥ずかしがっていたんだが、僕も興味あるんだ的な説明を丁寧にしてあげたら、安心し たようだった。 以来、僕らは暇な時間帯を共通の趣味に当てるようになった。二人で仲よく、肩を並 べて動画を見ているよ。実践の方は、ほんとに同じ趣味、同じ嗜好であるため、別個の パートナーを見付けなくてはならない。なのでまあ当分無理だろうな。 ともかく、これがほんとの、Ouchi時間。 ――お粗末様
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