●短編 #0349の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
昔の大人は例えば小学生あたりでフォン・カラヤンのクラシックを聴かされて、 「カラヤンの様に指揮したい」と夢想して割り箸を振っていたそうですね。 これが欲望の始まりである。欲望とは自己を別様に望む事である。 カラヤンになりたい。「なりきり」の始まりである。 やがて彼の「なりきり」の対象はビートルズになり ツェッペリンになりミュージックライフを読み ロッキンFを読みグレコのエレキギターを買って どんどん「なりきり」を極めていく事で消費に貢献するのである。 そしてついにディープパープルが登場する。 これはほとんどコピーされる為にでっちあげられたバンドである。 「ハイウェイスター」や「スモーク・オン・ザ・ウォーター」をコピーするために どれだけ楽器が売れたか。 その非常に極まった状態がチャットモンチーと言っても過言ではない。 下手であればあるほど「私でも演奏できるかも知れない」と「なりきり」欲望する。 そして楽器を買う。 CDを売るよりも楽器を売った方が儲かるのである。 100万人の読者を作るよりも10万人の作者を作った方が儲かるのである。 だから「恋空」でよかったのだ。下手でよかったのだ。 こんなに多くの作者がこうやって私の様に書いているではないか。 昔は自己実現が難しかった。カラヤンを聴いて猛烈に 「カラヤンになりたい」と欲望しても絶対に不可能だった。 今は1週間でチャットモンチーになれる。(楽器を買う金があれば)。 10分で「恋空」を書き出せるのである。 これこそ現代の自己実現のありようである。 これを物語消費(大塚)、データベース消費(東)に対抗して 「なりきり」消費とと名付けたい。 ところでカラヤンは自己実現できたのであろうか。 あにはからんやカラヤンは「カラヤン」になったのである。 カラヤンはカラヤンを演じているだけです。 カラヤンの指揮する様子を見れば分かる。酔ってますなあ。自己陶酔。 資本主義においては如何なる自己実現も不可能なんですね。
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