◇フレッシュボイス過去ログ #9182の修正
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・『モノグラム殺人事件』(ソフィー・ハナ 作/山本博・大野尚江 訳 早川書房) 14/5441 名探偵ポワロがお気に入りのカフェでコーヒーを味わおうとしていると、一人の女が 店に駆け込んできた。動揺も露わなそのただならぬ様子に声を掛けると、彼女が曰く、 自分は命を狙われている、しかしそれはあることの報いであり、殺されて当然なのだと いう。さらに、もしも私が殺されても捜査せずにいてほしいと言い残し、姿をくらま す。 同時刻、ロンドンのホテルでは同時に三人が殺されるという事件が発覚していた。被 害者達の遺体は埋葬前のように整えられ、口からは同じ意匠のカフスボタンが見付かっ た。ポワロはカフェに駆け込んできた女とのつながりを嗅ぎ取り、真相解明に乗り出 す。 英国アガサ・クリスティー社公認の名探偵ポワロシリーズ“新作”。 物語の構成に少し触れますので、ネタバレ注意。 本作に出てくるポワロは、クリスティによる原典に登場する彼に比べると、やけに 刺々しいというか攻撃的な人物として描かれている印象を受けました。ユーモア分が足 りない、ってところでしょうか。 でもそれは書き手が違うんだから当たり前。作者のみならず、作中の語り手も、ヘイ スティング大佐ではなく、スコットランドヤードの刑事であるキャッチプールが務める 体を採っているのだから。 ただ、キャッチプールの完全な一人称ではなく、所々微妙な描写があったり、キャッ チプールがあとから知った伝聞として書いている箇所もあったりと、うまいというかず るいというか。 作風は、中盤過ぎに訪れる一応の解決の辺りでは、ポワロ物と言うよりも、強いて言 うならホームズ物に近いんじゃないか?と感じていたのですが、その後に待ち受ける真 相を暴く過程は、なかなかポワロ物っぽかったと思います。極些細な事柄を手掛かりと したり、幾通りもの仮説を示したりと、小説よりも映像版のポワロを彷彿とさせるとこ ろがあったのでは。私も読んでいる間は、ポワロ物の新作を読んでいるつもりになろう と、ポワロの喋るシーンは、NHKでオンエアされたドラマ版の吹き替えに脳内変換し ていました。結構、雰囲気が出てよかったです(笑)。 犯人というか真相の一端は、幸運もあって先読みできたのですが、それに至った手掛 かりが、どうも作者の意図せざる物だったらしいのが気になったです。同書199ペー ジの最後の行で、目撃者の性別に言及する台詞。これは翻訳の勇み足でないとしたら、 作者のミス、もしくは手掛かりの拾い忘れになりそうな? ではでは。
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