●長編 #0560の修正
★タイトルと名前
親文書
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
会に参加した内、二次会にまで行ったのは十名程度だろうか。 彼ら彼女らは、京王八王子からJR八王子方面の繁華街に向かって歩いた。 JR八王子駅から放射線状に伸びている、西放射線通りに入ると、 ドンキ、マック、ベローチェ、BIGECHOなど、若者仕様の街並みが続く。 やっぱり学生が多い感じ。あちこちに男女が屯っていて、 どこの居酒屋に入ろうか相談している。 ティッシュやピンクチラシを配っているあんちゃんもいた。 人々の間をスケボーに乗った男が高速で走り抜けていった。 カラカラカラーっというローラーの音が通りに響いた。 傍から見れば自分らもメンヘラ御一行とは分らないんだろう、と時任は思った。 焼肉屋の座敷で、時任はすかさず萬田さんの隣をキープ。 トイメンに安芸亜希子が座った。 「あれ、安芸さん、肉、食べられないんじゃないの?」 「野菜を食べるから」 (嫌に、絡んでくる感じがする。なんで邪魔したいんだろう。 レズで萬田さんを狙っているのかなあ)と時任は思う。 しかし、真ん中に置かれているコンロに火が入って肉を焼き出すと、 ジューっと煙が出て、なんとなく前後は分断されて、 左右と語る感じになって、萬田さんと多いに語れた。 「萬田さんは、肉は平気なんだよね」とカルビやロースを網に乗せながら 時任が言った。 「もちろん平気だよ」 「でも、胃の中に入ったり、大腸から出ると、うん○だから、 汚いものになるのか」といいつつ。カルビやロースをジュージューいわす。 「養老孟司が、脳は自己中だからペッと唾を吐いた瞬間に汚いと思うのだ、 と言っていたわ。口の中に入っている間は綺麗なのに」 「養老孟司は甘いね。脳の構造で言うなら尾状核的という事だよ」 「は?」 「脳の構造しりたい?」 「は?」 「脳の構造が分かれば、何で、強迫神経症になるのかも分かるんだけれども」 「ふーん」 「脳には、つーか大脳辺縁系と大脳基底核には海馬と尾状核というところが あるんだけれども、海馬は空間把握をするところで、 尾状核は反復記憶みたいな場所なんだけれども…、 これ、もう焼けているよ、食べたら」 「あ、いただきまーす」と萬田郁恵は肉を取り皿にとるとタレに浸して 口に運んだ。「むしゃむしゃ。柔らかくて美味しい」 「それで、海馬と尾状核の話だけれども、 海馬は空間認識だから、海馬がでかいと空間認識に優れるんだ。 だから、ロンドンのタクシードライバーは海馬がでかいんだけれども …そのロースも、もういいんじゃあない」 「いただきまーす。むしゃむしゃ」 「タクシーの運ちゃんに限らず、ネズミでも、 迷路の真ん中に餌をおいておいてネズミを放すと、 海馬があれば、餌の位置を俯瞰的に一発で当てるんだよね」 「ふむふむ、もぐもぐ」 「ところが実験で、ネズミの海馬を損傷させると、尾状核を使う様になる。 そうすると、迷路の角から入っていって、たどり着けないと戻ってきて、 又次の角、というように、トライ&エラーを繰り返す。そのカルビも行けるよ」 「えー。時任さんも食べたら」 「じゃあ、いただきまーす」言うと、時任は、タレに浸して、食う。 「むしゃむしゃ。美味しいね。こんな旨いもの食わないなんて、 亜希子さんてかわいそうだね。 ところで、その実験で海馬を損傷したネズミと同じで、 僕も海馬が小さくて尾状核で生きているから」 「えーー」 「海馬があれば、瞬間的に、自分は自分人は人、と認識出来るのだけれども、 尾状核を使っているからそれが出来ないから、 反復的に比較するんだと思うんだよね」言うと焦げた肉を口に運ぶ。 「もぐもぐもぐ。君だって、あの汚れはあの汚れ、 とは思えないのは海馬が萎縮しちえるからで、 転々と伝染していく感じなのは尾状核を使っているからじゃない? その肉、焦げてきているよ」 「あ、じゃあいただきまーす。もぐもぐ。でも、なんでそんな事知っているの?」 「SNSに知り合いがいるんだよ。脳科学に詳しい。リアルじゃないけれども」 「へー、色々勉強しているんだね。もぐもぐ」 「結構、知りたくなるからね。ただ症状を言うだけじゃなくて、 病理を知らないとね」 「考えるのが好きなんだね。もぐもぐ」 上座の方で、書痙オヤジが立ち上がった。「えーー、それではみなさま、 宴たけなわではございますが、そろそろ時間の方も迫ってまいりましたので、 ここらへんで、おひらきにしたいと思いますが」 「えー、もう?」 