●短編 #0088の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「うどんにするの?」 お品書きを見ながらつぶやく私の声が聞こえたのか、母が不思議そうに聞 き返した。 「う〜ん、まだ決めていない。お母さんは丼?」 ごまかすように質問にかえる。 母は麺類が苦手のようだ。うどん屋に入ってもうどんを食べているのを見 たことがない。 「親子丼ね」 にっこり笑う母は大人しい、地味だと人から言われる私と比べるとおしゃ れで、若々しく見える。 「私は何にしようかなぁ」 何事もなかったように視線を落とす私は内心ドキドキしていた。 私は今まで家族でうどん屋に入ったときはたいていそばを注文していた。 「カレーそば」にも挑戦してしまったほどだ。視覚的に変な感じがしたため、 それをもう一度頼む気はないけれど。 私がうどんを食べようとしたのは付き合い始めたばかりの彼の影響かもし れない。デートのときもおしゃれなお店というよりはうどん、ラーメンなど を手軽に食べていることが多い。 何度目かのデートのときに「うどんがおいしい店」に連れて行ってもらっ て以来、なんとなく注文するのはうどんになってしまった。 彼と同じ物を好きでありたいと言う気持ちがそこにはあった。 同じものを頼めば、同時に持ってきてくれる。食べるのが遅いため、少し でも待たせないようにと気をつかったというのも理由のひとつかもしれない。 いつか彼を母に紹介して、母は彼を「息子」と呼ぶようになる。 そんなことを一人想像している自分に気が付き、顔を上げると母がにこや かな顔をして私を見ていた。 「何にするの? 相変わらずはっきり決められないのね」 責める調子ではなかった。むしろ子ども扱いをされているのだが、私は体 が熱くなるのを止められなかった。勝手な想像をしていたことに対する恥ず かしさがこみ上げてきた。 「ざるそば。…暑いから」 もしかしてすごく赤い顔をしているかもしれない。そう思うとごまかす為 の一言を付け加えずにはいられなかった。 おわり
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