「飲み足りない方はこれからカラオケに行きますんで、そちらでどうぞ」 「カラオケ、行く店決まってんの? ビックエコーなら+一五〇〇円で、 アルコール飲みほだよぉ」 「カラオケ館の方が設備も料理もいいし、あたし、VIP会員だから」 など、中高年が盛り上がっていた。 焼肉屋からビッグエコーに移動したのは中高年6、7名だった。 「私、JRだから」と焼肉屋の店先で安芸亜希子は言った。 「じゃあ、私、京八だから」と萬田郁恵。 「僕も京八の方の駐輪場に原チャリを止めているから」 「じゃあねえ」名残惜しそうに安芸さんが去って行った。 そして時任は萬田郁恵と来た道を労政会館の方に戻りだしたのだが。 時任は(どうやって誘おうかなあ)と思っていた。 「さっきの尾状核の話、興味あった?」ととりあえず言ってみる。 「もっと話したいなあ」 「えー」 「あそこのベローチェでお茶していかない?」 「いいけど…」 萬田郁恵はあっさり応じた。 二人はまたまた折り返して来た。 ベローチェはやりすごしてドン・キホーテもこえて、 放射線通りをどんどん奥に行って、裏道に入ろうとする。 「えー、どこ行くの?」 「あそこ」と時任は顎でラブホをさした。 「えぇー、だって」その後萬田郁恵が言った台詞は意外だった。 「焼肉を食べたばっかりだし」 「そんな事だったら無問題だよ。平気だよ、こっちも食べているし」 「嫌だぁ」 「じゃあ、ドンキに戻って、チョコミントのピノでも買ってくれればどうかなあ」 「それだったらいいかも」 二人でドンキに戻ると、ピノとついでにメントスも購入した。 歩きながらピノを食べ終えると、メントスをなめなめラブホに入った。 『ジェリーフィッシュ』という、紫の照明、アクリルの椅子とテーブル、 壁紙も紫、という、確かにクラゲの中にいるような部屋に入る。 お茶を飲む間もなく、紫のシーツに倒れこむと、 Gパン、パンティーを脱がすが早いか、重なり合った。 「今日会った時からいいなぁと思っていたんだ。 セックスは反復運動だから尾状核的なんだよ」 前戯もそこそこに、さっさと挿入するとピストン運動を開始する。 やっていて、時任は、 (いやにぬるぬるするな。もしかして生理中じゃあ)と思った。 果てた後に体を離してみると、シーツに直径1メートルぐらいのシミがあった。 「なんじゃこれは」 「私、すっごい濡れやすいの」 「水浸しだなあ」 「ちょっと待ってよぉ。私のGパン、濡れているじゃん」 脱ぎっぱなしのGパンにまで郁恵の膣液は到達していた。 「これで電車で帰るの平気かなあ」 「じゃあ、バイクで送って行ってあげようか」 「えぇ?」 「どこに住んでいるの?」 「大塚」 「もしかして大学生?」 「そうだけど」 「帝京とか中央とか」 「帝京だよ」 「それで下宿しているのか」 「そうじゃないよ。学生は学生だけれども、 父親があそこらへんの田んぼ屋なんだよ。アパート経営もしているけれども」 「へー。多摩モノレールの下あたりかあ」 「そうそうそこらへん」 「じゃあ、送ってってやるよ」 京八の駐輪場に戻ると、時任はアドレス110のメットケースから フルフェイスを取り出して被った。 トップケースからドカヘルを出すと萬田郁恵にも被せてやる。 バイクに跨るがると、いざ出発。ブゥーーーン。 北野方面に向い、16号バイパスに出て、野猿街道で峠越えをした。 片側三車線中央分離帯付きの幅広の道に出ると更に加速する。 しかし、堀之内を超えたあたりで、メットをごんごん叩いてきた。 「止めてー」と言ってくる。 路肩に寄せてサイドスタンドを出すが早いか、郁恵は飛び降りて行って、 歩道を横切って、雑草の生えた空き地に向かってかがみ込む。 げぼげぼげぼーーーと嘔吐した。 (あれー、運転が荒かったかなあ)と時任は思った。 しかし見ているうちに、自分もこみ上げてきて、空き地に走ると嘔吐した。 げぼげぼげぼー、げぼげぼげぼーーー。 「焼肉とメントスのゲロだ」一通り吐き終わって時任が言った。 「おかしいなあ。お酒なんて飲んでいないのに」と郁恵。 「コーラを飲んだから、メントスコーラみたいになったのかも。 まあ、でもスッキリしただろう」 「うん」 二人はバイクに跨ると再スタート。 多摩モノレール下の萬田郁恵の家の田んぼ屋まではすぐだった。
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